<2024年4月21日>能登半島地震での緊急アナウンスについて

今年元旦に発生した能登半島地震では、直後から様々な情報がテレビ、ラジオ、SNSなどから提供されました。その中でも注目されたアナウンスの1つが、当時のNHKでの内容であったかと思います。
「今すぐ可能な限り高い所へ逃げること!!」
アナウンサーの、いつもとは明らかに違う強い口調がテレビの画面から流れました。
東日本大震災以来初めて大津波警報が発表され、発せられた「命令調」の呼びかけ。
NHKの災害報道に携わる人たちが作り上げてきた「最大級の呼びかけ」が初めて音声化された瞬間でした。「大津波警報です!すぐに逃げてください!いますぐためらわずに逃げてください。東日本大震災を思い出してください!大津波警報が出ました!今すぐ逃げること!高いところに逃げること!テレビを見ないで逃げてください!」担当アナウンサーの山内さんの緊迫感が溢れる絶叫調の呼びかけは、SNSで絶賛されました。以下は、アナウンス室「命を守る呼びかけプロジェクト」事務局長の井上二郎さんからの報告です。
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「NHKアナウンサーがかなりキツく避難を呼びかけてくれたおかげで早々に避難しなきゃと思った」
「『大丈夫じゃないの?』と言っていた父も、避難を決意しました。避難してよかったです」
放送を見た子どもが泣き出したことで、危機感が倍増し「逃げなきゃ」と感じたという人もいました。
こうした好意的な意見の一方、「もう少し落ち着いた声で呼びかけるべきではないか」といった意見も寄せられたということです。
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その呼びかけを不断に見直したり、新たな展開を考えたりするのがNHKアナウンス室の“命を守る呼びかけプロジェクト"です。
https://www6.nhk.or.jp/nhkpr/post/original.html?i=41291

<2024年4月14日>東北新幹線脱線事故についての運輸安全委員会の調査報告

おととし3月、福島県沖を震源とする最大震度6強の地震で脱線した東北新幹線について、国の運輸安全委員会が事故の調査報告書を公表し、脱線の原因は地震の揺れで車輪が浮き上がったためだと推定されると結論づけました。
2022年3月16日、福島―白石蔵王間で東京発仙台行きやまびこ223号が17両中16両で脱線、乗客6人が負傷しました。68車軸のうち60軸が脱線、少なくとも10軸で車輪がレールから大きく逸脱した状態でした。脱線の原因となった地震のおよそ2分前に発生した地震で列車は停止した状態でしたが、地震により車体が激しく横揺れし、車輪が浮き上がってレールを乗り越える「ロッキング脱線」が起きたとみられると指摘しています。報告の1つとして、横転を防ぐために車輪に取り付けていた「逸脱防止ガイド」が被害拡大を防いだとして一定評価していますが、地震の強い揺れで車輪が浮き上がった際にレールが横移動したことで脱線し、その後も横揺れが続いたことで、「逸脱防止ガイド」もレールを乗り越えて、逸脱したと考えられると結論づけました。また、強い揺れなどにより台車と車体の間に設置されていた「空気ばね」の空気が抜け、脱線を助長した可能性が高いとしています。
脱線直前に発生した1回目の地震を検知して列車は停止していましたが、先頭車両も脱線していることから、被害が拡大する可能性があったと指摘。車両や高架橋といった構造物の振動抑制など、再発防止に向けた取り組みを求めています。

<2024年4月7日>(仮称)イオンモール仙台雨宮の防災拠点としての取り組み

旧東北大学・雨宮キャンパス跡地で計画中のショッピングモール「(仮称)イオンモール仙台雨宮」の2025年秋のオープンに向けて、建築工事が着工しました。
東北大学災害科学国際研究所との「産学連携協力」に関する協定に基づき、「(仮称)イオンモール仙台雨宮」を地域の防災拠点として地域の皆様が安心して利用できるよう、地域の防災減災力を高めるための防災機能のあり方、地域と一体となった防災減災の取り組みによって、地域の持続的な防災に貢献するモールのあり方を共同研究しています。
●「一時避難施設としての対応」 震災時に顧客で帰宅困難となった方や周辺の方々が一時的に避難できる場として、建物の安全確認を終えたモールの建物を活用することを計画しています。近隣の指定避難所の役割を支えたり、災害後に人が滞在する周辺施設との役割分担を考えています。また、携帯充電用電源、場内照明、マンホールトイレを計画し災害時の利用に役立てます。
●「震災時の復興拠点としての機能確保」震災時の緊急対応を想定し、「お客さまの安全・安心」を守るため、非常用発電機を設置します。地域が停電しても、防災設備、セキュリティシステム、給水設備等の各種設備、さらにイオン食品売り場等に電源供給を最優先で行い、地域復興拠点の一つとして機能維持に努めます。断水・停電時でも、非常用電源を活用して受水槽の水を飲料専用として供給します。
●「緑化計画の取組み」東北大学農学部時代のみどり豊かな環境を踏まえ、生物多様性の保全と利活用の視点で新たな緑化計画を推進します。産学連携協力の取組みとして、建築工事期間中は、苗守として地域の小学生に育てていただいたコナラの苗木を工事現場に掲示しています。この場で、地域の方が育成状況を観察することができるようになっています。

<2024年3月31日>トルコでの災害アーカイブに関するワークショップ

2023年8月31日より、2023年カフラマンマラシュ地震関連デジタルアーカイブの作成支援・活用のプロジェクト(J-RAPID)がスタートしましたが、その一環として、3月12日から15日にかけて、トルコ側のリーダーであるMETU(中東工科大学)のAhemt C. Yalciner教授と2回目のワークショップを開催しました。
ワークショップの初日は、カフラマンマラシュ地震だけでなく、日本の東日本大震災や2024年能登半島地震や災害デジタルアーカイブに関連する話題提供から始まりました。トルコ側からは、METUの教員、学生、JICAトルコ事務所・日本大使館からの参加もいただきました。カフラマンマラシュ地震の前後の地震ハザード評価、被害と脆弱性についての発表、渡邉英徳教授(東京大学)による災害デジタルアーカイブと最近の取り組みについて、また、今村文彦教授から東日本大震災と2024年能登半島地震の教訓について話題提供が行われました。
2日目(3月13日)から最終日(3月15日)までは、東北大学の学生と東京大学の大学院生、METUの学生が参加し,「災害デジタルアーカイブの明日」をテーマにワークショップが開催されました。両国の学生が4つのグループに分かれ。3Dマップやその他のツールを使って、災害デジタルアーカイブのプロトタイプを作成しました。例えば、1)ゲームを使って写真をアーカイブし、プレイヤーに避難経路を理解させるもの、2)プレイヤーに減災グッズを準備させるシリアスゲーム、3)プロジェクションマッピングや没入型ミュージアムのアイデアを使い、災害のプロセス(発災前、発災時、発災後)を理解させるもの、4)3D写真技術やテキストマイニングを使い、災害の各段階における避難方法や文言の傾向を理解させるものなどのアイデアが挙げられました。両国の若い世代による、プロジェクト終了後も続く持続可能なコラボレーションの好事例となリました。

<2024年3月24日>東北大学で今年3月にご退職される先生方

令和5年度をもって本学を退職される方々が多くおられ、3月には沢山の最終講義・学術懇話会等が企画されていました。
下記が、最終講義・学術懇話会イベント掲載一覧です。
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2024/01/last-lecture-2023.html
例えば、電気通信研究所 大野英男総長「スピントロニクスと共に歩んで」
地震・噴火予知研究観測センター 三浦哲教授「測地観測と地震・火山研究」、同センター 松澤暢教授「地震予知に憧れて」などです。
松澤暢先生とは、長年にわたり、地震や津波などの分野で連携や共同研究さらに教育や人材育成の分野で活動を実施させて頂きました。松澤先生は、わが国の代表的な地震学者であり、自然災害科学・固体地球惑星物理学を専攻されています。 附属地震・噴火予知研究観測センター長、地震予知連絡会副会長を務められました。1999年に東北地方の太平洋沖で発生した数千回の地震波形を丹念に調べ直し、岩手県釜石市沖で地震様式(揺れの初動、地震波形、震動継続時間、規模)のよく似た地震が約5年周期で発生していることを突き止めました。一方で、2011年の東北地方太平洋沖地震の発生可能性を予見できなかったことについて、反省の思いを語られています。2日前の9日は、M7.3の前震がありました。「我々は短い期間のデータから考え出したことに縛られて、間違った前提条件のもとに将来を推定していたのである」「もう少し時間があれば海溝近くの変動から付近のすべりが大きいことがわかったかもしれない」
2012年、東北大学の地震・噴火予知研究観測センターが開所から100年の節目を迎え、以下のような新聞特集が企画されました。
地震学100年の東北大、巨大地震解明に挑む 海底に観測地点整備
https://www.nikkei.com/article/DGXNZO49347610Y2A201C1MZ9000/

<2024年3月17日>支援者支援のためのケア三段階

東日本大震災など大災害での経験の1つが、行政職や医療職等の被災者に対する支援業務者への支援の重要性です。広域で大規模な災害が発生した際、消防士、医師・看護師など救護にあたる職業や、保育士、教職員、高齢者施設職員、障害者施設職員など発災地で一般市民の支援を担う職業があります。そうした「被災者でもある支援者」は、しばしば一般市民より大きなストレスと向き合いながら、「支援者」として職務を全うすることを迫られます。このような皆さんは、被災住民の苦悩を最も間近に感じ取る立場にあることが多く、また問題が長期化していることから無力感や罪責感情を抱きやすい状況になっています。
そこで環境省では、支援者支援のためのケアの三段階を提唱しています。
①「セルフケア」自己の健康管理を基に、活動のペースを調整します。
②「ラインケア」上司や管理職のサポートの下、ペアやラインでの活動を組織的にマネージメントします。
③「ライン外」組織内の部署による専門的ケアや外部の医療専門機関等によるケアがあります。
https://www.env.go.jp/chemi/rhm/h29kisoshiryo/h29kiso-03-08-13.html
さらに最近では、身近なピア(同僚や仲間)による支援が注目されています。被災地での当事者同士の支援、被災地外のピアが被災地の仲間を支える等があります。発災直後の「緊急期・急性期」、1週間から1ヶ月ほどの「復旧期・亜急性期」、1年からそれ以上にわたる「生活再建期」、そして「復興期」に至るまで、状況が異なりますので、そこでの丁寧なケアが必要です。「支援者が支援を受ける」のは恥ずかしいことではなく、むしろ職務に対しての責任ある行動です。以下に、参考になる資料、パンフレット、マニュアルがあります。
https://www.jst.go.jp/ristex/output/example/needs/02/peer_support.html

<2024年3月10日>東日本大震災の経験が活かされているのか?~能登半島地震での津波避難

明日で東日本大震災から13年を迎えます。この間も、豪雨災害、火山災害や熊本地震、胆振東部地震などが発生しております。特に、今年に入った矢先の能登半島地震での被害は大きく、200名を超える犠牲者、多くの住宅・建物、インフラの被害が生じています。その中で、東日本大震災での経験や教訓が伝わり、少しでも減災に役立ったのか?という課題に関心があります。地震が起きる前の事前防災(耐震化、保険、訓練など)、発生後の初期対応、避難所での対応、その後の2次避難、広域避難、復旧・復興計画(暮らし、繋がり、営み)などが主な項目となりますが、本日は、その中でも避難などの初期対応についてお話ししたいと思います。
今回の地震により津波が発生しましたが、津波浸水想定に基づくハザードマップの公表、東日本大震災などの災害経験を踏まえた住民の避難訓練の実施が、迅速な避難に寄与したことが報告されています。新聞、デレビでの報道や現地調査から聞き取った、津波からの避難についての状況をまとめてみました。津波被害が生じた地域では、東日本大震災の経験にもとづく避難訓練・避難行動事例を確認出来ました。特に、地震から津波の想起や、避難の呼びかけに教訓が活きている事例が多くあります。一方で、家屋倒壊等によって避難路が阻害され、救助や避難が遅れる事例もありました。また、高齢の人が避難を渋る・あきらめる事例もあり、高齢の人をサポートしながらの徒歩避難行動の難しさを示す事例も報告されています。珠洲市や能登町で車避難の事例もあり、珠洲市をはじめ富山県、新潟県、福井県でも大規模な渋滞が報告されており、東日本大震災の教訓だった地域の車避難のルールづくりが進んでいない実態が浮き彫りとなりました。今回の状況を踏まえ、これまでの災害経験と教訓を伝承し、あらゆる関係者が情報発信していくことが重要です。

<2024年3月3日>東日本大震災メモリアル作品『最後の乗客』について

本日は、スペシャルゲストとして、仙台市出身でNY在住の映画監督 堀江貴さんをお招きしました。海外7つの映画祭で最優秀映画賞の受賞が続く、東日本大震災から10年後のメモリアル作品『最後の乗客』をご紹介します。
この映画は、宮城に縁のある仲間たちで、「震災を風化させない」「この映画を震災からの学びを語り合うきっかけに」という志のもと自主制作されたもので、全編、荒浜で撮影されました。いよいよ今週、8日(金)から、チネ・ラヴィータで凱旋上映されます。
*一般公開:8日(金)~14日(木)1日2回
*舞台挨拶付き特別上映会:8日(金)9日(土)10日(日)
9日には、堀江監督、主演の岩田華怜さんと共に今村先生もご登壇
*仙台防災未来フォーラム2024:9日(土)13:00~13:30
トークゲスト出演『映画を通して、世界との架け橋に』
また、上映収益の一部は、能登半島地震の義援金として、「緑の募金」を通じて寄付されます。是非、劇場でご覧ください! https://lastpassenger.net/

<2024年2月25日>能登半島地震の現地調査について

土木学会では、発災後1月2日より、交通網の厳しい被害状況等に留意しつつ、必要な調査を実施するとともに、地震工学委員会による速報会、海岸工学委員会による調査報告会等を開催しています。このたび、今後の復旧・復興を適切に進めていくために、田中茂義会長を団長とし、地震工学、地盤工学、海岸工学、津波工学、土木計画学、インフラ学・国土学等の広い関係分野の専門家で構成される「会長特別調査団」を現地に派遣しました。
2月5日~6日にかけて、土木学会として初めて、珠洲市および輪島市での被災箇所の調査を行いました。具体的には珠洲市宝立町(津波浸水箇所)および同市真浦町(国道249号逢坂トンネル付近大規模崩落箇所)、輪島市熊野町(河原田川河道閉塞箇所)、同市河井町(大規模火災およびビル倒壊現場)など、今回の震災で複合災害が発生した箇所の実態を視察しました。幹線道路の緊急復旧はしたものの、現場への交通状況は困難を極め時間を要しましたが、移動のバス中でも議論を重ね所見をまとめていきました。この現場調査の後、馳浩石川県知事を表敬訪問し、その後、石川県庁内で記者会見を行いました。今回の地震災害の特徴、二次被害の抑制および復旧・復興の迅速化、復旧・復興のあり方、今後に向けた所見について報告しました。特に、基幹道路の役割の重要性、今後も同様な半島での災害対応の必要性を強調しました。この内容は学会HPに掲載されています。
https://committees.jsce.or.jp/report/node/225

<2024年2月18日>方丈記 日本最古の災害文学

漫画方丈記-日本最古の災害文学

本日は、最近再注目されている古典を紹介いたします。鴨長明によって書かれた「方丈記」の原著(現代訳でも)を読むことは難しいですが、近年「漫画方丈記 日本最古の災害文学」などの本が出版されています。解剖学者の養老孟司さんが解説文を書かれています。
「ゆく河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず」の一文から始まるこの作品は、枕草子・徒然草とともに日本三大随筆に数えられます。人の命もそれを支える住居も無常だという諦観に続き、次々と起こる、大火・辻風(つじかぜ)・飢饉・地震などの天変地異による惨状を描写しています。一丈四方の草庵での閑雅(かんが)な生活を自讃したのち、それも妄執であると自問して終わる、格調高い随筆です。21世紀に入った今、自然災害、感染症、地球規模温暖化など当時と重なる状況があり、このような中で、我々の生き方に一石を投じていると言われています。
名門・下鴨神社禰宜の子として生まれながら、跡目争いに敗れ、長年住んできた邸を追われるなか、10年足らずの間に長明は多くの災厄を体験。その天変地異を経た無常の先にある方丈の草庵(そうあん)生活が紹介されています。
たとえば、元暦地震(1185年8月6日)の記述は以下のように記されています。
「また同じころかとよ、おびたたしく大地震(おほなゐ)振ること侍(はべ)りき。
そのさま、世の常ならず。山は崩(くず)れて河を埋(うづ)み、海は傾(かたぶ)きて陸地(くがぢ)をひたせり。土裂(さ)けて水涌(わ)き出で、巌(いはほ)割れて谷にまろび入る。(現代訳;また同じころであったであろうか、たいそう大きな地震が起こったことがあった。その様子は世のいつもの様子とはまるで違い、山は崩れて河を埋め、海は傾いて陸地に押し寄せた。)」養老さんからのメッセージとして、自足の考え(自給自足、自律分散)を紹介されました。ゆく河の流れー無常観が重要であり、時代の転換期を生きる中で、しなやかさーResilienceが大切であると思います。

<2024年2月11日>能登半島地震の企業への影響・被害(帝国データバンクによる調査)

https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p240109.html
令和6年能登半島地震は甚大な人的・物的被害をもたらしており、さらに企業関係への影響も含めて経済的被害が出ていると言われています。今回の地震で被害の大きい能登地方に本社を置く企業は4,075社にのぼっていますが、その実態は把握が難しい状況です。先月、帝国データバンクが能登半島地震の影響と防災に関する企業アンケート(全国)を実施し、重要な結果を報告しています。(アンケート期間は1月12日~17日、有効回答企業数は1,255社。なお、甚大な被害を受けた能登地方の企業にはアンケート要請を行っていません)。おもな内容としては、この地震による企業活動への影響のほか、「企業防災(企業が行う自然災害への対策)」に対する意識についてになります。以下、おもに2項目について紹介いたします。
①能登半島地震による自社の企業活動への影響の有無を尋ねたところ、『影響がある(見込み含む)』とする 企業は 13.3%となりました。内訳をみると「既に影響が出ている」が 4.3%、「影響が見込まれる」が 9.0%、「影響の有無を確認中」で詳細が判明していない企業は 7.4%、「現時点で影響はない」企業は 75.3%。「今後、仕入先の工場などの稼働状況がどうなるかが懸念される」との声もあり、今後の影響を懸念している状況です。
②企業の94.9%が今回の地震を機に「企業防災」の大切さを改めて実感、なかでも「飲食料備蓄」「連絡網の整備」が4割近くで、企業として改めて大切だと考えた防災対策を尋ねたところ、「飲料水、非常食などの備蓄」が39.2%でトップ、次いで「社内連絡網の整備・確認」(38.3%)、「非常時の社内対応体制の整備・ルール化」 (31.6%)や「非常時向けの備品の購入」(28.4%)などが上位になりました。また、「BCP自体の策定・見直し」(20.6%)は 5 社に 1 社となっています。災害復興が遅れると調達難などに陥る企業では代替調達などの対策が必要であり、関係機関によるサプライチェーン全体の影響の確認や適切な支援も求められています。

<2024年2月4日>福島県浜通りの1市4町との包括連携協定締結について

東北大学(グリーン未来創造機構が窓口となり、全学部が協力)は、福島県(特に沿岸域)での復興を支援するために、拠点を設けながら、関係自治体との協力を強化するために包括連携協定を締結しました。まず、昨年9月に浪江町と、今年1月に南相馬市、大熊町、双葉町、そして2月に富岡町と締結式を行いました。
特に、福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想の推進、産学官による地域経済の復興・再生、復興まちづくりや人材育成に関して相互に連携、協力することになります。この締結に併せて、2月21日に、東京で包括連携記念シンポジウムが開催される予定です。大野東北大学総長の挨拶から始まり、福島国際研究教育機構(F-REI)理事からの特別講演、環境省やグリーン未来創造機構の取組の紹介があります。最後に、パネルディスカッションとして、冨永東北大理事・副学長も参加し、1市4町の市長・町長の皆様から、東北大学への期待や、なぜ東北大学が浜通りで活動をするのか?などをお話しいただく予定です。参加は無料ですので、ご参加下さい。
■福島県浜通り地域 市町連携協定記念シンポジウム『福島県浜通り地域の「今」そして「未来」~サステナブルな社会の実現を目指して』
■2024年2月21日(水)14:00~17:00 会場:東京八重洲カンファレンス
また、浜通りでの具体的な活動のひとつが、東日本大震災アーカイブ関係になりますが、1月8日に災害科学国際研究所で、令和5年度のシンポジウムを国会図書館と共催し、大熊町、富岡町、浪江町、双葉町から事例報告をいただきました。今後さらに連携が深まるものと期待されます。

<2024年1月28日>東京都での事前復興シンポジウム

1月17日、東京都庁で開催された「都市の事前復興シンポジウム」で講演を行いました。「100年先を見据えた都市の事前復興」をテーマに、防災アナウンサーの奥村奈津美さん、東京都立大学の中林一樹名誉教授から講演があり、さらに、関東大震災の動画上映等がありました。関東大震災から100年を迎えた昨年、東京都は様々な取組を実施していますが、大きな災害に対しては、発生後の対応では十分ではなく、事前の備えが特に重要であり、その中の1つが、事前復興計画を作成することになります。
実は、東京都は平成13年5月に「震災復興グランドデザイン」をすでに策定しております。首都直下地震等の被災時における迅速かつ計画的な都市復興に向け、あらかじめ都民と行政が震災復興時の都市づくりのあり方を共有しておくための計画です。都市復興のあり方や手順、執行体制をあらかじめ検討し、都民や行政職員等と共有を図る取組です。
首都直下地震等に備えた都市の事前復興の取組
https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp/bunyabetsu/bosai/shuto.html
その中で、平成12年度から都民参加型の「震災復興シンポジウム」を開催してきましたが、近年各地で地震を始め様々な自然災害が発生していることを考慮し、令和元年度から「都市の事前復興シンポジウム」と名称を変更し、開催しています。東京の震災復興の基本目標を「東京都長期ビジョン※」(平成26年12月)で掲げられた、「安全・安心な都市の実現」「世界をリードするグローバル都市の実現」を基本理念としています。協働と連帯による「安全・安心なまち」「にぎわいのある首都東京」の再建、特に、東京の政治・経済中枢機能や国際都市機能を回復するために、都市活動を 迅速に再開させ、にぎわいを取り戻すことに力を注がなければなりません。

<2024年1月21日>災害関連死を防ぐための対策

能登半島において我が国最大クラスの活断層による地震が発生し、津波、地すべり、液状化、火災などの複合災害を伴い、多くの方が、現在も避難所などで生活を送られています。避難所での生活には留意すべき点があり、これにより災害関連死を防ぐことが大切です。2016年の熊本地震では、犠牲者273人のうち、80%以上の218人が災害関連死でした。現在、「避難所・避難生活学会」が組織され、様々な活動や提言が発信されています。
https://dsrl.jp/
まずは、低体温症に注意が必要です。冬期の災害のため、避難所などに十分な暖房がない場合、高齢者を中心に低体温症の危険性があるとしています。体の震えが止まらない、呼びかけへの反応が鈍いなど、低体温症の兆候がある場合には、すぐに体を温めるか、病院に搬送するよう呼びかけています。
低体温症を防ぐために、
▽防寒の服を着用する
▽乾いた衣類を重ね着する
▽上着の中に新聞紙を詰める
▽体を寄せ合う
▽ベッドやマットレスなどを使う
▽温かい飲み物を飲む
などの対策が有効だということです。
さらに、車の中で避難している人には、一酸化炭素中毒やエコノミークラス症候群に注意が必要です。ガレージなど閉鎖された環境でエンジンをつけていると排気ガスの一酸化炭素を吸い込むおそれがあります。また、長時間、狭い車内で足を曲げた状態で過ごすと足に血栓が生じやすくなるとしています。
▽定期的に歩いて足を動かす
▽足を伸ばせるようにする
▽トイレを我慢しない
▽カフェインの入っていない水分をとることなどを心がけてほしいとしています。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240103/k10014307671000.html

<2024年1月14日>令和6年能登半島地震と津波について

令和6年能登半島地震は、2024年1月1日16時10分(JST)に、石川県能登半島に穴水町の北東42kmを震央として発生した地震になります。観測された最大震度は、石川県羽咋郡志賀町の震度7です。震度7を記録した地震の発生は2018年の北海道胆振東部地震以来、7回目となりました。同日、気象庁はこの地震並びに2020年12月以降の一連の地震活動を「令和6年能登半島地震」と命名しました。地震の規模はMj7.6、震源の深さは16km(いずれも暫定値)。この地震は石川県能登地方で観測した地震としては、記録が残る1885年(明治18年)以降で最大の規模になりました。
16時12分、気象庁は山形県・新潟県上中下越・佐渡島・富山県・石川県能登・加賀・福井県・兵庫県北部に津波警報を、その他日本海沿岸各地にも津波注意報をそれぞれ発表しました。その後16時22分、石川県能登の津波警報が大津波警報に切り替えられました。大津波警報の発表は、2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震(東日本大震災を引き起こした巨大地震)以来になり、1953年房総沖地震から現在までの間で6回目になります。各地の検潮所で津波が観測されていきました。現時点で気象庁は、能登地方の輪島市では、1.2 m以上としています。珠洲市と輪島市にある津波観測計のデータが入っていないため、さらに高い津波が観測されている可能性があることから、最高1.2m以上と表現されています。20時30分に石川県能登に出ていた大津波警報は津波警報に切り替えられ、2日1時15分に津波警報は全て津波注意報に、その後10時00分、すべての津波注意報が解除されました。
https://ja.wikipedia.org/wiki/

<2024年1月7日>2024年を迎えて

2024年はいくつかの周年行事が予定されています。10月23日中越地震から20年、12月7日昭和東南海地震津波から80年、12月26日スマトラ地震・インド洋津波から20年になります。2月6日には、トルコ・シリア地震から1年を迎えますが、我々はトルコ側との共同研究を進めており、デジタルアーカイブ整備支援、衛星データと地上写真の融合などのプロジェクトを推進、3月には、トルコの学生とのワークショップを行う予定です。また、下記が今年前半の主な予定です。
1月17日:東京都で「事前復興フォーラム」
2月4日 :八戸市で「日本海溝・千島海溝に備えたシンポジウム」
2月17日:大阪公立大学で「いのちを守る都市づくり~コミュニティ防災フォーラム2023」
3月2日 :石油連盟presents防災セミナー2024in仙台
東日本大震災の経験と教訓を踏まえ、震災の経験を風化させず、次の世代へ語り継いでもらうためにも、いざという時に対応できるヒントを日常生活の中から考える『聞いてみよう!いのちを守るお約束』、是非参加して下さい。申し込みは下記まで。
https://f.msgs.jp/webapp/form/14418_oiv_668/index.do
<<定員を超えたため,申し込みを終了しております>>
3月9日 :仙台防災未来フォーラム、今年度のテーマは「仙台枠組折り返し みんなで今できる防災(こと)」
東北復興ツーリズム推進ネットワーク会議が昨年8月に発足し、インバウンド、修学旅行の誘致などの活動が進められています。仙台市のJR フルーツパーク仙台あらはま、岩手県陸前高田市のワタミオーガニックランドなど農業体験や施設等が整備されていて、これらを震災防災施設と組み合わせることで防災・減災を学ぶことができると期待されます。復興の歩みやプロセスを体験できることは12年経った今だからできることです。