<2018年12月30日>平成30年(2018年を振り返って)

2018年の「今年の漢字」第1位は、「災」でありました。まさに、さまざまな災害が各地で発生してしまいました。この「今年の漢字」は日本漢字能力検定協会が、毎年年末に今年一年の世相を表す漢字一字とその理由を全国から募集して決めています。そして、最も応募数の多かった漢字が京都・清水寺で発表されています。11月1日~12月5日まて゛の期間に193,214票の応募があり「災」か゛ 20,858 票(10.80%)を集めて1位となったそうです。北海道・大阪・島根て゛の地震、西日本豪雨、大型台風到来、記録的猛暑なと゛、日本各地て゛起きた大規模な自然「災」害により、多くの人か゛被「災」されました。その中で、自助共助による防「災」・減「災」意識も高まり、スーハ゜ーホ゛ランティアの活躍にも注目か゛集まりました。新元号となる来年に向けて、多くの人か゛「災」害を忘れないと心に刻んた゛年と紹介されています。
「災」が1位となった年は過去にもありました。2004年です。
この年も台風、地震、豪雨、猛暑などの相次ぐ天災が発生、さらに、イラクでの人質殺害や子供の殺人事件、美浜原発の蒸気噴出事故などの人災もが多発し、「災い転じて福となす」との思いも込められました。

以下が、2018年の主な災害になります。
1月 草津白根山で噴火、犠牲者も
2月 福井県で記録的大雪、集落が孤立化
4月 鳥取、島根での地震
4月 大分で山崩れ、死者6人
6月 大阪北部での地震(震度6弱) ブロック塀の倒壊による犠牲者が
7月 西日本豪雨災害 死者200名以上
8月 各所で記録的猛暑 熊谷で 41.1度
9月 北海道胆振地震、道内全域がブラックアウト状態に
   台風21、24号上陸、関西国際空港(連絡橋)で大きな被害
  インドネシアで地震・津波発生、地滑りや液状化による被害が
10月以降 米国西海岸での森林火災

<2018年12月23日>三重県伊勢市での津波避難などのワークショップ(WS)開催

むすび塾の一環で、三重県伊勢市で津波訓練や関係の皆さんと対策を議論するワークショップを開催しました。伊勢神宮で知られる伊勢市は南海トラフ巨大地震での津波が警戒されるエリアでもあり、南海トラフ巨大地震を想定した避難訓練を実施し、津波への備えや観光客の避難誘導を話し合いました。二見浦(ふたみがうら)がある茶屋地区は伊勢湾に面しており、海沿いの二見興玉(ふたみおきたま)神社夫婦岩には年間約190万人が訪れる、旅館やホテルが立ち並ぶ場所であります。WSの参加者は、伊勢市の市民の他、東日本大震災の被災者ら3人、三重大学の川口先生、そして私もアドバイザーとして参加させていただきました。
南海トラフ巨大地震の想定では、マグニチュード9クラスで震度7の揺れに見舞われ、最短30分で最大5メートルの津波が到達すると予測され、地区全体が浸水想定区域になっている場所でもあります。訓練には、旅館や神社関係者、地元住民、消防団員ら50人が参加されました。最大想定に基づき、海岸付近にいる観光客や地元住民を指定避難先の後背地の音無山や一里塚などに誘導しました。訓練後、茶屋地区にある歴史的建築物「賓日館(ひんじつかん)」で開いた語り合いでは、「観光客の誘導訓練は初めてで、課題が見つかった」といった意見が出され、今後、訓練に取り組む必要性などを確認し合いました。

<2018年12月16日>河北新報社の「むすび塾」について

河北新報社が「防災・教育室」を中心に、2012年5月から月1回企画・実施している地域巡回型の防災ワークショップで、今月で84回目になります。町内会や学校、職場など10人前後の小さな集まりで東日本大震災の体験者や専門家とともに震災をふり返り、備えの意識を確かめ合う場となっています。語り合いの内容は震災の月命日に特集紙面で紹介されています。
2014年6月からは、年に2~3回、宮崎日日新聞、高知新聞、中日新聞など全国の地方紙と共催する展開を始め、震災の教訓をもとに南海トラフ巨大地震などへの備えの働き掛けに力を入れておられます。こうした連携や地域の大学、自治体などとの協働を基盤に、震災伝承と防災啓発の責務を確かめ合い、被災地からの発信強化に取り組んでいます。紙面を通じて備えを「呼び掛ける」だけではなく、地域に出向いて震災をふり返り、防災を語り合おうと「働き掛け」ているのです。
また、この「防災・教育室」は産学官民の関係団体、報道機関の連携組織「みやぎ防災・減災円卓会議」(70団体、130人登録)の発足にも関わり、事務局として教訓発信強化の呼び掛けにも力を入れられています。

<2018年12月9日>NTT研究所との共同研究

東北大学とNTTは、組織的連携協力協定に基づき、組織対組織の連携を促し、新たな価値創造を目指す「ビジョン共有型共同研究」を立ち上げることで合意しました。東日本大震災を経験した東北大学が持つ災害ビッグデータと、NTTが持つコミュニケーションサービス基盤技術を組み合わせた共同研究を推進するため、東北大学災害科学国際研究所およびNTT関連研究所双方の研究者が集まった参加型ワークショップを実施し、活発な議論を行いました。そうした取り組みを通じ、ビジョンを具体化することで、このたび新たな共同研究テーマ創出に至りました。近年、大規模自然災害の発生が増加してきていることから、安心かつ安全なくらしを支える基盤技術が求められています。この共同研究の推進により、安心・安全のいずれか、あるいは両者が欠如した状態から、安心かつ安全な状態へ行動変容を促す技術の確立を目指します。

具体的には、
・災害フェーズ全体に対応するサービス設計に寄与する災害データ活用モデル
・ビッグデータ解析による予測支援高度化と予測結果に基づく災害時意思決定支援により、大量の災害データを活用した新たなサービスの創出と社会実装を目標とします。
このビジョンの実現イメージに基づき、以下の共同研究テーマ2件を創出し、平成30年度から共同研究を開始します。

テーマ(1):社会課題解決型サービスデザインにおけるデータ活用手法の研究
災害時の適切な行動を促すサービスを、住民との共創を通じてデザインするために、様々な災害データ(地域レベルのマクロ視点データや住民の声などのミクロ視点データ)を活用する手法の確立

テーマ(2):リアルタイム津波浸水被害予測を活用した意思決定支援手法の研究
災害発生時の被害予測に基づくリスクの推定・可視化と、意思決定のためにリスクに対する効果的な対応案を抽出・評価する手法の確立

<2018年11月25日>世界津波博物館会議

昨年の11月5日「世界津波の日」に、沖縄県石垣市において外務省、国連国際防災戦略事務局(UNISDR)及び国際協力機構(JICA)の主催により「世界津波博物館会議」が初めて開催されました。日本を含む8か国の津波博物館館長、自治体防災関係者、政府関係者、有識者、メディア関係者約70名が参加されました。津波の経験をいかに次世代に伝えていくことができるか、その一翼を博物館は担っています。さらに、津波石等のフィールドミュージアムもあり、屋外での津波挙動や被害実態を知る場となっています。第1回では、津波伝承に果たす役割、津波伝承のデータベースの構築の重要性、津波伝承拠点としての津波博物館の役割等について提言が行われました。
11月30日には、東京国立博物館で第2回の会議が開催されます。第1回の開催を受けて、世界各国の津波博物館の知見や経験が共有されるとともに、津波の教訓を後世に残すための配慮事項等について議論が行われる予定です。今年は1993年に発生した北海道南西沖地震(死者・行方不明者230名)から25周年であることを踏まえ、「時間軸」に着目し、災害発生後の各期間で津波博物館が果たすべき役割や課題を議論するとともに、災害を風化させないために取り組むべき活動について議論されます。この時間軸は、発災直後、緊急対応、復旧、復興という災害対応サイクルの中で整理されます。さらに、人間の記憶は時間の経過と共に薄れていくため、風化を防止するためにも時間推移の中で、様々な学びの機会が必要であると考えます。たとえば、仏教で故人を偲ぶため法要という仕組みがあり、1周忌、3回忌、33回忌などが営まれていますが、こうしたことも参考になるかもしれません。

<2018年11月18日>津波防災の日および世界津波の日

東日本大震災での甚大な津波被害を踏まえ、2011年6月に「津波対策の推進に関する法律」が制定されました。この法律では、津波対策に関する観測体制の強化、調査推進、被害予測・連携体制の強化などが規定されております。これらの津波対策についての理解と関心を広く深めることを目的として、毎年11月5日を「津波防災の日」と定めています。
この日は、1854年11月5日(旧暦)に発生した安政南海地震で和歌山県を津波が襲った際に、稲わらに火をつけて、暗闇の中で逃げ遅れている人たちを高台に避難させて救った「稲むらの火」の逸話にちなんだ日であります。国民の中での風化が懸念されることから、「津波防災の日」に関連した企画が毎年実施されています。今年もその取組が行われました。
http://www.bousai.go.jp/kohou/kouhoubousai/h26/76/special_01.html
今年度の「津波防災の日」啓発イベントは、「最新科学x津波x地域防災」をテーマとして、川崎市にて開催しました。
会場:川崎商工会議所 川崎フロンティアビルKCCIホール
(1)津波防災教育ツールミニ体験会
地域の津波リスクを学ぶ教材やゲームに加え、地区防災計画の支援ツール等の体験
(2)特別セミナー
・地域における津波防災の取組みと地区防災計画の役割
・川崎市の津波防災~企業・地域での最新科学活用に向けて
・地域・企業・学校におけるこれからの津波防災
次に、世界津波の日について紹介します。こちらも同じ11月5日になります。
第70回国連総会本会議(平成27年12月22日)で「世界津波の日」を定める決議が採択されました。この決議は、第3回国連防災世界会議及び持続可能な開発のための2030アジェンダ(SDGs)のフォローアップとして、我が国をはじめ142か国が共に提案したものです。津波の脅威について国内外で関心が高まり、その対策が進むことが期待されています。
早期警報、伝統的知識の活用、「より良い復興」を通じた災害への備えと迅速な情報共有の重要性を認識すること、すべての加盟国、組織、個人に対して、津波に関する意識を向上するために、適切な方法で、世界津波の日を遵守することを要請すること、等を含んでいます。

<2018年11月11日>東北みやぎ復興マラソン・タイ復興マラソン「Run for Andaman」(サッパーシー・アナワット准教授からの報告)

第2回東北みやぎ復興マラソンが10月13~14日に開催された。ランナーは日本人だけではなく、私の出身と同じタイからのランナーもいた。実は今年から、2004年12月26日に発生したインド洋大津波のタイの被災地でも復興マラソンを行う予定です。東北とタイの被災地の繋がりで、タイから3人のランナーが東北で走りました。ランナーは、タイ復興マラソン開催担当であるタイ国営テレビ(Thai PBS)、UNDP(国連開発計画)の関係者で、マラソン大会の段取りやロジスティクスについて大変重要な経験が得られたようだ。
インド洋大津波の後、タイではさまざまな国から防災についての支援を貰ったが、14年が経って、防災ラジオが壊れたり、避難看板が強い日差しで見えにくくなってしまった。また、毎年12月26日にメモリアル・イベントが行われるだけの状況の中、復興マラソンのアイデアが出てきた。このマラソンで集まったお金は防災警報・啓発等に使われる予定で、今後の災害時におけるラジオ・テレビなどのシステムや施設等の共用も提言する予定です。
*タイ復興マラソン
2018年12月23日(日)
・ウルトラマン:プーケット県からパンガー県までの110キロを、10時間かけて走る。
条件:1チームは何人でもOK、同時に10人以上で走る
2019年(日程は未定だが、下記のコースを予定)
・ウルトラマン/・ファミリー:2キロ、パンガー県内/・車椅子:2キロ、パンガー県内/・ミニマラソン:10.5キロ、パンガー県内/・バイク&ラン:789キロ、バンコクからプーケット県またはパンガー県まで

マラソンの模様は生中継されるため、被災地では安全に観光が楽しめることを紹介することになる。また、専用のアプリで、走った記録や写真等が投稿されるので、リモートから参加することもできます。タイでのマラソンが成功すれば、インドネシア等、インド洋大津波の他の被災国でも開催することを検討される。
参加したい方はThai PBSのホームページまで http://www.thaipbs.or.th/

<2018年11月4日>インドネシア地震・津波の現地調査

インドネシアのスラウェシ島中部(パル市周辺)で発生した地震と津波について現地調査を行いました。9月28日の地震発生から、津波や液状化・地滑りで多大な被害が報告されました。被害の甚大さと複雑さを重視し、緊急に現地調査を行うことを決め、4日夜に被災地スラウェシ州パル市に入り、5日に調査を行いました。パル市内での治安は大分回復していましたが、電気、水などの復旧が遅れ、ガソリン不足が深刻でありました。沿岸の道路状況も悪く、通行自体が困難だったため、調査はパル湾奧と東沿岸に限られました。海岸から約50mの沿岸部での被害が大きく、基礎のみを残すような全壊状況が見られました。道路橋も津波により破壊されていました。ここでは、5mを超える津波の痕跡が確認出来ました。しかし、さらに奧に移動すると建物被害率は低くなり、1?2m程度の浸水深に留まっていました。また、津波は300mまで広がりましたが、通常の津波が数km もの範囲で浸水することを勘案しますと、浸水域は限定的でありました。最大規模は、陸上から津波の水面までの遡上高がビルの3階に達する10メートル前後に達した可能性が強いことが分かりました。津波の高さをめぐっては、目印となる白馬像について、住民の数々の証言がありますが、計測結果と総合すると、津波が10メートル級だった可能性が高まりました。
陸上、沿岸、または海底の地滑りが津波の引き金となった可能性があります。実際、調査中も沿岸での地滑り(地盤沈下)が確認出来ました。海底の地滑りによる津波は、日本でもあります。駿河湾を震源とする静岡県焼津市や御前崎市で震度6弱を観測した2009年8月の地震に伴い海底で地滑りが発生。高さ約1メートルの津波が発生しています。

<2018年10月28日>インドネシア・スラウェシ島中部での地震・津波災害

9月28日夕方、インドネシア・スラウェシ島で地震・津波等が発生しました。地震の規模はM7.5、横ずれ断層と推定されています。地震の震源地はスラウェシ島中部のドンガラ市の北東約27kmで震源の深さは約11Kmと推定されました。この地震の揺れにより、ホテルや病院などの建物に被害が生じ、地滑りや液状化で集落ごと流された地域もありました。さらに、震源が陸地であり本来被害を及ぼすような津波は発生しないはずですが、沿岸部で津波による多大な被害が生じました。インドネシア政府は29日早朝から国軍、国家警察、国家捜索救助庁などの部隊を現地に派遣しましたが、被災地のパル空港の滑走路が地震で被害を受けているため大変に困難な状態でした。発生直後から救命や捜索活動が実施されましたが、その活動も限界に達し、2週間あまりで政府関与の活動は打ち切りになりました。そのため、 犠牲者数は5000名以上とも言われていますが、被害実態は分からないままです。
気象庁BMKGは、地震発生直後に津波警報を発令したとしていますが、1時間以内に解除されています。これは、震源が陸地であり、またマグニチュードが小さく、メカニズム解も水平方向であったからであります。また、各地での津波リアルタイム観測データについても、停電などで送ることができなかったようです。実際に津波が来た時刻と津波警報が解除された時間の関連は現段階では明らかになっていませんが、今回のような津波の発生を予測することは、日本でも難しく、課題として残っています。

<2018年10月21日>中越地震での貢献者

2004年(平成16年)10月23日17時56分に、新潟県中越地方を震源として発生したM6.8、震源の深さ13kmの直下型の地震でありました。死者68人、重軽傷者は4795人に上り、余震の中、避難者は最大12万人を超えました。
また、建物への被害は全壊3175棟、半壊・一部破損が11万8429棟に達しました。このような中、命を守るため、地域を復旧・復興するために力を尽くした人々がおられました。その一人が、山古志村の村長を務めた長島忠美(ただよし)氏であり、大変に惜しいことに、昨年8月18日に急逝されました。
当時の地震によって村へと通じる道は全て寸断され、14の集落が完全に孤立した中、長島氏は、2167人の全ての村民を長岡市に避難させる"全村避難"をいち早く決断されたのです。
再び帰ることができるかどうかさえ分からない状況の中、異例の措置でありました。着のみ着のまま村を後にした住民たちは、避難所での生活を余儀なくされたのです。
その後、国会議員になった長島氏は、東日本大震災後の国会で「仮設住宅の生活をどう支えるのか?仕事がない。生業ができない。この人たちの生活をどう支える覚悟があるのか。
劣悪な環境の中に置いておいて、これ以上犠牲者が増えてきたら、私も責任を取らないといけない立場だ。国会議員だから、全員がそうだ。だから言っている」と当時の菅総理に詰め寄ったと報告されています。
2014年9月には復興副大臣にも就任、2016年8月に退任するまで、山古志村での経験を活かし、東北の復興に取り組まれました。多賀城高校も訪問、災害科学科などの活動を熱心に視察され、講演も行っていただきました。
生前「復旧を急ぐのはもちろんですが、恒久的な対策も求められています。命と財産を守れる地域づくりが必要です」と投稿しておられました。昨年8月30日にはお別れの会が行われ、伊吹文明元衆議院議長や自民党二階俊博幹事長らも出席し、66歳というその早過ぎる死を惜しまれました。

<2018年10月14日>地震時でのエレベーターについて

エレベーターは大きな揺れを感知すると、一番近い階で止まり扉が開くという動作をします。しかし、一定の時間が経過すると自動的に扉が閉まりますので扉が開いているうちにエレベーターから降りてください。
揺れが軽微であった場合:運行に支障のない程度の軽い揺れの場合は、初期微動センサーという装置が働き、同じく一番近い階に止まり扉が開くという動作をしますが、一定時間が過ぎると通常の運行に自動で復帰します。
揺れが大きかった場合:大きい揺れ(震度4以上程度)を検知して止まってしまった場合は、点検員または専門の技術者の点検を受け復旧作業をしなければエレベーターは動きません。
最近の事例を2つ紹介します。
大阪府北部で震度6弱を観測した地震では、エレベーターに人が閉じ込められた件数は339件で、東日本大震災の約1.6倍に当たることが、国土交通省の集計などから分かりました。最寄り階で自動停止するシステムが未整備の旧型が使われ続けているのが主な原因とみられます。閉じ込めが長時間になると、火災や津波を伴う地震が起きた場合は避難できなくなる恐れがあります。また、北海道胆振(いぶり)地方を震源とする最大震度7の地震では約9200台のエレベーターが停止し、23台で利用者が中に閉じ込められました。
2009年に「地震時管制運転装置」の導入が建築基準法施行令で義務付けられ、エレベーターは地震感知計が揺れを関知すると最寄り階に停止し、ドアが開き脱出できるようになっています。最寄りのエレベーターにこの装置がついているかご確認ください。
・地震の揺れを感じたら、エレベーター内の行先階のボタンを全て押してください。 (万が一、安全装置が装備されていない機種であった場合、途中で止まってしまうこともありますので、念のため全部の行先ボタンを押して、停止した階で必ずエレベーターから降りてください。)
・エレベーター内に閉じ込められてしまったら、インターフォンで外部に知らせてください。乗用エレベーターには必ず外部との連絡用にインターフォンがついていますので、状況を知らせていただき、救助を待ってください。
・停電した場合。
地震が起こると停電することも考えられます。インターフォンと同じように、停電時には非常用電源(バッテリー)で点灯する非常灯が設置されていますので、一定時間灯りは確保されます。その間に、インターフォンで外部と連絡を取り救助を待ってください。

<2018年9月30日>北海道全域の停電および観光へのダメージ

大規模停電、管内のほぼ全域で電力が止まることは「ブラックアウト」と呼ばれています。地震により苫東厚真火力発電所をはじめとする北海道内全ての火力発電所が緊急停止し、その影響により、道内全域約295万戸で停電が発生しました。これは1995年の阪神大震災を上回るものであり、電気事業連合会によると、管内のほぼ全域で電力が止まる「ブラックアウト」が起きたのは初めてであると言われています。この停電により、泊原子力発電所の外部電源が喪失し非常用電源に切り替わりました。
東日本大震災の際、福島第1原発の停止などによって供給力が下がった際には、東京電力は一部の地域を意図的に停電させることで需要量を減らして需給バランスを保ち、首都圏での大規模停電を避けたと報告されています。停電が起こると、一般生活だけでなく、産業界、観光それに医療関係に大きな影響が出ます。災害基幹病院では通常の救急対応が出来ない状態が発生し、自家発電で対応されていました。一部では、救急車の受け入れのみ再開したということです。また、観光への影響も大きくなっています。地震発生後、北海道内の観光地からは客足が遠のき、大型イベントが中止や延期になりました。現在も、秋の行楽シーズンですが、地震の影響が続いているようです。北海道は、外国人観光客にも人気がありますが、今回の被災で大きな影響が出そうです。地震直後にも多くの外国人観光客がおられました、停電と情報不足で大分混乱があったようです。1週間後くらいから、北大の学生さんがボランティアで、案内や情報を出しサポ-トする姿が見られました。

<2018年9月23日>平成30年北海道胆振東部地震(ほっかいどういぶりとうぶじしん)

この地震は、2018年9月6日3時すぎに、日本の北海道胆振地方中東部を震源として発生した地震です。地震の規模はMj 6.7、震源の深さは37km(暫定値)。発震機構は東北東-西南西方向に圧力軸を持つ逆断層型で、内陸地殻内で発生した地震です。最大震度は、震度階級で最も高い震度7で、北海道では初めて観測されました。
地震調査委員会は、震源の西約10キロにある主要活断層帯「石狩低地東縁断層帯」付近で発生したものではなく、別の断層が最長で南北約30kmにわたってずれ動いたとみられます。また、今回の地震が同断層帯の地震を引き起こす可能性も否定できないとして、警戒を呼びかけています。ただし、地下では想定以上に複雑なことが起こっていると考えられ、断層帯と『関係がない』とまでは言えないとの指摘もあります。北海道では千島海溝のプレート境界で発生するM9クラスの巨大地震も懸念されていますが、今回は内陸の地殻内で起きたため、気象庁は「直接の関係はない」とみています。人的被害は40名を超え、住宅被害としては、全壊が32棟、半壊は18棟になりました。
今回の災害での特徴として、液状化と土砂崩れがありました。札幌市で液状化現象が発生、各地の道路が隆起や陥没が見られ、周辺の複数家屋が陥没道路に向かって傾いていたケースもあります。また、強震動によって厚真(あつま)町を中心に広い範囲で土砂崩れが発生し、多数の住宅が巻き込まれました。火山噴火による軽石層だと指摘されています。大雨も影響した可能性があります。ここでは、約4万年前に支笏カルデラから噴出されたテフラで、この層の上位にある恵庭(えにわ)岳や樽前(たるまえ)山のテフラや土壌層が一気に崩れたとみられています。さらに、前日の台風や、6~8月の降水量が平年の約1.6倍と多かったことから、土壌には多量の水を含んでおり、その影響もあった可能性も考えられています。また、火災もありました。一般家庭での地震による火災は非常に少なくなりましたが、室蘭市の新日鉄住金室蘭製鉄所ならびに苫東厚真(とまとうあつま)火力発電所で火災が発生、また新日鉄の火災は室蘭港に延焼しました。そして、全道停電の後に、自家発電機を回した事が原因と推定される一酸化炭素中毒により2名の死亡が確認されました。

<2018年9月16日>昨年9月、メキシコを襲った大地震

昨年9月にメキシコで大きな地震が相次いで発生しました。7日メキシコ南部チアパス州でM8.2の地震、19日メキシコ中部地震(M7.1)、さらに、23日は南部オアハカ州でM6.1の地震が発生しました。
チアパス地震の震源は、チアパス州ピヒヒアパンの沖約87km南のテワンテペク湾で、この地震による死者は少なくとも90人に上りました。損壊が生じた住宅は少なくとも100棟とされ、500人以上が家を失い、ホテルや飲食店などの施設にも影響が生じました。さらに、19日に発生したメキシコ中部地震はプエブラの南約55kmを震源として発生し、プエブラ州、モレロス州、首都メキシコシティなどで多数の死者が出ました。マンションやスーパー、学校など多数の建物が倒壊し、メキシコシティをはじめ各地が壊滅的な状況に陥ったのです。瓦礫に閉じ込められる人が続出する事態となり、少なくとも270人が死亡したと明らかにしています。この19日は、5000人が死亡した1985年の大地震からちょうど32年目にあたり、地震発生の数時間前には毎年恒例の避難訓練が行われていました。この訓練のお陰で、被害が小さくなったとの報告もありますが、耐震化には課題も残されました。
救助の中で、ひと際素晴らしい働きぶりを見せた救助犬がいました。メキシコシティでは15匹の海軍救助犬部隊所属の救助犬が懸命な捜索活動にあたりましたが、その中の1匹がフリーダ(ラブラドールレトリバー)です。フリーダは、瓦礫の山から生存者を発見し、50名を超える命を救ったということです。このときの活躍を讃え、プエブラにフリーダの銅像が建立されたそうです。

<2018年9月9日>デジタル地球儀「触れる地球」

デジタル地球儀「触れる地球」を紹介いたします。これは、京都造形芸術大学の竹村眞一教授の主催するEarth Literacy Program が開発した世界初のインタラクティブなデジタル地球儀になります。リアルタイムで、地球儀上(80cm 程の直径)に気象情報や地震・津波、渡り鳥やクジラなどの地球移動、人口爆発や地球温暖化、PM2.5など、生きた地球の姿を映し出します。洞爺湖G8サミットや COP15、ダボス会議(2011年・2012年)などで展示紹介されています。夏休み期間中に、東京シティビュー(六本木ヒルズ)で行われた体験型の展覧会「海の地球ミュージアム」に登場しました。声で反応するデジタル地球儀でホッキョクグマが案内する北極の海、台風が海をよみがえらせてしまう秘密など地球を考える興味深いコンテンツが紹介されていました。
8月26日には、私も東京シティビューで学ぼう!体験しよう!「子ども地球教室」に参加させていただき、1時間あまり、津波についての話と竹村先生と防災(特に都市での)についてディスカッションを行いました。「触れる地球」には、1960年チリ津波、2011年東日本大震災による津波などが表示されます。さらに、今年の台風の経路、気圧配置、海水温なども重ねて、地球儀に映し出されました。
その他に、沖縄美ら海水族館の協力で、黒潮の魚たちが踊る美しい水槽が置かれたり、、夕方からは、最新のプロジェクション・マッピング技術で、空中に浮かぶ展望台がまるで海の底に東京の夜景をバックになり、ザトウクジラの親子、マンタ、ジンベエザメなどが遊泳する迫力の映像が映し出されたそうです。
常設展示として以下のWEBで紹介されています:http://www.tangible-earth.com
http://www.ecozzeria.jp/about/facility.html

<2018年9月2日>地区防災計画の策定支援(川崎市など)

9月1日は全国防災の日であり、今年も各地で訓練や啓発活動が実施されました。
関東地方では、第39回9都県市合同防災訓練が企画され、基幹的広域防災拠点が立地する川崎市(川崎区東扇島)を中心に実施されました。防災イベント「備える。フェスタ」も川崎マリエンで開催され、多くの市民と協働した取り組みが紹介されました。
この川崎市ですが、内閣府により津波に備える地区防災計画策定支援検討会が実施され、対象地区に選定されました。この事業は、特に、近い将来発生が予想されている南海トラフ地震等による津波に備え、津波災害が想定される沿岸地域を中心に、地区防災計画制度を普及・啓発する活動(計画)の支援を行うものです。選定された川崎市川崎区は新エネルギーを活用している事業所と住民が一体となった津波に対する防災対策の検討がテーマになります。川崎市対象地域の特徴は以下になります:
•明治末から昭和初期、川崎臨海部は、工場建設(重工業)のため、埋め立てが行われた。
•三井埠頭を皮切りに、多数の企業が進出した工業港湾として、京浜工業地帯の中核を形成した地域です。現在、物流施設や発電所等が立地する工業地帯になっている。
•近年は、天然ガス・バイオマス・水素等の新エネルギーの導入で進んでいる。
•対岸と接続している扇橋が使用不可となった場合は船舶により避難することになる。
•さらに、船舶による避難が困難な場合、島内のより安全な施設への屋内退避を検討している。 立地事業所では大手企業を中心にBCPを作成するとともに、地区防災協議会を組織し、石油コンビナート関連の災害が発生した際の対応も検討されています。また、町内会では事業所と連携した訓練の実施や情報伝達体制の整備を進めています。ただし、地域全体として、津波の浸水を想定した計画や訓練が不十分であり、住民と複数の事業所が連携した津波に対する防災対策の検討を進め、全国に立地する沿岸部の工業地帯の参考事例となるべく取り組んでいくことが必要となっています。

<2018年8月26日>川崎市(臨海域)での地震・津波対策プロジェクト

災害科学国際研究所での共同研究の1つとして、昨年に引き続き、川崎市での地震・津波対策プロジェクトが採択されまして、今年7月から本格的に検討が始まりました。今年度のテーマは、津波レジリエントな地域防災に向けた地域カスタマイズ型津波解析プラットフォームの検討になります。東大地震研の古村孝志教授が研究代表者です。 ここでの目的は、今後の適切な地震・津波防災対策、そして災害に対してレジリエント(早期回復力)な地域社会の実現に向け、リアルタイム観測情報に加えて人工知能やスパコン等の最新ICTを駆使した高度な解析・予測技術により、都市域・臨海工業地域を含む川崎市をターゲットに地域カスタマイズ型の津波減災を産官学協働により世界に先駆けて実現することになります。
川崎市での津波の特徴として:
1.《2つの地震で異なる津波リスク》南海トラフ巨大地震の想定では津波到達まで6~70分の時間的猶予がある一方、東京湾内で起きる首都直下地震や関東地震では、津波到達は数分以内となります。この2つの想定津波への対策の共通点・相違点の整理が必要になります。
2.《海上交通が活発》人工運河が発達した臨海部では船舶の運航が活発です。海上交通の安全確保の観点から、運河での津波の波高、流速、継続性についての十分な把握が必要です。
3.《避難路が限定的》臨海部の埋め立て人工島は橋梁や高速道路で結ばれており、車の渋滞が避難のボトルネックとなります。津波到達の猶予時間や浸水予測に基づく避難誘導等の事前検討が不可欠です。
4.《 経済・産業被害が課題》臨海域(工業地帯)では、津波予測が工場等の操業停止の判断に大きく影響し、津波予測精度を含めた総合判断が経済や産業活動の重要課題となります。被害を受けても早く活動を開始することが、この地域だけでなく、日本全体に効果を与えます。これらの地域性を考慮し、さらにユーザーニーズを取り入れた有益な地域カスタマイズ情報を提供できる津波解析プラットフォームを構築するために、(1)発災時の地震津波モニタリング情報に基づいて提供できる情報は何か、(2)事前対策として行うべきことは何か、の観点から技術開発を行い、その有用性について市の防災担当者や関係者と議論していきます。

<2018年8月19日>異常現象が観測された後の対応~南海トラフでの検討

東海地震に関しては、大震法に基づき、観測網を充実させることにより地震予知を可能にし、予知情報をもとに警戒宣言などを出す体制がとられてきましたが、政府は昨年、地震予知を前提とせず、異常現象の観測時点で住民に警戒を求める方針に転じています。内閣府に「南海トラフ沿いの地震観測・評価に基づく防災対応のあり方について」という検討会が立ち上がりました。これに伴い、静岡県や高知県では、具体的な検討が進められています。先日、静岡県で開催された防災・原子力学術会議で、南海トラフ巨大地震を想定した県の防災対応について議論されました。
①4つのシナリオに対しての意見、~シナリオ1(半割れケース)は特別な扱いが必要であり、「原則、平時の生活を継続する」とした基本的な考え方の適応が難しいという意見が挙がりました。
②津波の到達時間など、地域ごとの脆弱性に沿った対応の複雑さを指摘する意見~火山の噴火レベルのように、レベルなどでまとめて表現してはどうか、脆弱性の定義に津波の流速などを考慮する必要性などが指摘されました。
③避難生活が長期化する場合の受忍(我慢)期間への工夫を求める意見などが出されました。

https://www.sankei.com/photo/daily/news/180718/dly1807180025-n1.html
静岡県や高知県、中部圏がモデル地区に選ばれ、今後も対応を検討していきます。

<2018年8月12日>海岸林の津波減災効果に関する研究

地震津波リスク評価寄附研究部門 林晃大さんからの報告
 東日本大震災時の宮城県仙台平野の沿岸津波浸水域における建物被害データを用いて、沿岸部での海岸林の分布、標高や汀線からの距離といった地形諸条件、沿岸部における想定津波波高などの水理諸元から、建物被災状況を推定する「定量評価手法」を提案しました。定量評価手法の構築に際して、仙台平野域の宮城県5市町における、東日本大震災時の実被害データを用いました。対象地域では、おおよそ海岸林の林帯幅に応じて、構造種別毎の被災区分の軽減傾向を確認しました。さらに、実被害データと津波数値解析より、海岸林の存在、建物立地点における津波外力、各建物の立地・地形勾配、津波外力の減衰率といった要素を組み合わせることで、推定される建物被災状況を評価する式を作成して、その妥当性を確認しました。評価式を作成したことで、海岸林の林帯幅に応じた津波減災効果を確認しました。また、木造や軽量鉄骨造といった比較的耐力の小さい構造物では、海岸林や地形の影響によって津波が減衰されることが、建物被災状況を軽度にするうえで重要な要素であることがわかりました。この手法により、評価対象とする建物構造や、海岸林の林帯幅、標高、津波水理諸元を定めることにより、他地域でも個々の建物被災程度を定量的に推定することが期待されます。現在、インドネシアにおける海岸林群生地域を対象に、仙台平野で得られた知見を生かして、津波減災効果を評価する試みを実施しているところです。

<2018年8月5日>最近の自然災害での犠牲者について

さまざまな災害が多発していますが、「災害弱者」または「要支援者」となる高齢者が多く犠牲になっている実態が浮き彫りになっています。そのおもな理由としては:
・危険を認知しにくい、訓練などへの参加、情報を入手しにくい。
・垂直避難も難しい(1階で生活・就寝をされている場合が多い)
・避難所での環境が厳しい(持病をお持ちで投薬が必要、プライバシー確保が難しい)
さらに、過去の災害の経験があだになる場合もあります。
東日本大震災では、被害が大きかった岩手・宮城・福島3県で収容された死亡者数は1万5786人(2012年3月現在)にのぼり、年齢が判明したのは1万5331人。そのうち、60歳以上は1万85人となり、約65%は高齢者だと判明しました。
また、2016年8月の台風10号により死者23名・行方不明者4名が発生しましたが、高齢者施設の入居者9人が犠牲になられています。65歳以上が78%(21人)、65歳未満が22%( 6 人)でした。この実態を受けて、その1年後には、岩手での浸水想定区域の高齢者施設のうち7割が避難計画を策定されています。
そして、西日本豪雨災害では、判明している死者のうち、年齢や死亡した状況が明らかになっている141人について調べた結果、60歳以上が100人で7割を超えたことが報告されています。

<2018年7月29日>宮城県での防災運動会

「みやぎ防災・減災円卓会議」は、研究機関・自治体・民間組織・報道機関・企業などがゆるやかにつながり、情報や研究成果などを横断的に共有し、震災教訓の集約や啓発の継続に向けた基盤づくりを目的とした組織で、2015年4月、国連防災世界会議の直後に設立されました。今回、円卓会議発足以来初めての取り組みとして、市民への防災教育・啓発活動の一環としての『防災運動会』を開催しました。
http://entaku.main.jp/entaku/sportsday2018/
河北新報社および東北福祉大学による企画・運営、宮城教育大学附属特別支援学校からの会場提供、エフエム仙台、宮城学院女子大学、その他様々な関係者の皆さんによる協力を得て、円卓会議に登録する大学や行政、企業、報道機関など90団体の関係者と学生ら約130人が参加しました。参加者は3チームに分かれて下記の種目を競い合いました。
・防災知識を問う「減災○×クイズ」
・非常持ち出し袋に指定された防災グッズを詰め込む「災害時借り物競走」
・車いす利用者との避難を体験する「車いす避難リレー」
また、 防災に関連したアトラクションショーや防サイエンスショーもあり、最後には、エフエム仙台、宮城学院女子大学が中心となって、災害時に時間や手間をかけずに作るサバイバル飯(サバメシ)作りや試食もありました。多彩なゲームや競技に参加する中で、学びながら体を動かし、防災・減災への理解や関心を深められる『防災運動会』の取り組みが拡がってほしいと思っております。

<2018年7月22日>全国での防災運動会の動き

防災に関する取り組みは、避難訓練や、防災講演会など、さまざま実施されていますが、より広く継続的に参加いただくための工夫が検討されています。この中で、いま注目されているのが防災運動会です。
  ・子供やお年寄りなども幅広く参加できる。・参加や企画する皆さんが負担にならない工夫をする。・普及・定着させるために「楽しい」という要素も入れ込むことがポイントです。
本日は、いくつかの事例を紹介いたします;
①北海道留萌建設協会二世会(インフラ関連事業者皆さん) https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kokudo_kyoujinka/h28_minkan/pdf/0620.pdf
楽しみながら学ぶ「防災運動会」と「防災授業」を企画
行政機関と民間企業が一体となって防災活動に対する基礎能力を高めることができないかと考え、留萌市との共催による防災運動会を平成 24 年より 26 年まで開催。
★「簡易 担架リレー」
★ チームの連携が大切な「バケツリレー」
★ 普段使うことのない「土のう積みレース」
②社会福祉法人 岐阜アソシア https://www.gifu-associa.com/pdf/2009bousaiundoukai.pdf
内閣府主催防災教育チャレンジプランの「防災教育優秀賞」、総務省消防庁「消防庁長官賞」を受賞。
★あんしん・安全 搬送リレー
★ おいしく 楽しく非常食準備競争
★ 防災借り物競争
★ 水だー土のうだー 一緒に積上げ競争
★ チーム対抗バケツリレー
③愛知県瀬戸市主催 防災運動会~防災訓練体験型運動会~瀬戸発!まるっと地域力:: http://www.seto-chiiki.com/chiikiryoku/?events
★避難所設営訓練:各町内力を合わせてテントを張り避難所を設営する。
★大声競技:測定器に向かって「火事だ~」と大声で叫ぶ。
★けが人搬送訓練:物干し竿と毛布で簡易担架を作りけが人を搬送する。
★防災クイズ:出題者が問題を出し4択で答える。
★バケツリレー競技:水槽から水を汲み次の人につなぐ。
★水パック消火訓練:水の入ったビニール袋を前方の的にめがけて投げる

<2018年7月15日>スロースリップ (ゆっくり地震、 サイレント地震)

「スロースリップ」とは、地震学の用語で、普通の地震によるプレートのすべり(スリップ)よりもはるかに遅い速度で発生する滑り現象のことです。「スローイベント」「ゆっくりすべり」「ゆっくり地震」などとも呼ばれますが、厳密には「スロースリップ」か「ゆっくりすべり」が最も的確に意味を表しています。プレートの沈み込み帯における固着域(アスペリティー)と関係があり、この周辺にスロースリップがあると言われています。このスロースリップは、房総沖などの海溝・沈み込み帯ではよく見られる現象です。他に、東海地方、南関東、日向灘沖、三陸沖などがあります。国土地理院の観測によるとフィリピン海プレートと陸側プレートの境界で約10cmのすべりがGPS測定で観測されています。今年6月に入り千葉県内でM4以上の地震が相次いでいます。21日には、県南東沖を震源とし、鴨川市で震度3を観測する地震が発生。16日には一宮、長南両町で震度4の地震が起きました。ここでは、陸側と海側のプレートが地下の境界でゆっくりと滑るスロースリップが起き、地震を誘発しているのが要因とみられています。防災科学技術研究所によりますと、房総半島沖では2~7年間隔でスロースリップが発生していると報告されています。実際、房総沖では、過去に1996年5月(約8cm)、2002年10月(約13cm)、2007年8月(約12cm)、2011年10月(約20cm)のスロースリップが報告されています。今回のスロースリップは6月3日ごろから8日の昼にかけ県東方沖で観測されるようになり、その後8日から12日にかけ房総半島の南東部、13~14日には勝浦市周辺やその沖合の領域と、現在も少しずつ場所を変えながら継続しているとみられます。
 一般に地震と言えば、せいぜい 1分間程度(東日本大震災の場合には3分でしたが)の短い時間に地下の岩盤中で破壊が進行し、それに伴って地震波が地中を伝播して地表を激しく揺らし被害をもたらします。しかし、歪計やGPSなどの地殻変動連続観測によって、このような従来の地震観に修正を迫るようなゆっくりとした地殻の動きが確認出来るようになりました。これらは地震動を出さないほど (地震計では検出できないほど) ゆっくりではあるものの、地震の震源で起こる断層のすべり運動と同様な岩盤の動きをするような現象が地下で発生していると考えられています。

<2018年7月8日>大阪府北部での地震について

6月18日7時58分頃大阪府北部を震源とする直下型地震が発生しました。地震の規模はマグニチュード6.1、震源の深さは13 kmで、最大震度6弱を大阪市北区・高槻市・枚方市・茨木市・箕面市の5市区で観測しました。気象庁が1923年(大正12年)に観測を開始して以来、大阪府で震度6弱以上の揺れを観測したのは初めてです。
当時、電気、水道、ガスなどのライフラインが全て止まり、関西の交通は大混乱に陥りました。さらに、倒壊したブロック塀の下敷きになって9歳の女児が死亡するなど、死者5人、負傷者370人以上がでました。40年前の宮城県沖地震での教訓が活かされなかったと言えます。住宅の損壊300棟以上という大きな被害になりました。
発生後のライフラインの回復については、関西電力では、18日8時20分時点で大阪府内の約17万戸、兵庫県内の約690戸で停電していましたが、2時間後にはすべて復旧しました。NTTドコモやNTT東日本・西日本は、災害時優先電話の確保と輻輳防止のため、大阪方面への通話を制限していましたがその日の12時までにほぼ解除しました。一方で、大阪ガスでは合わせて11万戸を対象に安全確保のために都市ガス供給を停止し、復旧には約1週間かかりました。
西日本での過去の地震活動の事例から、慶長時代と現在の活動の類似性について、話題が高まっています。前回の南海トラフ地震によってしばらく発生がおさえられていた断層で起きたものであり、次の南海トラフ地震に向けた活発化のメカニズムと整合するものだったと言えます。ただし、このメカニズムから、次の南海トラフの地震までの間隔が、数十年の猶予があるか、非常に切迫しているかの推定はできません(JASMTEC,高峰ニュースコラム)http://www.jamstec.go.jp/j/jamstec_news/20180622/?tw
また、この地震に先立つ6月7日、土木学会が南海トラフ巨大地震に関する衝撃的な数字を発表しました。マグニチュードが9.1と想定される巨大地震の揺れと津波災害によって、発生後20年間の被害額が推計1410兆円に達するという結果を出しました。具体的には、道路や港など社会インフラが破壊されるばかりか、日本最大の工業地帯が壊滅することで、長期にわたって国民所得が大幅に減少すると想定されました。

<2018年7月1日>震災の経験と教訓を伝承する取組~有識者会議の提言書

「東日本大震災と同じ犠牲と混乱を繰り返さないために」と題して、東日本大震災の記憶・教訓伝承のあり方検討有識者会議の意見とりまとめがHPに掲載されております。 https://www.pref.miyagi.jp/soshiki/fukusui/densyou-yuusikisyakaigi.html
この提言書には、検討のフレーム、記憶・教訓の伝承の理念(なぜ、必要なのか?)、伝承のあるべき姿について(誰に、何を、どのようにして、誰が?)整理し、最後に、震災の記憶・教訓の伝承に向けた連携・ネットワークについてまとめられています。震災遺構・伝承施設単体では、震災全体の姿を理解して頂くことが難しく、さらに単独での求心力が弱いことから、県内外での沿岸全域の資源をネットワーク化し、連携・役割分担することで、来訪者のニーズに合わせた、オーダーメイドによる周遊パッケージの提供を可能とし、多くの来訪者を呼び込むとともに、継続して訪問いただき、学びある機会を提供するなど復興ツーリズムを創造すると謳っています。
取組主体の連携・ネットワーク化は大変に重要であり、既に伝承に取り組んでいる多様な主体が連携することにより、地域の方々が防災・減災への関心と理解を深め、それぞれの取組で知見を普及啓発するとともに、国内外に情報発信を続けていくことで、防災・減災の地域文化の担い手を育成することが期待できます。今後、宮城県において、震災の記憶・教訓の伝承を継続的に行っていくためには、3つの複層的なネットワークのみならず、住民や様々な主体との繋がり、過去及び国内外の災害との連携を行っていくためにも、伝承や啓発に関する拠点機能を発揮できる中核組織が必要であると考えています。このような提言書が出されていますが、今だ、県からのリアクションがありません。このまま構想が実現できないことは、大変不本意な状況になると思っております。あの大震災の経験を繋げてく活動を宮城県も主体的に検討して頂きたいと強く思っております。みなさまも是非この提言書をご覧いただき、お考えください。

<2018年6月24日>学校で防災~大川小学校での津波事故について

東日本大震災での津波で、石巻市大川小の児童108人のうち70人が死亡し、4人が今も行方不明、教職員11人のうち教務主任を除く10人も犠牲となりました。学校は北上川河口から約3.7キロ離れ、海抜約1.1m。市の津波ハザードマップでは浸水予想区域外でありました。地震発生の約50分後に津波が襲来し、最高水位は高さ約8.7m に達しました。学校管理下で戦後最悪の事故となります。4月26日、児童のご遺族が、石巻市と宮城県に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、仙台高裁は教員らの避難対応の過失のみを認定した一審仙台地裁判決をさらに一歩進め、「学校は津波避難場所を定めておくべきだった」とした判決を出しました。学校の事前防災を巡り、法的責任を認めた司法判断は初めてであり、学校保健安全法を論拠に学校と市教委が負うべき「安全確保義務」も初めて定義されました。

主な判決内容として(河北新報より引用)
https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201804/20180427_13006.html

「校長らは児童を守るため、平均より高いレベルの防災知識を収集・蓄積しなければならない職務上の立場にある」と強調。一部学区が津波浸水予想区域を含み、校舎が北上川堤防から西に約200メートルと近接することから「津波で浸水する危険性はあったと言うべきで、予見は可能だった」と認定しました。大川小の危機管理マニュアルが校庭からの避難場所を「近隣の空き地・公園等」としたのは「不適切」とし、校長らは遅くとも市教委にマニュアルを提出した2010年4月までに、堤防付近の三角地帯(標高6~7メートル)を経由した林道を避難場所と明記し、市教委は内容を確認して不備を指摘すべきだったと判断しています。今後、学校、地域、大学等の連携がさらに重要になると思います。特に、科学的知見、評価への期待は大きいと考えますが、不確定性、不確実性の課題は常に存在するため、その状況下での判断・対応が求められています。当時、気仙沼市や東松島市でのハザードマップには、「ある条件のもとで想定した津波浸水域ですので、浸水区域の外であっても想定を越えた津波が発生すれば被害が生じてしまいますので、油断することなく日頃から避難や防災について考えておきましょう」という文言が赤字で明記されていました。石巻市の「河北地区防災ガイド・ハザードマップ」(平成21年3月)によれば、大川小学校は、津波の予想浸水域から外れており、津波の際の避難所として示されていました。さらに、当時の市の計画によれば、「津波・洪水の避難所としては浸水しない施設であること」とされていますが、これは、本来の「指定緊急避難場所」として相応しいかの判断なしに、浸水図だけで決めたと思われます。「指定緊急避難場所」と「指定避難所」の二つの明確な区別がここでも重要となっていると思います。

<2018年6月17日>結プロジェクトの活動と成果
(プロジェクト講師 保田真理さんからの報告)


東北大学減災意識啓発出前授業「結」プロジェクトは平成26年度からスタートし、平成30年3月末までの4年間に12,000名が受講しました。被災3件、南海トラフ地震エリア、ハワイ、タイ、フィリピン、インドネシアなどの海外でも実施しました。減災ポケットは4年間で小学5年生に約50,000枚が配布されました。これらの費用は東北大学にいただいた寄付金「減災教育基金」で賄われています。この一連の活動が評価され【ジャパン・レジリエンス・アワード2018 金賞受賞】を受賞しました。ジャパン・レジリエンス・アワードとは、次世代に向けたレジリエンス社会構築のため(言い換えれば、災害にも逞しく生きぬき、災害に負けない再生する社会を作る)事を目的として、全国から「強くてしなやかな国づくり、地域づくり、人づくり、産業づくりに資する活動等」をしている企業・団体を評価表彰する制度です。児童を通じて、家庭へ、家庭から地域へと減災意識を拡散させていく試みが一定の評価を受けたことになります。
5年目を迎える今年度は、減災ポケットを被災3県の全小学5年生に配布するという形から、出前授業を希望する学校に出前授業と一緒に直接お届けすることになりました。被災3件以外でもご希望があれば足を運ぼうと思っています。

<2018年6月10日>宮城県沖地震から40年

1978年(昭和53年)6月12日の17時14分25秒(JST)にマグニチュード7.4の地震が発生しました。最大震度は仙台市などで観測した震度5(強震)、東京でも震度4(中震)を記録しました。平均37.1年の間隔で複数回起きた宮城県沖地震の一つです。被害としては、死者28名(ブロック塀などの下敷き18名)、建物の全半壊7400戸、停電70万戸、断水7000戸で、初めての都市型災害とされています。
負傷者は、市内で10,000人以上に及びましたが、中でも屋外への急な飛び出しによる負傷者、ガラス片や落下物による負傷者が目立ちました。卸町団地での286社の社屋のうち、全壊3社、半壊262社の被害を生じたほか、市の南東部で大きな被害が発生するなど、被害の発生が地盤条件などにより大きく影響される傾向が見られました。また、家屋倒壊被害が甚大であったために3年後の1981年の建築基準法の改正につながりました。建築物の耐震基準の強化で「震度5強程度の中規模地震では軽微な損傷、震度6強から7程度の大規模地震でも倒壊は免れる」強さとすることが義務づけられました。
宮城県では、昭和38年から「宮城県総合防災訓練」として毎年訓練を実施していましたが、この宮城県沖地震を契機として、6月12日を「みやぎ県民防災の日」として総合防災訓練が行われるようになりました。仙台市でも同様に、「市民防災の日」とされ、市民が一斉に、災害への備えを確認する日としています。昨年、仙台市は初めてシェイクアウト訓練を導入しました。地区防災訓練の参加者が平均約3,000人であるのに対して、42,000人が参加しました。その際に、家具の転倒防止確認及び食料等備蓄物資の確認も奨励しています。
宮城県沖地震により、行政のみならず地域・市民の防災対策が大きく変わり、東日本大震災でも、地震災害に対して一定の効果があったと報告されています。この震災で、宮城県沖での地震の蓄積エネルギーが解放されたと言われますが、7年が経ち、次ぎの宮城県沖地震発生への準備が始まっています。

<2018年6月3日>岩手・宮城内陸地震から10年に

2008年6月14日午前8時43分頃に岩手県内陸南部で発生した、マグニチュード7.2の大地震でした。岩手県奥州市と宮城県栗原市において最大震度6強を観測し、この2市を中心に被害が発生しました。約1カ月前に四川大地震が起きたこともあり、外国メディアも高い関心を示しました。また、中国の主席胡錦濤と国務院総理温家宝が、内閣総理大臣福田康夫に対し「心からのお見舞い」を伝えています。
被害の特徴としては、揺れが強く建物被害が少なく土砂災害が多いことが挙げられます。栗駒山周辺をはじめとした山体崩壊や土砂崩れ、河道閉塞が多く生じました。一方で、0.5秒以下の極短周期成分の震動が卓越し、建物の大きな被害を引き起こすとされる1~2秒の震動成分が小さかったことが、震度のわりに建物被害が少かった原因と考えられています。この地震により17名が死亡、6名が行方不明となり、負傷者は426名にのぼりました。死亡原因は落石、土砂崩れ、土石流、車両埋没、地震に驚き道路に飛び出したことによる交通事故などです。その後、岩手・宮城両県で350施設の宿泊状況を調べたところ、風評被害による宿泊キャンセルが2万人にもなったと報告されています。
復興関連事業として、ジオパーク活動が挙げられます。2015年9月に「栗駒山麓ジオパーク」として認定されています。栗駒火山から迫三川で結ばれた広大な平野部までの多様な自然と、人々が災害を克服し、豊かな地域文化を育む地域として認定されたものです。栗駒山麓ならではの個性豊かなジオパークを展開していく予定です。(○ジオサイト・ジオポイントの継続調査 ○ビューポイントの選定及びビジターセンターなどの整備 ○ジオガイド養成、旅行会社と連携したジオツーリズムの推進 ○小・中学校への自然教育、防災教育の場の提供 ○地元食や特産品、地場産業への応援)

<2018年5月27日>日本海中部地震津波について

1983年5月26日11時59分57秒、日本海で発生したM7.7の地震で、日本海沿岸地域に大津波が襲い、104名が死亡、10mを越えた津波による犠牲者は100名にもなりました。1964年新潟地震、1993年北海道南西沖地震と共に、日本海東縁の変動帯の存在が指摘されるようになりました。
地震・津波に慣れていない日本海側では地震発生後、津波に対する対応が遅れたため、遠足で訪れていた小学校の児童13人が浜で溺れ、湾岸で作業をしていた工事関係者36人中35人が犠牲となり、漁に出ていた漁業関係者なども犠牲となりました。韓国ソ連側でも死者が生じました。
秋田県では日本海中部地震の犠牲者を追悼するため、例年5月26日を「県民防災の日」として注意喚起を促すとともに、県内各地で大地震を想定した防災訓練が実施されています。
また、この日本海中部地震津波を題材に、人気マンガ「釣りキチ三平」の作者・矢口高雄さんが「激涛(げきとう)~マグニチュード7.7」を描かれました。犠牲者の中で12人が釣り人だったことから、秋田県つり連合会が亡くなった人や、逃げ延びた人を追跡調査されました。発生から3年後、その本を読んだ矢口さんが「釣りを題材としてきた以上、取り組まないわけにはいかない」と現地に取材に向かい、3年後ビッグコミックに連載されました。
磯場の釣り人を突然襲う津波や車を巻き込む引き波の強さなど当時の状況が鮮明に描かれています。
漫画の中では、対策として
(1) 携帯ラジオで津波警報を聞き逃さない
(2) ライフジャケットを必ず着用する
(3) 磯場などではハーケンを打ち込んで、命綱を固定しておく
――などが提案されています。スマトラ沖地震・津波災害を見て、「津波の恐ろしさを、今、再び伝えたい」ということで、2005年7月に講談社から復刊されました。
参考:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%BF%80%E6%BF%A4_Magnitude_7.7

<2018年5月20日>5月に発生した主な地震

5月に発生した主な地震を紹介したいと思います。
○1792年5月21日(寛政4年4月1日) 島原大変・肥後迷惑
 島原半島の雲仙普賢岳の噴火によってできた眉山の溶岩ドームが、地震の揺れによって山体崩壊し、有明海に流れ込みました。これによって大津波が発生し、島原や対岸の熊本(肥後国)に津波が襲い、1万5千人にも及ぶ犠牲者を出しました。島原大変・肥後迷惑と呼ばれています。島原市の九十九(つくも)島は、このときに流れ込んだ岩塊が残ったものです。

○1847年5月8日(弘化4年3月24日) 善光寺地震
 長野盆地西縁断層が活動したM7.4程度の内陸直下の地震です。逆断層の上盤に当たる断層西側の地域で多くの地震被害が出ました。ちょうど、善光寺如来の御開帳の期間に重なったため、全国から集まった参詣者が多く犠牲になりました。また、山崩れにより犀(さい)川が河道閉塞され、後日、閉塞部が決壊したため大洪水となり、下流部で多くの犠牲者が出ました。

○1960年(昭和35年)5月23日 チリ地震津波
 観測史上最大のM9.5の超巨大地震であるチリ地震によって生じた津波で、地震発生後22時間後に我が国に到達しました。北海道やリアス式海岸の三陸地方を中心に高さ6mを超える津波に見舞われ、日本国内での死者は142人に上りました。西日本でも三重県のリアス式海岸の被害も大きく、真珠の養殖いかだなどが流されました。

○1968年(昭和43年)5月16日 十勝沖地震
 M7.9のプレート境界の地震で、十勝沖と称されていますが、実際には三陸北部に震源域がありました。三陸沿岸で5mの津波があり、死者・行方不明者52人が発生しました。この地震で、鉄筋コンクリート造の学校建築などが多く被害を受けたため、その後の耐震基準の改正につながりました。

○1983年(昭和58年)5月26日 日本海中部地震
 日本海で発生したM7.7の地震で、日本海沿岸地域に大津波が襲い、104名の死者が出ました。男鹿市では海岸に遠足で訪れていた小学校の児童が津波に襲われ、13人が犠牲になりました。

○2018年5月4日前後で、ハワイ島での火山噴火、地震、津波が発生しました。ハワイ島のキラウエア火山が噴火、4日にM6.9の地震が発生し、10~40cm程度の津波も観測されました。いまだ火山活動が続いています。
参考:https://news.yahoo.co.jp/byline/fukuwanobuo/20180502-00084719/

<2018年5月13日>四川大地震から10年

2008年5月12日14時28分、マグニチュード8.0の大地震が四川を襲いました。死者数は8万人を超え、被災者数は4,600万人以上と言われています。さらに、2013年4月20日、この南部で四川芦山地震・雅安地震(M7)が発生しました。しかし、震災以前からの西部大開発計画事業や、震災後の対口支援方式によりインフラ整備などの復興事業が進んでおり、世界でも注目を浴びました。
トレンドリーダーと呼ばれる防災に関するテキストマニングの特許技術を活用して、この四川大地震の解析結果が紹介されています。防災テック(株)によるテキストマイニングでは、2,000を超える四川地震に関するニュースを分析することで、どのタイミングでどのようなキーワードが問題になったのか理解できます。
1日間:「支援」「救助」「死者」「市民」など災害対応の初期段階で見られるような一般的なキーワードが抽出されました。
3日間:「救出」や「がれき」、また注目すべきキーワードは「綿陽」と「聖火リレー」です。数ヶ月後には北京オリンピックが迫っていて、聖火リレーについて賛否が分かれていました。
1ヶ月間:「自衛隊」「パンダ」「ダム」「湖」、パンダが街中に逃げ出したこと、地震の原因がダム建設の影響、また、湖が決壊したというデマが流布しました。
昨年、この四川大地震やその後の地震の被災地や復興した地域を訪問させていただきましたが、被災した町がほぼそのままの状態で保存され公開されています。また、豊富な展示や記録が収集されている博物館も開設されています。一方、いまだ多くの被災者が震災に関連する「こころの傷」を抱えておられるそうです。家族や友人を失った深い悲しみを負った人々。今もなお、アルコール依存やうつ、PTSD(心的外傷後ストレス障害)等が報告され、支援の充実が求められています。

<2018年5月6日>全国統一防災模試の結果

Yahoo! JAPANが、3月にアプリ内で実施した「全国統一防災模試」に、約65万人が参加されました。ネーミングのユニークさや印象的なテレビCMも効果的で、若い世代の参加も格段に高い結果になりました。また、スマートホンの機能を活用したり、簡単に回答出来ない設問もあり、チャレンジ心を揺さぶる内容でありました。
1,556,246人が挑戦し、その41.8%にあたる649,968人が最後まで受験されたということです。平均点は55.22点で、100点を取られた方は8,176名もおられたそうです。地域別では東北地方の平均点が最も高く55.9点、都道府県別では宮城県「57.96点」、福島県「56.57点」、熊本県「56.43点」など、直近で大きな災害が起きた地域で高くなる傾向にありました。
もう少し詳しく紹介しますと:トップ5「宮城県」「東京都」「神奈川県」「千葉県」「熊本県」、
平均点・偏差値のトップ5は、「宮城県」「高知県」「福島県」「熊本県」「岩手県」。
被災地だけではなく、首都圏や南海トラフ地震の被害が想定される地域の意識が高いことが示されました。また、年代別平均点では10代が高い一方、高齢者は低い傾向。また、女性の方が男性よりも参加人数が多い結果になりました。「避難場所」「災害時帰宅支援ステーションとなり得る場所」「災害用伝言ダイヤル」といった、発災直後の行動の正答率が低い傾向であったそうです。全国統一防災模試で出題された問題は1つのパターンであり、常に正解とは限らないこと、また受験して終わりではなく、日頃から防災グッズの準備や点検、避難経路の確認を行うなどの防災活動を促していました。是非、来年も続けていただきたいと思います。
https://bousai.yahoo.co.jp/pr/201803/
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000057.000014803.html

<2018年4月29日>熊本地震、復興活動の今

本日は、2つの活動を紹介したいと思います。まずは、震度7の揺れに2度も襲われ、余震が4300回以上も続く未曾有の災害に対し、熊本県は「被災者の痛みの最小化を図る」「創造的復興を成し遂げる」「復旧・復興を熊本の更なる発展につなげる」という3原則のもと、目の前の一つ一つの困難に立ち向かい、懸命に対応されてきました。このような活動の1つが、歴史文化とも関係したイベントです。世界遺産である人形浄瑠璃「文楽」のイベント「にっぽん文楽in熊本城」が、復興のシンボルである熊本城を背景に、二の丸広場に桧造りの本格的な組立舞台を設置し、3月17日から4日間にわたり実施されたのです。復興への思いを形成するには、このような企画が重要な役割を担っていると思います。震災前の地域はどのような歴史文化を持っていたのか?失ったものは、すべてを再生することはできませんが、何を新しく創り出して行くのかが問われていると思います。
もう1つは、災害対応の検証報告です。現在、熊本地震の発災4か月以降の復旧・復興期における県の取組について、主に「具体的な取組」「課題となった点」「改善に向けた取組・方向性」の視点から取りまとめられ、3月27日公表されました。また、災害対応の陣頭指揮等にあたった知事及び県内8市町村長へのインタビュー(オーラルヒストリー)や県内の市町村や関係機関・団体の対応・取組等についても掲載しています。
http://www.pref.kumamoto.jp/kiji_23049.html
例えば、蒲島知事からは、遠慮の文化を捨てる、3倍の支援要請、受援の課題、ハンティントンのギャップ仮説(期待と実態の乖離、期待が変化する)が紹介されています。

<2018年4月22日>熊本地震について

2016年4月14日21時以降に、熊本県と大分県で相次いで発生した地震です。
震度7を観測する地震が4月14日夜および16日未明に発生したほか、最大震度6強の地震が2回、6弱の地震が3回発生しました。
14日の地震は日奈久(ひなぐ)断層帯の北端部の活動、16日未明の地震は布田川断層帯の活動によると推定され、接する二つの断層帯が連動することで発生した連動型地震とみられています。別々の断層帯でなく、一続きの断層帯とみるべきであり、活発な断層帯が隣り合う特別な条件下において一連の地震が発生したことになります。
被害の実態としては、2018年2月14日の時点での消防庁発表によりますと、住宅全壊が8,667棟、半壊が34,643棟、一部破損が162,460棟にも及びました。さらに、人的被害として、倒壊した住宅の下敷きになったり、土砂崩れに巻き込まれるなどして、熊本県で合計50人の死亡(直接死)が確認されています。また、避難生活によるストレスや持病の悪化などで亡くなる震災関連死も相次ぎ、203人にのぼっています。内訳は、静脈血栓塞栓症(エコノミークラス症候群)などにより車中泊後に死亡した人が少なくとも33人、病院や高齢者施設が被災して転院・移動中に死亡した人が少なくとも27人などとなっています。
また、多くの文化財が被害に遭いました。熊本城では、天守閣の屋根瓦が崩れた上に屋上にあったしゃちほこが落下し、石垣が少なくとも6か所で崩れ、塀が100mに渡って倒壊しました。また、熊本洋学校教師館ジェーンズ邸は、14日の前震で壁が崩壊する被害があり、16日の本震では建物が崩落しました。
さらに、阿蘇神社では、重要文化財の楼門と拝殿が全壊しています。これらの施設の復旧にはかなりの時間がかかります。

<2018年4月15日>Team Sendaiの活動紹介

仙台市職員の方々の東日本大震災に関する活動の紹介です。震災前の2010年9月に、職場同士の学び合いの場、ネットワークづくりの場をつくるために、自主的研究グループ Team Sendai が結成さました。震災を受け、その年の11月にメンバーが集まり、近況報告などを行いました。職員それぞれに大変なエピソードがあり、そこには、現場の苦労から生まれた知恵や教訓が含まれていることに驚かれたということです。その後に、震災記録チームが結成され、災害対応業務に従事した職員の体験を後世に伝えるため、職員へのヒアリングや伝承活動に取り組まれています。さらに、災害エスノグラフィー調査や朗読という新しい活動に発展しております。先月3月18日には、「あれから7年スペシャルー1000年に一度といわれる体験を、100年後の人たちへ」というテーマの会合を災害研で開催されました。以下がおもな内容です。

・ 仙台市職員への災害エスノグラフィー調査報告(災害研、富士大学などとの共同研究)
・「朗読」「映像」「本人語り」で伝える仙台市職員の震災体験
・ あなたは休んでください、下水は止められない、「任せたよ」の一言でスイッチが入った
・ 写真と記憶をつなぐ解説をつくろう ~一枚の写真がつむぐそれぞれのストーリー~
・ 世界初!? 防災-衣★食★住
 ・Sendai Bosai Collection (衣)
 ・サバ飯(サバイバルごはん)ライブキッチン (食)
 ・女性建築士 × 段ボール (住)
・ 100年後の人たちへ伝えるためのワークショップ

<2018年4月8日>川崎市での津波減災のためのICT活用プロジェクト

先月3月15日に、神奈川県川崎市のラゾーナ川崎プラザソルで、当研究所、東京大学地震研究所、富士通株式会社、川崎市の共催、内閣府政策統括官(防災担当)、気象庁の後援によるシンポジウム「津波被害軽減へのICTの活用~産学官連携によるチャレンジ~」を開催しました。
このシンポジウムは2017年11月に開始した、産官学連携による川崎市を舞台にした地域カスタマイズ型津波減災技術に関する共同プロジェクトのキックオフを兼ねた防災講演会で、臨海部の企業や自主防災組織を中心に170名にご参加いただきました。参加者の関心が高く、講演後は多くの質問をいただきました。
シンポジウムでは、川崎市の福田紀彦市長、富士通の北岡俊治執行役員常務が開会の挨拶を行い、西出則武氏(前・気象庁長官、富士通研究所顧問、東北大学特任教授)と私が基調講演を行い、川崎市の高橋実危機管理室長、地震研究所の古村孝志教授、富士通研究所の鈴木祥治取締役による講演が行われました。同臨海部では、慶長型地震の場合、発生から約96分後に最大となる約3.7メートルの津波の到達が予想されており、共同研究は、工業用埋め立て地を囲む運河特有の複雑な津波の動きや、人口密集地の避難行動を解析し、最新技術を使って混乱が少ない避難や対策を目指しています。臨海部の昼間人口34万人の避難シミュレーションの一部を紹介しましたが、避難行動で混雑や混乱が予想されます。臨海部の運河を複雑に動く津波を予測し、浸水するエリアを早い段階で正確に予測できれば、すぐに避難が必要な人と少し待ってもらっていい人を分ける対応も検討しています。

<2018年4月1日>アリューシャン地震と津波

4月1日、エイプリルフールにまつわるお話しを紹介します。
1946年4月1日、アリューシャン列島のウニマク島近くで地震があり、津波が発生しました。震源の深さ50km、モーメントマグニチュード(Mw)8.1[1] (表面波マグニチュード(Ms)は7.8)でした。ウニマク島では海抜40メートル程度の所にある灯台が津波で破壊されました。当時の証言にもとづく絵画も残っています。発生した津波はハワイで激甚な被害を出した他は、太平洋沿岸の北アメリカ西岸でも日本でもほとんど観測されず、ハワイに被害が集中しました。震源の向かい側にハワイ諸島が位置していたためです。
死者・行方不明者は165名、被害は2600万ドルに及びました。この津波被害を受け、アメリカは地震警戒システムを作ったのです。この組織は1949年に、太平洋津波警報センター(Pacific Tsunami Warning Center)という名称になりました。センターの名称にTsunamiということばが使われたことから、Tsunamiはアメリカにおいて津波を意味する学術用語化し、その後、国際語化する要因にもなりました。
地震発生から約5時間後、津波はハワイ諸島を襲いました。ハワイ全島での津波による犠牲者は159人にもなります。ハワイ島北東部のラウパホエホエでは、5~10mの津波が来襲し、海岸に建てられていた学校の生徒・教師24人が亡くなったのです。当日が、4月1日のエイプリル・フールであったことが悲劇につながったと言われています。現在、この場所にはグラウンドが広がり。太平洋を望む丘に犠牲者の名を刻んだ石碑が建てられています。当日の経験や記憶は語り継がれ、ハワイ島ヒロに、1988年に太平洋津波博物館も設置され、1960年のチリ津波の被災体験も含めて伝承しています。東日本大震災後の2015年6月には、岩手県大船渡市の大船渡津波伝承館と連携の覚書を交わしています。

<2018年3月25日>7年を迎えた東日本大震災での最新の取り組み

まず、昨年4月に開講した「311『伝える/備える』次世代塾」です。東日本大震災の伝承と防災啓発の担い手を育成するために、河北新報社などが企画した講座です。募集定員30人を大幅に上回る116人の大学生や社会人が登録、被災地の視察を含む年間15回の講座で震災の詳細に向き合い、教訓を学びました。先日17日に70名の受講生に修了証書が手渡されました。受講生たちは、連絡網「311次世代ネット」で繋がり、今後も情報交換を続ける予定です。第2期目の募集も始まりました。
https://ja-jp.facebook.com/311jisedai/

もう1つの活動を紹介します。
YAHOO!JAPANの「全国統一防災模試」です。スマートフォンのアプリを使って、大地震と大津波が起きた時の行動力や判断力を問うもので、3月1日のスタートから1週間で、すでに28万人以上が挑戦されました。災害科学国際研究所の佐藤翔輔准教授が監修しています。15分程度で手軽にでき、解答は解説付きで防災の基本的な知識が身につく仕掛けとなっていますが、問題は簡単ではなく、現在の平均点は55点未満です。あなたの「防災力」は何点?今月31日まで実施されていますので、是非チャレンジなさってみてください。
https://bousai.yahoo.co.jp/pr/201803/

<2018年3月18日>河川津波(7年を迎えた東日本大震災での防災の課題)

河川津波とは、河川を遡上する津波のことであり、東日本大震災でも発生し、新たな防災の課題となっています。
津波は海域から陸地に来襲しますが、特に河口などから入り、河川や運河・水路に沿って内陸深くまで伝播する特徴があります。場合によっては、河岸堤防を越えて市街地などに浸入し、大きな被害をもたらします。河川を遡上する津波の伝播速度は速く、海岸から来る津波より早く到達する場合が多くあります。陸上には、防潮林、堤防、建物、道路など、抵抗になる物がありますが、河川にはなく、かつ、もともと水深があるため、伝播の速度が非常に早くなるのです。河川津波は、途中の堤防を越え浸水することもありますので、後ろから津波に不意を突かれるという危険な状況も起こり得ます。東日本大震災では、津波の遡上は、河口から約50kmでも記録されていました。
さらに、津波が船舶や木材等の漂流物を巻き込みながら河川を遡上する場合もあり、これら漂流物が橋に衝突して落橋や橋桁の損傷といった被害をもたらす事もあります。また、橋に漂流物がたまってせき止め状態になり、津波の水位が急上昇することも報告されています。「河川津波~震災7年・知られざる脅威」としてNHKスペシャルでも紹介されましたが、海から2km離れた場所で、地震発生から約40分後に撮影された映像には、河川を遡ってきた津波が映っていました。そのスピードは、速いところで時速40km以上にもなりました。多賀城市の津波を解析し建物立地の密度が高い中、津波が非常に強くなることも示されました。これは都市型激流と言えます。逃げる手段や時間がない。これが都市での怖さになります。南海トラフ巨大地震が起きると、多くの都市で川から津波が溢れ、甚大な被害が出るおそれがあるのです。

<2018年3月11日>東日本大震災7年を迎えて

東北地方太平洋沖地震の余震は、現在も継続的に発生しています。岩手県沖から千葉県東方沖にかけての領域におよぶ広い範囲です。余震域で発生したM4.0以上の地震の発生数は、東北地方太平洋沖地震後の約1年間と比べて、その後の1年間(2012年3月~2013年2月)では5分の1以下、2年後からの1年間(2013年3月~2014年2月)では10分の1以下にまで減少しました。しかし、東北地方太平洋沖地震前の平均的な地震活動状況と比べると3倍以上と、依然として活発な状況にあります。また、2016年11月22日に発生した福島沖地震でも活発な活動がありました。アウターライズ型のような連動地震(誘発)も発生しています。海外では、2004年12月に発生したスマトラ北部西方沖の地震(Mw9.1)では、4ヵ月後にMw8.6、約2年半後にMw8.5、さらに約5年半後にMw7.5、約7年半後に海溝軸の外側の領域でMw8.6の地震が発生するなど、震源域およびその周辺で長期にわたり大きな地震が発生しています。
復興庁では、昨年から復興・創生期間に入り1年が経ちましたが、未だに、避難されている方は7.7万人おられると報告されています。
【住まい】民間住宅等用宅地:80% 災害公営住宅:92%
【農業】営農再開可能面積:84%
【水産加工業】施設の再開:93%
【観光】外国人宿泊者数:128%
という数字もありますが、被災地での地域づくりはこれからです。復興に当たっては、行政だけではなく、企業、NPO、地域住民・コミュニティなど、それぞれの主体による復興への取組・各主体間の連携が重要です。復興庁のページでは、多様な主体による復興への取組に関する情報をまとめて掲載していますのでご覧ください。http://www.reconstruction.go.jp/
民間では、Yahooなども活動を広く展開しています。昨年の3月11日、この日に「3.11」と検索された方おひとりにつき10円を募金として寄附、東北の復興活動に繋げる「Search for 3.11」プロジェクトを実施しました。42,945,320円を東北復興にたずさわる6つの団体へ寄付されました。https://fukko.yahoo.co.jp

<2018年3月4日>台湾での地震

先月2月6日(台湾標準時、23時50分)、台湾東部の花蓮県(かれいけん)近海を震源とする地震が発生しました。
地震の規模はMw 6.4 (USGS)、Mj 6.3 (気象庁)、花蓮県花蓮市、太魯閣、宜蘭県南澳郷で最大震度7級(中央気象局震度階級)を計測しました。
そもそも台湾は環太平洋火山帯上、フィリピン海プレートの西端の地震活動が活発な地域に位置しています。約42の活断層が地質学者によって特定されている地域になります。特に、フィリピン海プレートとユーラシアプレートの収れんによって発生しているのです。台湾における最古の記録地震は、オランダ統治時代、1624年に発生したものになります。20世紀には、91回の大規模な地震が観測されており、うち48回では死者もでているなど、地震の多発地域であると言っても過言ではありません。最近では1999年9月21日に発生した921大地震(中部の南投県集集鎮付近を震源)で、2415人が死亡しまいました。
現在、花蓮の人口は約10万人ですが、観光地としても人気があり、日本人の観光客も多くおられたと聞いています。地震は、沿岸域で発生したと推定され、揺れによる建物被害が報告されています。地震の規模が小さかったため、幸い津波の発生はありませんでした。花蓮では、半壊したホテルや住宅から約150人が救助されましたが、台湾当局によると、発生から5日間で確認された死者は16人、負傷者は285人にも及びます。市内の10階建のマーシャル・ホテル(統師大飯店)では、地下と1階部分が完全に崩れました。 今後、政府は被災者の生活支援や被災地の再建を本格化させる予定です。

<2018年2月25日>災害科学国際研究所でのシンポジウムについて

東日本大震災の発生から7年を迎えるにあたり、東北大学災害科学国際研究所ではシンポジウムを開催したします。是非、ご参加下さい。今回のシンポジウムでは、被災地の「いま」を共有するとともに、災害研の若手研究者による最新の研究成果を発信します。また、被災地において残された課題や新しい課題の解決に向けた災害研の役割について議論します。さまざまな分野のパネリストから震災復興に関する地域ニーズを発表いただき、今後の実践的研究と社会実装に反映させ、よりいっそう地域社会に開かれた研究所を目指します。

◆第1部:招待講演(13:10~14:00)
 「被災地に求められる震災伝承と防災発信、研究の方向性 ~災害研との関わりの中から見えてきたこと~」
  武田 真一氏 (河北新報社 防災・教育室 室長)
◆第2部:災害研若手研究者による実践的防災学の最新の成果報告
「内陸直下型の地震を引き起こす活断層とその地下構造~仙台平野南部において新たに明らかになった伏在活断層~」岡田 真介 助教
「震災伝承の実践的防災学:科学的検証と実践支援」佐藤 翔輔 准教授
「より迅速に、確実に災害時の「健康」と向き合うために~東北大学病院BCP策定へのステップ~」佐々木 宏之 助教
「人間中心の住宅復興に必要なこと:日本とアメリカの住宅復興事例から」マリ エリザベス 助教
◆第3部:パネルディスカッション(15:20~16:50)
 「震災復興のこれまでとこれから、そして災害研への期待」
 コーディネータ:丸谷 浩明教授(災害科学国際研究所所長補佐、総合減災プロジェクトエリア長)
パネリスト:三宅 諭氏(岩手大学農学部准教授)/臂 徹氏(キャッセン大船渡取締役)/ 阿部 紀代子氏(鰻割烹八幡家女将)/武田 真一氏
(河北新報社防災・教育室室長)/越智 小枝氏(東京慈恵会医科大学臨床検査医学講座講師)

<2018年2月18日>震災の経験と教訓を伝承する取組

本日は、宮城県での震災の経験と教訓を伝承する取組を紹介いたします。東日本大震災の記憶・教訓の伝承のあり方について、学識経験者及び県内復興活動者等の意見の聴取を行うため「東日本大震災の記憶・教訓伝承のあり方検討有識者会議」が開催されています。ここでは、(1)震災の記憶・教訓の伝承の理念に関すること (2)震災の記憶・教訓を伝承するためのあるべき姿に関すること (3)今後の取組に関することが議論されております。検討として、もっとも重要な項目が以下の理念です。
◯東日本大震災で多くの犠牲者を出してしまった宮城県として、追悼の念を持ち続けながら、震災の記憶・教訓を広く全国や世界、そして次世代に伝え続けていく。
◯県全体で震災のみならず過去の災害を振り返り、災害の記録や記憶を集約し、未来に起こり得る災害において、同じ犠牲と混乱を繰り返さない覚悟を持つ。
◯県、市町村、民間団体はもとより、県民すべてが伝承の意識を共有して震災の記憶・教訓を発信し、災害に関心と理解を持ち続けて行動していく。
◯宮城の地域特性(自然、歴史など)を理解した上で、震災の記憶・教訓の伝承を行う。
◯将来的に県民が意識しなくても伝承されるような対応や仕組みといった防災・減災の地域文化を創造する。
この理念に沿って、①伝承の対象(「誰に」)②伝承の内容(「何を」)③伝承の方法(「どのようにして」)④伝承の主体(「誰が」)について議論されております。
https://www.pref.miyagi.jp/soshiki/fukusui/densyou-yuusikisyakaigi.html

<2018年2月11日>震災学習ツーリズムについて

 大震災からの復興が各地で実施されていますが、当時の経験と教訓を整理し、県外や国外の方々に伝えていこうという動きの中で新しい展開が生まれております。まず、「震災学習ツーリズム」とは、被災地に来ていただき、被災体験と教訓を伝えて防災について学んでいただく活動であり、自治体や観光関係者が力を入れています。海外では「ダークツーリズム」とも呼ばれ、1990年代にイギリスで提唱された観光の概念で、戦争の歴史や災害の爪痕など人類がたどってきた悲しみを、実際に現地を訪ね、体感する旅のことです。日本では、ハンセン病療養所や被災地をめぐる旅について、海外では、アウシュビッツの収容所や難民や移民の暮らす場所を訪ねるツアーとして認識されています。「負の遺産の地域資源化」にも繋がります。沿岸部には、震災前は多くの人々が訪れていましたが、震災後には激減しました。
しかし、発災直後からのボランティアのコーディネートから始まり、復旧が進む中、震災ツーリズムにより訪問者が少しづつ戻り始め、地域の活性化に期待がかかっています。「南三陸ホテル観洋」では震災翌年の2月から宿泊客向けに始めています。従業員が語り部を務め、延べ10万人以上が利用しています。
しかし、復興が進む中で、震災の風化が懸念されています。さらに、継続して人を呼び込めるのかが課題になります。東北でも人や自然、食など複数の機能が必要であるようです。一方で、成果が表れ始めているのが教育旅行です。2014年に県外から宮城県に宿泊した子どもは約57,000人で、震災前の約95%。岩手県の訪問者数は12年以降、震災前年を上回り、原発事故後、宿泊者数が5分の1に落ち込んだ福島県も2014年度は半数程度までに回復したということです(毎日新聞より)。

<2018年2月4日>シンポジウム「歴史が導く災害科学の新展開」

日本には災害が多発する故に、過去の災害における様々な痕跡や、先人達の記録が数多く残されています。東日本大震災を経験した中で、石碑、伝承など過去の歴史の中で残された経験や教訓を断片的に学びました。そこで、災害の歴史を紐解くこと、さらにこれらの災害の歴史を伝える多様な資料に注目が集まっています。東北大学では2012年に災害科学国際研究所を新設し、実践的防災学の構築を目指して、文系と理系の研究者による文理融合型の災害研究を展開してきた。また、東北大学は2017年6月に指定国立大学の認定を受け、世界トップレベルの研究拠点を目指す4領域として「災害科学」を掲げています。先日(1月26日)、災害で被災した歴史資料の保全活動を積極的に展開するため、東北大学と人間文化研究機構・神戸大学との間で連携協定を締結し、全国規模で歴史資料の保全と活用をはかる歴史文化遺産ネットワーク事業を開始しました。その中で、「歴史が導く災害科学の新展開」というテーマでシンポジウムを企画致します。大震災をうけて展開された文化財や歴史資料の保全活動や、東北地方で過去に発生した歴史災害に関する研究成果を報告し、歴史資料の保全・活用と文理融合型の災害研究を相互的に発展させるための意見交換を図ることを目的とします。

日時:平成30年2月10日(土) 13:00~17:00
場所:東北大学災害科学国際研究所 1F 多目的ホール

第1部 文理融合型による災害研究の展開
今村文彦…災害科学国際研究所における文理融合型の研究活動について
柳澤和明(東北歴史博物館研究員)…貞観地震・津波研究の現状と課題―陸奥国府多賀城跡における被害と復興を中心に
後藤和久准教授…地質記録にみる東北地方太平洋沿岸の津波履歴
蝦名裕一准教授…歴史学研究の観点からみた慶長奥州地震津波
平野勝也准教授…土木史からみる石巻と北上川

第2部 被災史料を活用した新たな研究の展開
菊池慶子(東北学院大学文学部教授)仙台湾岸における海岸防災林の履歴
川内淳史(神戸大学大学院人文学研究科特命講師)…明治三陸津波と大船渡の近代化―被災資料の保全作業を通して―
熊谷 誠(岩手大学地域防災研究センター特任助教)…唐丹村行政文書にみる昭和三陸津波への対応
川島秀一教授…三陸沿岸と災害文化

<2018年1月28日>千島海溝沿いでの地震の長期評価

昨年12月19日、地震調査委員会から、北海道東部の太平洋で大津波を伴うM9クラスの超巨大地震の発生が切迫している可能性が高いとする予測が公表されました。千島海溝では2004年に第2版が発表されて以来で、超巨大地震、津波地震型、海溝軸外側の評価としては初めてになります。現在から30年の間における地震発生確率値が出されています。過去のくりかえし間隔をベースに、前回の活動時期がわかれば、次回の活動時期もある程度予想できますが、その間隔にはばらつきがあるため、条件付確率や確率分布などを活用し評価されています。
今回の評価の特徴として、千島海溝沿い超巨大地震(17世紀型)については、津波堆積物結果(6500年間で、過去18回)を用いて評価されました。平均発生間隔は約340年~380年と推定され、その結果による発生確率は7~40%になります。17世紀の発生から、すでに400年程度経過しているために、発生が切迫している可能性が高くなります。また、十勝・根室・色丹(しこたん)などに境界領域を設定し、評価対象地震のケースを増やしました。これまでの対策を、確実に、かつ優先度を上げて実施すること、想定外がないようにすることが大切です。東日本大震災では、日本海溝沿いの三陸沖北部のプレート境界は滑っておらず、大きな余震になる恐れがあります。隣接する十勝沖などのプレート境界も連動して地震が大きくなるもありますが、過去に連動した痕跡が見つかっておらず、規模や確率は評価できなかったのです。

<2018年1月21日>地震の長期評価について

日本及びその周辺は、非常に地震の多い地域です。その理由は、プレートの境界において歪みが蓄積され、ある程度定期的にそれが放出される(地震が起きる)ことになります。地震調査研究推進本部地震調査委員会(長期評価部会)では、「同じ場所で同じような地震がほぼ定期的に繰り返す」という仮定のもとに、大きな被害をもたらす可能性が高い、プレート境界やその付近で起きる地震(海溝型地震)や活断層で起きる地震について地震発生確率値を含む長期評価結果を公表しています。
これらは、歴史記録や調査研究等からわかった過去の地震活動記録を統計的に処理し、「今後ある一定期間内に地震が発生する可能性」を確率で表現したものです。主要な活断層や海溝型地震(プレートの沈み込みに伴う地震)の活動間隔、次の地震の発生可能性〔場所、規模(マグニチュード)及び発生確率〕等を評価(長期評価)し、随時公表しています。活断層及び海溝型地震の長期評価結果については、毎年1月1日での評価が行われ、3月頃に公表されています。その成果は日本の社会で様々に活用されています。
現在から30年間(10、20年)における地震発生確率値が出されています。なお、地震発生確率値の留意点がいくつかあります。想定した次の地震が起きないかぎり、年数経過とともに地震発生確率値は増加していきます。過去の地震活動の時期や発生間隔は、幅を持って推定せざるを得ない場合が多いため、地震発生確率値は不確定さを含んでいます。また、新たな知見が得られた場合には、地震発生確率値は変わることがあります。一方、活断層で起きる地震は、発生間隔が数千~数万年程度と長いため、30年程度の間の地震発生確率値は大きな値とはなりません。例えば、兵庫県南部地震の発生直前の確率値を求めてみると0.02~8%でした。地震発生確率値が小さいように見えても、決して地震が発生しないことを意味してはいないことも留意点です。

<2018年1月14日>3.11メモリアルネットワークの活動について

東日本大震災の伝承活動を行う個人・団体・震災伝承拠点を結ぶネットワークが形成されました。これが3.11メモリアルネットワークであり、将来にわたり伝承活動を続けて命を守り、社会の困難に立ち向かう活力ある人・地域づくりに取り組むことを目的としています。
震災伝承、防災・減災活動に向け、(1)連携と調整、(2)企画、評価、(3)人材の育成を事業の柱に、行政や各種団体とタイアップし、震災伝承拠点を結ぶ県内外のネットワーク形成を目指すものです。現在も多くの地域で語り部などの震災伝承活動が行われていますが、2012年6月から語り部共通テキストの議論などがはじまった石巻ビジターズ産業ネットワークや15回の震災学習コンファレンスにおける議論を経た活動です。
 第1回全体会が昨年12月4日に開催され、今年3月9日に、石巻専修大学でシンポジウムを開催いたします。代表に大川伝承の会共同代表の鈴木典行さん、副代表に元石巻ビジターズ産業ネットワーク事務局長の大須武則さん、一般社団法人キャンナス東北コーディネーター長の山田葉子さん、企画部会長に大川伝承の会共同代表の佐藤敏郎さんを選任しました。個人会員(年会費1,000円)登録団体(5,000円)を募集しています。

<2018年1月7日>2018年の始めに

まず、昨年を少し振り返りたいと思います。昨年は、自然災害による経済被害が非常に大きい年になりました。スイス大手再保険会社「スイス・リー」の発表によりますと、昨年1年間に自然災害などによる経済的な損失は34兆億円余りと、前の年に比べて60%余り増加しました。米国南部やカリブ海で大きな被害をもたらした3つのハリケーンや、カリフォルニア州で発生した大規模な山火事、また、メキシコ中部で発生した地震が影響したとしています。一方、災害による死者や行方不明者は111万人余りと、前の年と同じ水準でありました。また、昨年は11月に第1回の世界防災フォーラムが開催されました。国連会議に続いて世界規模の防災会議を企画し、開催した成果は大きいものでした。震災を機に始まった交流が、途上国だけでなく地元の防災人材育成の基盤になると期待しています。今後の課題として、気候変動による災害への対応、原発事故など複合災害の視点をどう深めるか?世界規模の議論を足元の防災連携推進にどう生かしていくか。世界防災フォーラムに課された宿題でもあります。
今年の予定を紹介したいと思います。
3月11日、東日本大震災から7周年を迎えます。被災地域の復興(特に、産業面やくらし・繋がり)や、記憶の風化などが課題です。
6月13~15日 JICAと災害研によるマレーシアでの防災プロジェクトが開始。
7月12日 北海道南西沖地震・津波(奥尻島)から25年が経過します。
7月23日~第5回APRUサマースクールが開催され、国内外から50名程度の若手参加者を迎えます。
8月末には、ダボス防災会議
10月には自然災害学会(仙台市内)、11月アジア防災閣僚会議がモンゴルでそれぞれ開催されます。