<2015年12月27日>2015年を振り返って
1月17日 阪神・淡路大震災から20年、追悼や記念の行事が各地で行われました。
3月10日 東北大萩ホールで、東日本大震災メモリアル 『震災4周年シンポジウム&3D映画「大津波 3.11未来への記憶」の上映』を行いました。
3月14日~18日 国連防災世界会議開催
約15万人が参加、350ものパブリックフォーラムが開催され、会議最終日には、「仙台防災枠組(2015-30)」が 採択されました。会議では、防災教育、女性と防災、健全な生態系や生物多様性を保つことにより災害リスク削減につながるECO-Disaster Risk Reductionなどについても盛んに議論が行われました。その後、東北大学に、防災減災数値指標を支援するための「災害統計グローバルセンター」が立ち上がりました。 4月24日 産官学民+メディアの連携を目指す「みやぎ防災・減災円卓会議」が発足。
4月25日 ネパールの首都カトマンズ北西で地震(Mw7.8と推定)が発生、死者は8000人を超え、各地で大きな被害が出ました。推定される地震動は5強ですが、比較的長周期の地震の揺れが長時間継続した可能性も指摘されています。
5月29日 口永良部島で爆発的噴火。 噴煙の高さ9,000m以上。火砕流が海岸まで到達し、噴火警戒レベル5になりました。
9月7日 関東・東北での豪雨災害
7日頃から豪雨が発生、10日に栃木・茨城県で、11日午前3時過ぎには、宮城県に大雨特別警報が出されました。この豪雨の原因は、線状降水帯といわれ台風でのアウターバンドとの関係も示唆されています。
9月17日 チリ沖で発生した地震による津波の来襲
啓発活動として、東北大の保田真理さんが中心になり、減災ポケット【結】プロジェクト事業を継続、今年度は福島県でも始まりました。小学校への出前授業を実施し「防災・減災スタンプラリー」の共同開発も行いました。

<2015年12月20日>スマトラ島沖地震から11年~余震・連動地震について
スマトラ島の西方約160km、深さ10kmで 発生した地震はM(マグニチュード)9.3の巨大なもので、1960年に発生したチリ地震のM9.5に次ぐ超巨大地震でありました。震源域周辺のインド・オーストラリアプレートは、スンダ海溝に対して斜め方向に沈み込んでいます。これによって生じる力は、海溝と平行に働く力と、直交する力に分解して考えることができます。震源はスンダ海溝に位置し、インド・オーストラリアプレートがユーラシアプレートの下に沈み込むことによる海溝型地震の多発地帯の中になり ます。2004年の地震後に以下のように関連の地震が発生しています。これらは余震というよりも誘発された連動地震ともいえると思います。 2005年3月28日 ニアス島沖地震 Mw8.6
2009年9月30日 Mw7.5
2010年4月6日 Mw7.8、 5月9日 Mw7.2,10月25日 Mw7.7
2012年1月10日 Mw7.2,12年4月11日 Mw8.6
スマトラ島沖地震の発生後、周辺ではM8クラスの地震が4回発生、12年にも起きており、巨大地震の影響は長く続くことがわかります。日本でも東日本大震災以降、地震活動は活発化しており、震源域やその周辺で割れ残った断層が地震を起こすことも十分注意しなければなりません。

<2015年12月13日>電気自動車(EV)を活用した災害対応訓練
11月26日(木)に当研究所において、宮城県沖での地震およびそれに伴う津波の発生を想定した災害対応訓練を実施しました。訓練では、地震発生直後から事業場としての自衛消防活動、安否確認、施設安全確認を実施し、安全が確保された段階から所内に災害調査対応本部を立ち上げ、所内に存在する機材やEV等の電力を最大限に利用しながら情報収集活動や情報の整理・分析・マッピング、被害規模の推定(地震動の面的推定、津波被害推定、建物被害推定等)を行いました。また、これらの情報を初動調査への基礎資料として用い、EVで被災地へ出動する準備までを行いました。使用した電源供給機器は、日産自動車株式会社の電気自動車「e-NV200」2台、 オートモーティブエナジーサプライ株式会社のポータブル蓄電池「ポーチク」および「ポーチクビッグ」です。日産自動車は「EV for レジリエンス」という考え方のもと、「自助(個人やオフィス)」「共助(コミュニティ)」「公助(社会)」の3つの軸でEVが防災に果たす役割について検討されています。今回は、訓練と平行して、情報収集・解析作業等による機材の消費電力が電源供給能力を超過することを避けるため、電力測定器を用いた電力使用量の常時観測を実施しました。結果として、上記の対応に必要な電力を十分に確保できることがわかりました。

<2015年12月6日>海岸工学講演会での最新研究発表(2)~紀伊半島での神社被災リスク
今年開催されました海岸工学講演会での研究報告を紹介したいと思います。この講演会では、海岸に関する様々な研究発表があります。東日本大震災から4年を経ても、掲載論文のおよそ1/3は津波関連研究であり、2004年のインド洋大津波以前は全体の10%にも満たなかったことを考えると、社会的なインパクトが学術面にも強く影響していることがわかります。「紀伊半島沿岸の神社における南海トラフ地震の津波被災リスクの検証」と題して、宇野宏司(神戸市立工業高専)先生らの研究発表がありました。古くから山岳信仰や熊野詣、お伊勢参りの舞台として知られる紀伊半島沿岸での神社を調べられました。和歌山県和歌山市~三重県明和町の11市18町には、441社の神社が鎮座し、そのうち203社が海岸から1km圏内に位置しているそうです。この地域は、2012年に公表された内閣府による南海トラフ巨大地震の被害想定(第二次報告)で甚大な被害が出ると予想されています。ここでは、限られた平野部に拓かれた集落が多く、避難場所の確保が重要な課題のひとつになっています。宇野先生らは、沿岸1km圏内に鎮座する神社の空間配置の諸情報(緯度経度・標高)と津波被害の想定結果を用いて、将来の南海トラフ地震時における神社の津波被災リスクについて検証しました。その結果、境内が直接被災するのは2割程度に留まりますが、こうした神社の多くは浸水深が1mを超え、避難場所には適さないことがわかったそうです。なお、祭神別では、伊勢神宮の主祭神である天照大神(あまてらすおおみかみ)とその周辺の神々で津波被災リスクは低くなっていることが示されました。一方、最も津波被災リスクの高い事代主神(ことしろぬしのみこと)は、他の祭神よりも最も海寄りで標高が低いところに祀られる傾向があることがわかったということです。

<2015年11月29日>海岸工学講演会での最新研究発表(1)―屋外待避と津波避難
この講演会(学会)は、海に囲まれた我が国に、海岸に関する技術開発は非常に大切で、海岸およびその水域における波浪、水質、生態系、漂 砂、海岸構造物、保全計画、整備計画などに関する研究を年に一度発表し、議論しています。1954年の第1回海岸工学講演集以来、先日で第62回を数えています。本日は、11月11~13日に東京(お台場)で開催されました講演会から話題を紹介したいと思います。地震の揺れに伴う屋外への退避行動と津波避難開始の関係性に関する研究、土肥裕史ら(京都大学大学院)の研究です。これは、2014年4月1日にチリ北部で発生した地震と津波に関する調査です。沿岸に位置する商業施設ZOFRI(ソフリ)モールの施設利用者と職員の避難行動を対象に、聞き取り調査、監視カメラの映像が分析されました。この結果、屋内での様子、屋外への待避状況、さらには津波避難状況が解析されました。さらに、避難計算を実施することで、津波避難開始と揺れに伴う屋外退避行動の関係性を調べられたそうです。得られた結果として;屋内で強い揺れに遭遇した場合、揺れに伴う屋外退避行動が見られました。これは津波避難行動そのものではないですが、津波避難開始と密接な関係にあると考えられます。屋外退避行動により津波避難を促す屋外の状況にアクセスできるため、結果的に迅速な津波避難が可能になることが分かりました。屋外へ退避した人々のうち77%が続けて高台へ向かっていた可能性がありました。当初、津波避難のために屋外退避したわけではない人々も少なからず含まれていたと考えられるそうです。その後、チリ沿岸では2015年9月17日にも地震・津波が発生しました。この時にも迅速な避難行動が報告されています。我が国でもチリでのこのような行動を参考にしたいと思います。

<2015年11月22日>グローバル安全学トップリーダー育成プログラムの経過報告
東日本大震災から4年以上が経過しましたが、被災地域の社会基盤や産業基盤の本格回復には至っていません。さらには、インフラ、ライフライン、サプライチェインの被害、社会・産業・経済活動の不安定化など、長期にわたる時間的スケールでの復興が課題となり、安全安心分野のリーダーに対する社会のニーズは日々高まってきています。複雑な問題に対しては、従来の専門分野だけでの対応だけでは難しく、学際的な知識を持つ人材が必要です。東北大学では、3年前から、科学・技術・人文社会科学の研究者が連携したプログラムにより、自然災害を中心とした多様なリスクに対して「安全安心を知る」「安全安心を創る」そして「安全安心に生きる」ことに貢献できるグローバル安全学トップリーダー人材を養成しています。育成すべき人材像は「国際的企業リーダー」、「アカデミックリーダー」、「国・地域防災リーダー」、「国際的リスク管理リーダー」などです。これまで、いわき市立豊間小学校やNPO法人カタリバ女川向学館で、このグローバル安全学の成果のひとつである「減災アクションカードゲーム」を実践しています。

<2015年11月15日>「災害軽減に関する日英共同セミナー」開催について
大震災の後、世界各国から支援をいただいたり、共同研究や防災教育の打診をいただきました。災害科学国際研究所発足後も、いくつかの大学や研究所と継続して協力を実施していますが、そのひとつが、イギリスにあるロンドン大学です。ロンドン大学は、1836年に設立、ロンドン市中心部、ラッセル・スクエアに本部を置くカレッジ制の大学で、日本との関係も大変深い大学です。歴史的にも、日本人の留学生を最も早い時期から受け入れてくれました。その中には、のちに日本最初の内閣総理大臣になる伊藤博文、あるいは井上馨など長州五傑(Choshu fiveと呼ばれています)がおり、夏目漱石も国費留学しました。大震災の前年、2010年5月にこの大学において、リスク軽減研究所IRDR(Institute for Risk Disaster Reduction)が発足し、2011年以降、IRDRの教員や学生が多数、東北を訪れ、支援や調査活動を行っております。2012年5月に、災害科学国際研究所と連携協定を結んでいます。それ以来、セミナーや会議の共同開催、東日本大震災だけなく、英国の洪水調査、フィリピンの高潮災害調査、ネパール地震災害についての協力などを行っています。先月23日には、ロンドンのThe Daiwa Anglo-Japanese Foundationにおいて、「災害軽減に関する日英共同セミナー」を開催し、地震、津波、洪水などの災害事象、国際防災戦略や地域防災・減災のあり方、NPO,NGOなどとの協力、メンタルヘルスの共同研究など9件の発表と質疑を行いました。セミナーには在英日本大使館から松浦公使にもご出席いただき、開催のご挨拶をいただきました。

<2015年11月8日>「稲むらの火」について
11月5日が「津波防災の日」と定められましたが、この日は、1854年11月5日に発生した安政南海地震で和歌山県を津波が襲った際に、稲わらに火をはなち、暗闇の中で逃げ遅れている人たちを高台に避難させて救った「稲むらの火」の逸話にちなんだ日です。
小泉八雲(ラフカテ?ィオ・ハーン)か?安政南海地震津波の逸話をもとに「A Living God」を書かれました。この稲むらの火の主人公が濱口梧陵です。安政元年11月5日(1854年12月24日)夜、安政南海地震の津波が広村に襲来した際、梧陵は自身の田にあった稲わらの山に火をつけて、安全な高台にある広八幡神社への避難路を示す明かりとし、速やかに村人を誘導することができました。それにより、36人の死者は出したものの、村人の9割以上を救うことができました。津波から命を救えるかは、情報伝達の速さが関わっているという教訓を残しました。しかし、村人を救うことはできたものの、復旧や復興がなかなか進まず、村を離れる人も多かったと言われます。そこで、梧陵は破損した橋を修理するなど復旧につとめたほか、私財を投じて、当時では最大級の堤防(広村堤防)を約4年をかけて修造しました。この大土木工事は、荒廃した被災地からの住民離散を防ぐ意味を持つとともに、将来再び襲来するであろう津波に備えての防災事業でもありました。堤防完成 から88年後の1946年(昭和21年)、昭和南海地震の津波が広村を襲いましたが、この堤防のおかげで被害を減らすことができました。
安政の大津波により犠牲になった人々の霊をなぐさめ、かつ大防波堤を築いてくれた濱口梧陵らの偉業とその徳をしのび、広村の有志の人々が50回忌を記念して11月5日に堤防へ土盛りを始めたことが、現在も行なわれている津波祭の始まりと言われています。

<2015年11月1日>津波防災の日
2011年3月に発生した東北地方太平洋沖地震による甚大な津波被害を踏まえ、同年6月に「津波対策の推進に関する法律」が制定されました。この法律では、津波対策に関する観測体制の強化、調査推進、被害予測・連携体制の強化などが規定されています。この法律制定に関連して、津波対策についての理解と関心を広く深めることを目的として、毎年11月5日を「津波防災の日」に定められました。  この日は、1854年発生した安政南海地震で和歌山県を津波が襲った際に、稲わらに火をつけ、暗闇の中で逃げ遅れている人たちを高台に避難させて救った「稲むらの火」の逸話にちなんだ日です。東日本大震災から4年が経ち、国民の中での風化が懸念されることから、「津波防災の日」に関連した取組が強化されています。昨年11月5日は、仙台市において内閣府主催のシンポジウムが開催されました。「津波防災大使」に任命されたフィギュアスケートの羽生結弦選手からビデオメッセージも寄せられました。今年は、特殊切手「津波防災の日制定」が発行される予定です。また、津波への防災意識を高めてもらおうと、「くまモン」や「ふなっしー」など人気のご当地キャラクターが中心メンバーとなる「津波防災ひろめ隊」を結成、サイトも立ち上がりました。さらに、11月5日を「世界津波の日」にし、津波対策を世界を挙げて進めようと、政府は国連での津波の日制定に向けた取り組みに力を入れています。

<2015年10月25日>中越地震の水没家屋保存へ
昨年10周年を迎えた中越地震。当時、最大震度7を記録し、68人が犠牲となり、住宅被害は12万棟以上で最大1万人近くが仮設住宅で暮されました。その後の復興の中で、大震災のメモリアル拠点「中越メモリアル回廊」が作られました。4つの施設、3つの公園を結ぶ回廊は、被災地・中越地域をそのまま情報の保管庫にする試みです。そ れぞれの拠点を巡り、震災の記憶と復興の軌跡にふれることで「新潟県中越大震災」の巨大な実像を浮き彫りにしてくれます。今年になって、あらたに中越地震による水没家屋の保存にむけた調査活動が始まりました。土砂崩れでせき止められた川の水で水没した山古志村(現長岡市)の木篭(こごも)集落にこの家屋があり、老朽化してきたため長岡市が保存にむけた調査に乗り出すことになりました。2棟の住宅について長岡市は、地震の記憶や教訓を後世に伝える震災遺構として保存することを検討し始めています。雨漏りや瓦が落下しているほか、冬場には雪の重みで倒壊するおそれもあるということで、建物の補強方法などについて半年をかけて調べることを予定しています。調査結果をもとに、早ければ、来年4月から保存工事に取りかかるということです。

<2015年10月18日>断層モデルの特性化
東日本大震災で発生したような巨大地震や津波を解析する際、従来の断層モデルの考えに新しい要素が入ってきました。それは、特にエネルギーが大きく放出されたところ、またはすべり量が多いところが局所的に存在するということです。地震波データ、地殻変動データ、津波観測データなどを様々に利用した解析が進んでいます。その結果、(1)段階的に各断層セグメントで破壊が生じたこと、(2)震源付近で初期のすべりが発生し、その後海溝沿いに移動していること、(3)宮城・福島沖での海底変化(断層のすべり量)が大きいこと、(4)日本海溝沿いの値が大きいことが示唆されています。深い海域で大きな海底変化が生じると、それだけ大きな規模の津波が発生することになります。今後、M(マグニチュード)9を超えるような地震の際に、このような超大すべり域が常に伴うのか?その場所はどこなのか?全体のすべり量(背景領域)に対してどのくらい大きいのか?などの議論が活発に行われています。例えば、中央防災会議の評価においても、地震の規模が大きな場合に、超大すべり(4倍のすべり量)と大すべり(2倍のすべり量)を背景領域の20%の領域に設定しています。将来予測のための津波想定に活用するためには、このすべり分布等の設定方法をルール化し、そこでの特性は保ちながらもある程度シンプル化する波源モデルが必要になっています。これは「特性化」と呼ばれており、東日本大震災における評価の問題点(既往最大を中心)を解決し、不確定性も考慮しながら幅広く検討でき、 確率的評価にも応用できる利点があるのです。

<2015年10月11日>9月17日に発生したチリ沖地震・津波について
今回の地震の規模はM8.3で、低角逆断層型のプレート間地震であり、2010年の地震発生域のすぐ北の場所になります。推定震度は6弱程度で、少なくとも12人が死亡しました。津波警報が出されたチリの太平洋沿岸地域では100万人近い人々が避難、地震から数時間後には、コキンボ州各地の沿岸を最大4.8メートルの津波が襲い、港の広範囲が損傷しました。日本へは、22時間かけて伝播する直接波と中米・北米・オーストラリア・フィリピンなどを迂回してくる境界波の2種類がありました。今回の津波の特徴は、津波の継続時間が長い、最大波が遅れて出現する、局所的な流れが強いことがあげられます。宮城県内では大雨と津波到達とが重なる複合災害になり、担当者は対応に追われました。避難などが必要な際に、移動が困難であったと思われます。千葉県では、津波対策のために水門を閉鎖しましたが、その後の大雨で一部浸水が発生しました。津波警報・注意報に伴う避難指示、避難勧告、避難準備情報と段階に応じた対応や津波危険区域(避難エリアIとII)の指定と住民への徹底などの課題があります。

<2015年10月4日>9月の台風による関東・東北での豪雨災害
9月7日頃からの豪雨により、10日に栃木・茨城で、11日午前3時過ぎには、宮城県にも大雨特別警報が出されました。この豪雨の原因は線状降水帯といわれ、台風でのアウターバンドとの関係も示唆されています。気象庁は、この関東・東北地方を襲った豪雨及びそれによってもたらされた災害を「平成27年9月関東・東北豪雨」と命名しました。茨城県で3名、栃木県で3名、 宮城県栗原市で2名が死亡しました。3県12市町の避難所37か所に1,158 人が避難しました。土砂災害としては、土石流等が5県て?24件、地すべりが3県て?4件、がけ崩れが14都県て?118件となっています。また、19河川で堤防が決壊し、61河川で氾濫等の被害発が生、最も浸水被害が大きかったのが利根川水系(鬼怒川)常総市付近で、床上浸水4400戸、 床下浸水6600戸でした。宮城県でも渋井川、吉田川、七北田川などで破堤・越水、氾濫・浸水が起こり、床上浸水300戸、床下浸水100戸、 農作物(水稲、大豆、野菜など)被害は4,533haにおよびました。仙台市では41万人に避難勧告が出されました。地球温暖化に伴う気候変動の中での小河川の対策のあり方、避難体制、自治体の情報提供のあり方などの課題が浮かび上がりました。災害研では、災害調査対応本部を設置し、自治体への支援や現場での調査を実施しました。

<2015年9月27日>第14回警察歯科医会全国大会が仙台で開催
警察歯科医は、警察署からの依頼を受けて、身元不明のご遺体の歯や口の中の状態(※歯科所見)と、生前に歯科治療を受けた際のカルテ記録やレントゲン写真などを照らし合わせて、該当者本人の確認などを行っています。全国で年間約2,000件以上の歯牙鑑定が、警察から警察歯科医へ依頼されるなど、その果たすべき役割はますます大きくなっています。2001年のアメリカ同時多発テロ事件の際には、ご遺体の約35%、2004年のスマトラ島沖地震・津波では約56%が歯科所見により身元確認ができたとの報告があります。第14回警察歯科医会の全国大会が仙台で開催されました。テーマは、「警察歯科医のための災害シミュレーション~想定外の状況にどう向き合うのか?」でした。ふたつの特別講演「災害対応における大学の役割」(歯学研究科長・歯学部長 佐々木啓一)、「シミュレーションで解明する津波災害メカニズム」(今村文彦)があり、引き続き、「東日本大震災における身元確認を核とした災害警備体制の全体像」「データで読み解く東日本大震災」「南海トラフ大地震の対応シミュレーション」「土砂災害の対応と今後想定される課題」などが報告され議論されました。

<2015年9月20日>デジタル化映像から見る日本と国連のあゆみ
9月7日、東北大学にて、国連映像デジタル化記念イベント「デジタル化映像から見る、日本と国連のあゆみ~Think Globally, Act Locally~」シンポジウムが開催されました。内閣府大臣官房政府広報室主催、国連広報センター/東北大学特別協力のシンポジウムです。 今年は国連発足70年であり、来年が日本加盟から60年の節目になります。これを機に、国連と日本の様々な関わりを収めた国連映像デジタル「JAPAN UN Archive」が作成されました。日本が加盟した際の式典や活動などが収められています。アナログ映像資料の劣化が危惧されるなかで、日本政府による協力で実現したこのプロジェクトは、アーカイブの歴史的な価値と重要性に関する認識向上に貢献するものとして高く評価されています。本イベントは、神戸、別府、仙台そして東京で締めくくる一連の活動です。東北大学でのシンポジウムでは、国連のデジタル化映像上映や国連広報センター根本所長の基調講演、パネルディスカッションでは「防災」をテーマに私たちには何ができるのかについて討論されました。パネリストは、国連国際防災戦略事務局 松岡由季駐日事務所代表、公益社団法人Sweet Treat 311 立花貴代表理事、UN広報センター インターン 飯干ノアさん、本学工学研究科(津波工学)牧野嶋文泰さんでした。

<2015年9月13日>宮城県山元町での津波避難訓練
山元町での訓練事例を紹介します。東日本大震災等の被災経験をもとに、今後も起こり得る大規模地震・津波等に備えるため実施しており、今年で3年目になります。この町では、「津波避難文化」の確立を目指して、小中学生も含めた地域住民全員による避難訓練としています。今年は、先月8月29日(土) 午前9時00分から実施されました。今回は、防災関係機関と小中学生も含めた地域住民が一体となり各種訓練を実施し、大規模災害に対する防災体制の確立と町民の防災・減災意識の高揚を図ることを目的とします。浜通りの行政区における「車による避難訓練」を今年度も継続して実施し、避難ルートにおける安全性と有効性の確認を行いました。丘通りの行政区については、地区自主防災組織単位で避難訓練を実施し、地域ごとの防災意識の高揚と連携強化に努めました。このように、地域の実情に応じた緊急避難場所の活用を図るなど、さらなる防災力の充実・強化に努めることも目指しています。まず、防災行政無線やエリアメール等を合図に、小中学生も含めた地域住民同士が一体となり、「声掛け」等を行い避難を開始、途中の状況を判断しながら、避難場所まで移動しました。途中、渋滞があったり、行き先が分かりづらかったり、また災害などで通行が難しくなる経路もありますので、このようなことも想定した確認もしていただきました。終了後には、防災研修会も開催し、災害科学国際研究所の教員から、最近の防災・減災に関する話題提供を行いました。また、炊き出し(炊飯袋を使用した炊き出し等)、紙食器づくり(新聞紙等を活用した簡易な食器の作成 )、毛布担架体験(竹の棒や身の回りにあるもので応急的な担架を作成 )なども行いました。

<2015年9月6日>新しい津波避難訓練の動きについて
「カケアガレ!日本」をご紹介します。東日本大震災の被災地・東北発の新しい津波避難プロジェクトです。巨大津波災害の教訓や経験を活かした津波避難訓練プログラムを実施し体系化することを目的としており、東北以外への波及や協力も目指しています。産官学が連携し、下記3つのテーマに取り組んでいます。
(1)津波避難における地域課題の解決(地域独自の避難ルールづくり)
(2)習慣的・持続的な津波避難訓練プログラムの開発
(3)津波避難訓練プログラムの普及・拡大。
津波避難における地域課題の解決を目指し、避難行動が記録や記憶だけでなく「習慣」として地域で代々受け継がれていく仕組みを構築したいと思っております。さらに、このプログラムを、今後巨大津波が想定される全国各地および海外に普及・拡大させていくことで、東日本大震災の教訓を活かした災害に強い社会を実現したいと考えています。そのひとつの成果が、津波避難訓練の”グランド・メニュー”(=津波避難のレシピ集)です。地域特性(地形、人口、居住者・エリア等)によって異なる避難課題に対し、「カケアガレ!日本」では、地域住民が自ら「選択・組合せ」できる訓練プログラムの「バリエーション(メニュー)」を提案しています。
最近実施した訓練事例としては、いわき市(薄磯)いわき:観光客への避難誘導、仙台市(若林区三本塚):緊急津波避難情報システムを使用した避難訓練、陸前高田市:イオンスーパーセンターでの訓練、国連防災世界会議での仙台市との共催によるでシンポジウム&ブース展開、釧路市楽毛:河北新報社と北海道新聞社共催の車避難(車+徒歩)、宮崎市島山地区:生徒・児童町内会と近隣の保育所が参加した訓練などです。

<2015年8月30日>みやぎ防災・減災円卓会議について
今年4月に「みやぎ防災・減災円卓会議」が発足しました。宮城県内の産学官と報道機関、市民団体などの防災関係者が研究や活動を共有しようというもので、3月に開催された国連防災世界会議の成功を受けて、ここで築き上げた連携を継続し発展するという目的を持っています。特に、震災教訓の集約や啓発の継続に向けた基盤づくりを目指しています。4月の設立会合には、45団体、約70人の登録メンバーに出席いただき、国連防災世界会議の成果を引き継ぎ、被災地からの防災・減災発信の強化に協力してあたることを確認しました。円卓会議には仙台近郊の主要大学の研究者、NPO法人や町内会組織の代表、宮城県や仙台市、東北地方整備局の防災担当、経済団体の幹部、主要報道機関の責任者らが登録しています。月に一度の開催で、すでに4回の会合が行われました。
第1回(4月)キックオフ(設立会合)、第2回(5月)国連防災世界会議の振り返り、第3回(6月)宮城教育大、イコールネット仙台、JICA東北支部の活動紹介、第4回(7月)東北福祉大、仙台青年会議所、NPO防災・減災サポートセンターの活動紹介がありました。現在のゆるやかで幅広い連携から、ぞれぞれのテーマを持った強い連携に移行することが今後の課題です。

<2015年8月23日>猛暑について
今年は、たいへん暑い日が続いています。7月29日に九州北部と東北北部で梅雨明けが宣言され、すべての地域が梅雨明けの状態となりましたが、梅雨の明け方も、南から順番にではありませんでした。その後、沖縄から北海道まで、日本全国でかなり高い気温を記録、東京でも38度を記録しました。北海道も熱波に見舞われて、帯広近郊では、猛暑日が二日続き、最高気温が37.1度にのぼるという異常事態となっています。熱中症で死者も出るなど、今年の猛暑は「災害」とも言えそうです。基礎情報ですが、最高気温が25度以上の日を夏日、30度以上を真夏日、35度以上を猛暑日と呼びます。また、日中の最高気温が平均最高気温より5度以上高い日が5日以上続くと熱波と呼ばれます。では、暑さ対策に必要なものは何でしょうか?
まずは情報です。環境省では熱中症予防情報サイトを立ち上げていますが、そこには、暑さ指標(WBGT)が出されています。人体と外気との熱のやりとり(熱収支)に着目した指標で、人体の熱収支に与える影響の大きい (1)湿度 (2)日射・輻射(ふくしゃ)など周辺の熱環境 (3)気温の3つを取り入れた指標です。このような情報を毎日出しており、また、熱中症対策も紹介しています。このような情報をうまく活用して暑さ対策に役立てたいものです。

<2015年8月16日>SENDAI CAMPについて
先週は、研究室での防災キャンプ企画の紹介を致しましたが、本日は昨年実施しましたSENDAI CAMPの紹介です。昨年9月27日(土)~28日(日)にかけて勾当台公園(野外音楽堂付近)で被災訓練プログラム SENDAI CAMP~あなたの“生きる力”を高めよう!~を実施しました。この事業は、被災地で行う被災訓練のトライアル、被災経験を共有し、一緒に被災訓練プログラムをつくりあげることを目的としています。コア・イベントとして 宿泊被災体験プログラム(体験&講座)と、サブイベントとして「衣食住楽学」をテーマとしたブース展示ならびに体験・講座で構成されています。コア・プログラムでは20名、サブプログラムでは、述べ4,000名 の参加があり、盛況に実施することができました。災害科学国際研究所がこれまで蓄積してきた災害の知識と教訓を、被災体験というよりも実践的な形で模擬体験する「被災訓練プログラム」の開発を目指しています。本格的かつ複合的な 被災体験訓練は全国的にも例がなく、これまでの避難訓練の一歩先にある啓発事業です。また、被災体験した方の声を反映したプログラムとすることで、東日本大震災の教訓を全国および世界へ発信していくプログラムとすることを目指しています。このようなキャンプは、東京渋谷の代々木公園(SHIBUYA CAMP 2014)でも実施されていました。こちらは、プロジェクト72の皆さんを中心とするSHIBUYA CAMP実行委員会で実施しており、目標は20万人の被災訓練で、プロジェクトの考えは「楽しくストイックに!みんなで一晩生き抜こう」というものです。

<2015年8月9日>研究室での防災キャンプについて
夏休みにふさわしい話題を。大学の研究室では、2010年8月から恒例行事の1つとして防災キャンプを企画しています。屋外で寝泊まりし、食事では、非常食を食べたり、サバメシ(空き缶での飯炊き)も実施しています。これに加えて、三角巾を使った救急法実技、小川を利用した仮想津波体験、津波の現地調査・測量、地震や津波避難訓練、また、貞観津波の堆積物に関する講義なども行っています。これまで、国立花山青少年自然の家、南蔵王野営場、福島県浪江町マリンパーク「なみえ」、山形県月山、気仙沼市大島などで実施しています。今年は、岩沼市のグリーンピア岩沼、震災後に津波よけとして整備された千年希望の丘で実施、各人がGPSを携帯し、津波からの避難訓練を行いました。まわりに高台がない場所、10分という限られた時間内で、どこにどのように避難するのか、課題も浮かび上がりました。

<2015年8月2日>学校での出前授業について
ときどき、 小・中学校、高等学校などで出前授業を実施させていただいております。通常の講義と違い時間が限られるうえ、対象の学生・生徒さんとも初めての機会になりますので、工夫する点が多くあります。まずは、テーマ設定です。与えられた時間で何を与え、何を考え、何を行動していただくかを検討します。また、受講生が何に関心があるかも大切で、地域や学校の特徴、依頼の先生方からの要望をいただきます。次は内容の精査で、わかりやすい言葉や表現、各学校での教科との関係も考えます。世界地図~地理、地域での歴史・文化、算数・数学、英語などの教科も関連してきます。このような防災・減災関係の授業で心掛けている3つの要素があります。それは、「驚き」→「納得」→「気づき」です。授業中にクイズを出したり、質問をさせていただくことがあります。たとえば、「地球誕生から現在までの46億年の歴史を1年365日であらわす地球カレンダーの中で、大規模な地震・津波の発生間隔400年はどのくらいの時間?」というものから「隕石衝突による津波の規模推定」などの難しいものまで。出前授業のあとの感想や要望が楽しみでもあり、どのように理解されたのかといった不安な点もあります。

<2015年7月26日>減災ポケット【結】プロジェクト事業の活動報告
東日本大震災での甚大な被災実態を受けて、あらためて防災教育の重要性が認識されましたが、現場の学校や地域では、防災教育を実践するための支援が必要とされています。この中、東北大学では、子どもたちに防災・減災についての知識を普及し、リスクに対する判断力を向上させ、将来彼らが我が国での災害や困難な状況に立ち向かえるようなマインドを涵養するための防災教育を展開しています。具体的には、小学5年生を対象に「減災ポケット」(ハンカチ)を贈呈し、それを使って防災・減災に関する出前授業を実施するものです。このハンカチには、災害時の対応や日ごろの備えなどがイラストやグラフで印刷されています。昨年度は、宮城県内20、800名の小学5年生全員に減災ポケットを贈呈、東北大学教員が70校の小学校に出向いて出前授業を実施しています。このほか、ハワイやタイのプーケット、フィリピンなど海外でも実施しました。今年度は福島県で、同様の取り組みを行っています。先日、郡山市の芳賀小で、児童が自ら災害から命を守るための出前授業を実施しました。この出前授業は減災教育事業「減災ポケット『結』プロジェクト」の一環であり、東北大学の特定基金から支援をいただいて実施しているものです。今後の継続のためにも、基金への協力をお願い致します。

<2015年7月19日>災害を生き抜くのに必要な力とは
6月22日から7月2日まで、第26回国際測地学・地球物理学連合IUGG2015がチェコ共和国プラハで開催されました。28日~30日は参加者約100名の津波セッションで災害科学国際研究所災害リスク研究部門から多面的な実践的防災研究の成果を報告しました。2011年東北地方太平洋沖地震・津波後の津波レベル1&2のコンセプトと復興の現況、越村俊一教授よりリアルタイム津波解析と被害想定について、それぞれ口頭発表で話題を提供しました。さらに、ポスターセッションでの発表も行いました。また、第1回グローバル津波モデル(Global Tsunami Model、GTM)会議に参加し、これからの世界レベルでの確率的津波数値解析およびリスク評価等についても議論しました。今後、世界的に標準となるようなモデルの検討を行っていくことを確認しました。

<2015年7月12日>災害を生き抜くのに必要な力とは?
東北大学では、震災後のアンケートや記録から浮かび上がった災害から生き残るための8つの因子を「災害時の8つの“生きる力”」と命名し、米科学誌に発表しました。その力とは、(1)人をまとめる「リーダーシップ」、(2)問題に対応する「問題解決力」、(3)人を思いやる「愛他性」、(4)信念を貫く「頑固さ」、(5)きちんと生活する「エチケット」、(6)気持ちを整える「感情制御」、(7)人生を意味づける「自己超越力」、そして(8)生活を充実させる力である「能動的健康」です。2013年12月に、宮城県内で津波で被災した地域に住む約3600人に「リーダーシップ力」や「人を思いやる力」など8分野の質問を提示し、震災の際に取った行動や心身の健康状態を尋ね、どの分野との関連が深いか調べました。約1400人から回答を得ました。その結果、津波から素早く逃げた人は、自ら動いたり、何をすべきか迷った時に選択肢を挙げて考えたりする「問題解決力」などがあり、自分から人を集めて話し合うといった「リーダーシップ力」も高い傾向が判明しました。震災後も心が健康な人は、新しいことへの挑戦を心掛けたり、ストレス解消の習慣があったりする「生活を充実させる力」を備えていたようです。 「感情を制御する力」や「問題解決力」なども高かったと報告しています。

<2015年7月5日>仙台での復興大学について
仙台の国公立・私立大学が中心となって、「学都仙台コンソーシアム」という組織を作って、教育・研究や社会貢献を実施しています。その中で、東日本大震災後の2012年に始まった活動が、「復興大学」です。(http://www.fukkou-daigaku.jp)
復興大学は被災地の復興に寄与するとともに、将来起こり得るであろう震災を想定しながら、種々のプログラムで構成されています。4つの柱があります。
(1)復興人材育成(教育コース):学都仙台コンソーシアムの単位互換制度に基づき、加盟大学の学生を対象とした教育コースを開講しています。コースは「復興の政治学」、「復興の経済学」、「復興の社会学」、「復興の思想」、「復興のための生活構築学」「復興の科学技術」の6科目で、学都仙台単位互換ネットワーク参加校に在籍する正規学生であれば、学年を問わず誰でも応募できます。
(2)教育復興支援;宮城教育大学では、平成23年に「宮城教育大学教育復興支援センター」を設置、被災地の学校のニーズを的確に押さえ、支援の最適化を行いながら人材や教材を編成・投入して各種の支援プログラムを提供しています。
(3)地域復興支援ワンストップ・サービス;被災した企業・団体の活動再開に必要とされる支援活動を実施し、被災した方々と共に、震災復興の障害となっているさまざまな課題に対し支 援・提言を行い、地域の復興達成に貢献することを目的としています。
(4)災害ボランティア;ボランティア活動参加学生、指導教職員を対象に、自ら適切にニーズを把握する能力や適切な活動スキルを適用する能力等の育成のため、ネットワーク参加大学の共同研修プログラムを開発し実施しています。

<2015年6月28日>電気自動車(EV)と防災について
東日本大震災では、直後から電気が止まり、情報システムなども使えませんでした。また、ガソリンなどの燃料もなくなり、車を使った移動や 暖を取ることも困難でした。そこで注目されたのが、電気自動車(EV)です。EVは、蓄電池を持っているため、ソーラーパネルなどの自立系発電を持っていると、このような困難な中でも対応することが出来ます。たとえば、日産自動車は、「EV for レジリエンス」という考えのもと、「自助(個人やオフィス)」、「共助 (コミュニティ)」、「公助(社会)」の3つの軸で電気自動車が防災に果たせる役割についてより具体的な提案を目指しています。車は、災害時の移動手段のみに留まらず、電気自動車に代表される蓄電機能や電源供給機能、通信機能などが、これからの防災のあり方に新しい可能性を示す軸になり得ると考えられているのです。さらに震災時においては、通常、電気がガスや水道に比べて早く復旧することもあり、特に電気自動車が担える役割には、大きな期待が寄せられています。今後のEVのレジリエンス社会での期待としては、・EVに平時と災害時の連続性を期待、・EVに情報通信機能としての期待、・災害時にドライバーの命を守ることの期待、などが挙げられます。「e-NV200」 と「日産リーフ」のリチウムイオンバッテリーは、24kWhの大容量電力を蓄えることが出来るため、電力供給システム「LEAF to Home」を組み合わせることにより、災害時のバックアップ電源となります。日産自動車は、国連防災世界会議の会期中、夢メッセみやぎで開催された「防災産業展 in 仙台」にも出展しました。

<2015年6月21日>5月に起きた火山噴火と地震について
口永良部島(くちのえらぶじま)は、屋久島の西方約12kmに位置する火山島です。近隣の屋久島や種子島などとともに屋久島国立公園となっています。温泉が豊富にあるほか、島の周辺は魚釣りのポイントも多いため、1年を通して観光客が訪れているそうです。しかし、火山噴火も多く、1914年(大正3年)、昭和以降もこれまでに10回近くの噴火記録があります。昨年8月3日には、新岳で34年ぶりの噴火があり、噴煙高度800m以上で噴火警戒レベルになりました。先日5月29日にその新岳で爆発的噴火が起こりました、噴煙の高さは9,000m以上、火砕流が海岸まで到達し、噴火警戒レベル5で、気象庁は引き続き、厳重な警戒を呼びかけています。火山噴火予知連絡会は、噴出した火山灰の中に新しいマグマからできたとみられる溶岩のかけらがわずかに含まれていたことから、今回の噴火は地下のマグマが関与して起きた「マグマ水蒸気噴火」と考えられるという見解をまとめています。また、先月には、いくつかの地震がありました。5月25日午後2時28分ごろ、茨城県土浦市で震度5弱、 東京23区やさいたま市、横浜市、千葉市など関東一円で震度4を観測しました。震源は埼玉県北部で、地震の規模はM(マグニチュード)5.6でした。さらに、30日には、小笠原沖でM8.1の巨大地震が発生。深さ682キロという極めて深い場所で起きたため、遠い場所でも揺れが観測(異常震域)されました。今回の震源付近には、太平洋プレート(岩板)が伊豆・小笠原海溝から急角度で地下に潜り込むプレート境界があります。全国で震度1以上か観測された地震は初めてです。

<2015年6月14日>ネパール地震の現地調査について
4月25日、ネパールでM7.8の地震が発生し甚大な被害が出ていますが、5月22日~26日、 JICAからの派遣要請を受けてネパールに赴き、現地で被害調査およびセミナーに参加してきました。今回のネパール地震は低角逆断層型の長周期地震であり、地震発生後1ヶ月で死者は9000人を超え、特に地盤が弱いカトマンズ盆地での被害状況が甚大です。また、山間部で救助、復旧活動、実態解明が遅れていることが分かりました。現在のカトマンズの状況は、倒壊は免れたものの壁のひび割れ等が顕著な建物が多く、住民は恐れて帰宅できないため、専門家による安全性の緊急診断が必要有効になっています。カトマンズ北東のシンドパルチョーク県においては3000人以上の犠牲者が出て、特に、行政・病院機能が集中していた中核都市チョータラ地区では、住宅の9割が破壊され、行政の建物や病院も倒壊するなど大きな被害が出ています。次に、カトマンズで25日に行われたJICA主催の地震後1ヶ月セミナーについて報告します。このセミナーには、ネパール政府関係者、JICA理事長、在ネパール日本国大使、国連開発計画(UNDP)、日本からの専門家をはじめとした多くの方々が出席し、今後の復興のあり方についての活発な意見交換が行われました。このセミナーでは、先日の国連防災世界会議で採択された仙台防災枠組の重要コンセプトの一つである「よりよい復興build back better」が主題となり、現地でも「Sendai」の名が注目されていました。私の方からは、東日本大震災の教訓をネパール地震の復興に生かせる旨を提言しました。

<2015年6月7日>6月に発生した過去の地震について
1978年の宮城県沖地震(6月12日)、2008年岩手・宮城内陸地震(6月14日)が発生しました。1978年の地震は、M7.4、震度5の強震でした。初めての「都市型地震といわれ、ビルの倒壊、インフラなどの被害がありました。特に、ブロック塀での犠牲者が多かったことが特徴です。死者28名(ブロック塀などの下敷き18名)、負傷者1万名余り、建物の全半壊7400戸、 停電70万戸、断水7000戸の被害が出ました。この宮城県沖地震は、国内外において、最も周期的に発生している地震の1つで、発生周期は、平均37年と言われています。平成12年に国の地震調査委員会から長期評価が発表され、当時、「30年以内に90%という発生確率でした。2011年東日本大震災前には、99%になっていました。2008年岩手・宮城内陸地震では、震度6強を2箇所で記録、最大加速度も4022galを記録しています。 特に、上盤側の断層上で大きな被害がでました。斜面崩壊は、6,000万m3で東京ドーム48杯分になります。荒砥沢ダム上流で地滑りが起こり、河道が閉塞し、土砂ダムを形成、17箇所にも及びました。土石流も発生し、駒ノ湯温泉を飲み込みました。地震発生から約10分後でした。これは山津波とも呼ばれます。

<2015年5月31日>5月に発生した地震について
5月は、比較的地震の発生が多い月です。海外では、1960年チリ地震津波(5月22日)2008年四川大地震(5月12日)、国内では、1968年十勝沖地震(5月16日)1983年日本海中部地震(5月26日)などがあります。1960年5月22日19時(世界時間)、日本時間で23日午前3時頃、チリ沖でM9.5の巨大地震が発生しました。チリ地震は史上最大級の地震であり、その震源では長さ1000km、すべり量が10mを超える断層運動が生じたことになります。海溝で発生したプレート間地震であるために、海底に生じた地殻変動が津波の波源となり、巨大な地震が発生しました。それによって発生した津波は、チリのコラールで8.5-10m、 太平洋全域に被害をおよぼし、ハワイ、米国西海岸。そして日本でも2?5mの津波を観測しました。1日かけて津波が伝幡し、5月24日未明、日本沿岸に来襲したのです。平均時速は700kmでした。当時、津波警報は出されず、死者・行方不明者は139(岩手62名、宮城54)特に志津川での被害が大きいものでした。次に、日本海中部地震津波を紹介します。昭和58年5月26日に秋田沖で、M7.5の地震が発生しました。その後、津波も生じ、日本海沿岸を襲いました。最大遡上高さは13mを超えました。104名もの犠牲者が出ましたが、そのうち100名が津波により亡くなられました。しかも、小学生13名、港湾工事従事者35名、釣り人30以上と、多くの犠牲者は、住民ではありませんでした。なかでも、小学生の犠牲は痛ましいものでした。男鹿市の加茂青砂で、遠足で訪れていた北秋田郡合川町(現在の北秋田市)立合川南小学校の児童43人と引率の教諭たちが津波に襲われたのです。学校での防災教育のあり方も問われ、戦前に教科書の副読本としてあった「いなむらの火」の復刻の必要性が叫ばれました。

<2015年5月24日>ネパール地震について(2)救命・復旧活動と今後
4月25日に発生したネパール地震での人命救助・緊急支援や今後の復旧・復興について述べたいと思います。救助活動については、まず、ネパールへの支援の難しさが問題となっています。国際空港がカトマンズのトリブバン国際空港だけしかないという空港の未整備があります。過去の大災害の多くは、海洋に面し港湾を持つ国で起こっており、船舶を使った救援ルートが使用できましたが、今回は内陸国のためこのルートが使えません。また、首都が被災し、その機能を失っているという点も、過去の大災害と異なるものです。余震が続く中、救助が難しく予想以上にがれきが多い状況です。震源付近や震度の大きかった山岳地帯では、地すべりなどにより村落の孤立化が続いており、救助活動が難航しています。来月からモンスーンと呼ばれる雨季を迎えるのを前に、被災者の避難先の確保が最大の課題になるとしています。特に、感染症への対応は重要性を増しています。避難所テントを充実させ、安全な水(フィルターされた水か沸騰させた水)での飲食と手洗い、またトイレの設置などで避難所または周囲の環境の清潔を保つ必要があります。水たまり、ゴミなどから蚊、ハエ、ネズミなどの感染症の媒介動物が異常増殖する可能性があるのです。感染症の早期診断、デング熱、レプトスピラ症、メリオイドーシス・結核などの多種類の感染症の診断を同時に行うことが必要です。今 後、緊急対応から、復旧・復興への対応に移っていきますが、東日本大震災以上に困難が予想されます。首都カトマンズは人口が非常に多いため、周辺から必要な水・食料や物資を運びこむことには限界があり、首都からの脱出が続く可能性があります。また、被災の大きい山間部では。支援が届かないため、届く場所への移動も必要になります。そのため、広域避難が必要であり、その受入準備体制が重要となります。

<2015年5月17日>ネパール地震について(1)
現地時間2015年4月25日11時56分に地震が発生しました。震源は、ネパールの首都カトマンズ北西77km付近、ガンダキ県ゴルカ郡サウラパニの深さ15kmとされています。アメリカ地質調査所(USGS)によれば地震規模はMw7.8と推定されています。震源の断層はカトマンズを含む周辺一帯東西150km、南北120kmに及び、4.1m以上ずれた地域もある可能性があることが推定されています(筑波大の八木先生)地表にも1m以上の変化が推定されています(国土地理院)推定される地震動は5強になりますが、比較的長周期の地震の揺れが長時間継続した可能性も指摘されています。首都カトマンズは、堆積層の厚い盆地地形であるため、揺れが増幅しやすく、しかも長く続くのです。煉瓦造りの建物や4階程度の建築物が多く、耐震性は高くありません。そのため、多くの倒壊の被害が生じ、多数の犠牲者が出ています。ネ パールでは地震に対する建築基準法が1993年に制定されていましたが、これは新しい建物に適用されるもので、既存の古いものには適用(補強の義務)されていませんでした。この地域には、インド亜大陸を含むインドプレートがユーラシアプレートに衝突・沈み込んでいる収束型境界が存在しています。そのため、ヒマラヤ山脈が形成されています。二つのプレートの相対速度はネパール付近では約45mm/年で、世界的に地震活動が活発な地域のひとつになっています。過去、1988年M6.8、1965年M6.1、1966年M6.0などの地震が起きていますが、カトマンズ付近ではありませんでした。この付近では、1833年にM8クラスの地震が発生し414名の犠牲者を出しているほか、1803年、1506年、1413年と時代をさかのぼりますと地震の記録がありますが、この周辺は、いわゆる地震空白域と呼ばれていました。

<2015年5月10日>防災科学技術研究所によるS-netの整備について
国立研究開発法人防災科学技術研究所(茨城県つくば市)が、東日本の太平洋沖で地震・津波観測用の海底ケーブルの設置を現在行っています。日本海溝海底地震津波観測網、「S-net(Seafloor Observation Network for Earthquakes and Tsunamis along the Japan Trench )」と呼ばれています。東日本大震災後の2011年11月に着手している事業で、千葉県房総沖から北海道釧路沖の日本海溝までの2000キロの海域に、150個の地震・津波計を付けた海底ケーブル(約5700キロ)を蛇行させながら敷設するものです。陸上局が6か所あり、ここでデータを収集し地上通信回線網でデータセンター(防災科研、気象庁等関係機関)に送信されます。今夏の運用開始を目指していて、現在の観測システムより、海域の地震動を最大で30秒、津波発生を20分ほど早く検知できると期待されています。さらに、高密度な観測データですので、正確な震源や波源の推定に役立ちます。先月4月16日と19日に、宮城県亘理町荒浜海水浴場で海底ケーブルの陸揚げ作業がありました。16日は、茨城・福島沖に敷設する全長約870キロのケーブルの一部を、19日には宮城・岩手沖に敷設する約880キロを引き上げました。県内の拠点は荒浜のみで、いずれも地下に埋設したヒューム管に通し、海岸から約1キロ離れた観測拠点(亘理町漁協組合の3階)に接続されました。海底ケーブル(光ファイバー)を設置する船舶は特殊な敷設船で、全国で2隻しかないそうです。

<2015年5月3日>海底での地震・津波リアルタイム観測網について
今精力的に整備されている、海底での地震・津波のリアルタイム観測網についてご紹介します。現在の津波の観測は以下の3種類で行われています。(1)沿岸部での潮位計や波浪計、(2)少し沖合いに設置されているGPS波浪計、(3)沖合い海溝付近での海底津波計です。それぞれ、津波に加えて、波浪、高潮、潮位などを観測しています。特に、津波予報のためには、地震・津波情報を迅速かつ正確に観測し、その情報が、速報として出される第一報の修正(改善)に結びつくことが大切です。そのためには、より震源に近い沖合の海底で得られた地震や津波のデータが重要になります。特に、津波計の場合は、水圧変化を測定し、そのデータをもとに水位変化を捕らえることになりますが、これは、通常の海面の波浪は短波で、その水圧変化は表層に限られますが、高潮や津波は長波であり、水圧変化は海面と海底ではほとんど変わらないという原理を利用しています。地震と津波の発生を早期に検知できれば、震源や波源の推定の精度が向上し、迅速で信頼性の高い津波の予測を行うことが可能になります。さらに、確実な観測データや津波予測で陸上の浸水範囲が推定できれば、より的確な避難行動や道路規制などの防災対策に役立ちます。地震・津波観測監視システムは、気象庁と海洋研究開発機構が設置、運用していますが、現在、防災科学技術研究所により、日本海溝および千島海溝南部で発生する海溝型地震やそれに伴って発生する津波を直接検知するシステムが整備されています。

<2015年4月26日>ハイブリッド防潮堤について
被災地での防潮堤などの沿岸施設については、現在も様々な議論がありますが、本日は、防潮堤の新しい技術を紹介します。「ハイブリッド防潮堤」と呼ばれるものです。防潮堤の建設には、工期が長くかかることや高さに比例して敷地面積が必要になるという課題があります。被災地域では急ピッチで復旧、復興工事が進められていますので、工事期間の長さ、資機材や人手の不足が深刻な問題となっています。JEFエンジニアリングという企業が、この2つの問題についてソリューションを出しました。まず、現地で基礎鋼管杭を施工している間に、工場で堤体ブロックを製作する工法であるため工期を短く出来ます。しかも、基礎杭施工後わずか数日間で堤体と基礎を一体化することが可能になり、RCコンクリート製の直立防潮堤と比較しても現地工期を60%程度短縮することができます。さらに、鋼材とコンクリートからなるハイブリッド構造の直立型防潮堤であるため、盛土構造の防潮堤と比較して土地占有面積を20%まで大幅に縮小することができます。現在、臨海道路に沿った狭隘なエリアであるため、通常の防潮堤では建設できない状況だった宮城県気仙沼港と岩手県山田漁港で採用されています。

<2015年4月19日>震災がれきの再利用について
大災害時に発生する大量のがれきについては、以前にも紹介しました。膨大な量であること、また広域処理が必要のために他の地域への搬入を行わなければならないなど、さまざまな問題がありました。これは、今後発生する災害においても避けて通れない問題です。本日は、震災がれきの再利用に関する状況を紹介します。
東北大学工学研究科土木工学専攻の久田真教授らの研究グループが検討を行っています。大規模地震災害の前例となる関東大震災(1923年)と阪神淡路大震災(1995年)では、震災がれきの処分として第一に選択された方法は埋立てでした。関東大震災で発生した震災がれきは、発災後まもなく横浜の沿岸を埋立て用地とするために使われ、現在の山下公園となっています。それ以外の再利用としては、防潮堤の整備、浸水を防止するための盛り土などへの利用、建設資材、サーマルサイクル(燃料)などがあります。ただ、広範囲にわたって存在する震災がれきをいかに収集(仮置き場に移動)、分別、処理(破砕、焼却、洗浄)するかが問題です。建設現場等で排出されるコンクリート解体材の再生骨材としての利用が発達しており、平時に開発されたこれらの技術を、コンクリートがれきの有効利用に応用することは大いに期待できるところです。しかし、コンクリートがれき、津波堆積土砂、混合がれきなと?を焼却した後に排出されるがれき焼却残渣は膨大な量になること、放射能の汚染、アスベスト除去など課題は山積しています。

<2015年4月12日>生態系による防災・減災ECO-DRRについて
健全な生態系や生物多様性を保つことは、災害リスク削減につながることが注目されています。今回の国連防災世界会議でも生態系による防災・減災(ECO-Disaster Risk Reduction)について盛んに議論されました。健全な森林は土砂崩れなどを防止したり、沿岸部の植生は、津波や高潮などの影響を低下させると言われています。また、池や沼、湿地なども洪水調節の機能を持っています。また、健全な生態系は災害後の緊急時に必要な水や燃料・食料などを供給してくれるなど脆弱性の強化にもつながると考えられています。さらに、生態系を活用したDRRの方策は、コンクリート等の人工物による対策に比べ、費用が一般的に安価であります。災害リスクにつながる自然の事象は人間にとってはハザードとなる可能性があり、「負の影響」をもたらすリスクを持ちますが、生態系における役割からみればそれは、良い意味の「攪乱 disturbance」であるという指摘もあります。これらの事象は気候変動の影響によって今後さらに増加するものと予想されています。災害リスク削減と気候変動への適応(CCA:Climate Change Adaptation)に対して統合的なアプローチをとるべきだという議論が高まっているのです。災害リスク削減は短期的な課題である一方、気候変動適応は長期的な課題であるという違いがありますが、今後の対策が双方に資することが求められています。

<2015年4月5日>持続可能な開発と防災
第3回国連防災世界会議が無事終了しました。15万人を超える人々が参加、350ものパブリックフォーラムが行われました。災害統計グローバルセンターの立ち上げ、2015年から30年までのあらたな防災の指針「仙台防災枠組」が採択されました。この会議の中で、持続可能な開発(教育)と防災(教育)との関係についての議論が重点的に行われました。世界各国、とりわけ開発途上国においては、経済、社会の発展・開発のために防災対策は不可欠ですが、災害により壊滅的な被害を受けてはじめて、防災政策の重要性に気付き、抜本的な防災対策に取りかかる例が多いのです。UNDP(国連開発計画)は、「リスクを考慮しなければ開発は持続できない」ということを掲げ、気候変動、災害リスク、エネルギーの諸問題を開発課題に統合し、強靭性を高め、リスク削減を考慮した持続可能な開発の実現に向けて各国のパートナーとともに活動しています。気候変動やその他のさまざまな要因により、人々が災害リスクにおびやかされる機会は近年急速に拡大しており、かつてない課題を世界につきつけています。特に、被害への対応能力が低く、自然災害に見舞われる可能性も高い開発途上国にとってこの課題は深刻で、災害によりこれまでの開発成果が破壊されるのみならず、時には開発が後退し貧困がさらに深く根を下ろす脅威に晒されています。そのため、今回、効果的な展開を図るため、被災地での実践事例や両者との関係について議論が行われました。1ドルの投資で7ドルの被害軽減が図れると言われています。さらに、持続可能な開発のための教育をESD(Education for sustainable development)と呼びますが、昨年11月、ESDに関するユネスコ世界会議で「あいち・なごや宣言」が採択され、今後いかにESDのコンセプトを防災・減災に取り入れるかを考える必要性が更に高まったのです。今年6月には、ミレニアム開発目標(MDGs)が見直される予定です。

<2015年3月29日>「カラーでよみがえる東京 ~不死鳥都市の100年~」の紹介
昨年、過去の記録の再生について紹介される番組がありました。タイトルは「カラーでよみがえる東京 ~ 不死鳥都市の100年~。世界の巨大都市の中で、東京だけが経験した歴史があります。それは、100年の間に震災と戦争によって二度焼け野原となったことです。そこから不死鳥のようによみがえった不屈の歩みが描かれます。NHKは今回、東京を撮影した白黒の記録映像を世界中から収集し、現実にできるだけ近くなるよう色彩の復元に挑んだのです。白黒画像であらわされる情報と実際(カラー)によるものは大きく違います。例えば、関東大震災で発生した火災、白黒では、黒煙などが主であり、炎の状況は分かりませんが、カラー化により、その状況(怖さ)がよく理解できるようになりました。白黒フィルムをカラー化するためにどのような技術が使われたのか、大いに関心のあるところですが、今回はフランスのプロダクションと協力して現実にできるだけ近い色彩の復元に挑んだそうです。手作業で、1つ1つのパーツ(部分)について色を検討しますが、当時使われていた材料や素材なども調べ、丹念に色彩をほどこしていったそうです。色を取り戻した映像により、二度の破壊のすさまじさ、そこから立ち上がった庶民の喜怒哀楽など、激動の歩みを追体験することができます。

<2015年3月22日>グローバル安全学について
先日18日まで、第3回国連防災世界会議および関連行事が行われました。世界各地での今後の防災のあり方などが熱心に議論されました。
本日は、関連して「グローバルな安全学」というテーマについて一緒に考えたいと思います。
まず、「グローバル」に近い言葉である「インターナショナル」について考えてみましょう。
日本語では、国際または国際的なという意味を持ちます。「インターナショナル」は、国(ナショナル)を基盤とした、または、国境を意識した考えになります。
これに対し、「グローバル」は、世界的な、地球全体の、国境を越えたものとしての意味を持ちます。「グローバル」の対義語は「ローカル」です。この2つの言葉が大変重要で、グローバル安全学は「グローバルに影響を与えるような大きなリスク・危険に対してローカルに安全を実現するための方法を探求する学問」と考えられます。これはまさに、世界の経済活動にも影響を与えた自然災害に対して、地域を守っていこうという東日本大震災における取り組みと重なります。まずは、自然災害自体の発生、波及メカニズムを調べること、地域や国、さらに国境を越えた被害や影響を調べること、その上で、緊急対応、復旧・復興を含めた対応を調査・研究し、その知見を、今後世界で発生する巨大災害の対策に生かすことを目指します。ただ、日本や東北というローカルでの体験や知見が、他の地域にそのまま適用できるのか?今後の世界の災害対策に生かせるのか?について、難しさや問題も指摘されています。確かに、住んでいる人、街の様子、地形、天候、さらに風土や歴史が違いますので、簡単ではありません。しかし、危険性をどのように認知するのか?避難などの体制の工夫(自助)、過去の被害(記憶)の伝承、支援を必要とする方へのサポート(共助)、行政や国の役割(公助)などに整理すると、共通性が見い出だせるのではないかと思っています。

<2015年3月15日>第3回国連防災世界会議の意義とその後
国連防災世界会議期間中に紹介される東北大学の取り組みについてご紹介します。
1 東北大学復興アクション~「東北復興・日本新生の先導」を目指して~東日本大震災の被災地域の中心にある総合大学として、被災からの復興・新生を先導する研究・教育・社会貢献活動を紹介。東北大学がこれまで取り組んできた「8つの重点プロジェクト」(災害科学、地域医療、エネルギーなど)の活動内容を展示。
2 東日本大震災遺構3次元クラウドデータアーカイブMR体験型展示~震災の被害の大きさを物語る震災遺構。被災地では多くの遺構がすでに解体され、現在残された遺構も保存か解体かの議論が続けられています。本展示では被災地各地でレーザースキャン技術を使って保存された震災遺構の3DデジタルアーカイブをMRシステムでバーチャル体験することができます。このシステムを利用した防災教育で、将来の減災に向けた活動を続けています。
3 歴史遺産を未来へ?災害から地域の歴史資料を守り伝える?東日本大震災では、被災した地域固有の歩みを示す歴史資料が多数被災した。その救済・保全活動について紹介し、地域社会でそれらを「歴史遺産」として継承する可能性について示す。
4 3Dドキュメンタリー作品「大津波3.11未来への記憶」の上映~東日本大震災直後から3Dで映像記録した東北沿岸各地の3年半の軌跡と、3年たってようやく心を開いて語り始めた人々のことばを織りなして構成する「津波と人の物語」。
5 未曾有の惨禍のなかで、いのちと希望を見つめて生きている人びとから次の世代に伝える未来へのメッセージ。世界唯一の3Dによる震災ドキュメンタリー国連世界防災会議特別編集版。

<2015年3月8日>第3回国連防災世界会議の意義とその後
国連総会で決議された国連主催の会議で、バン・ギムン事務総長も出席される予定です。国連加盟国193ヵ国と国連機関、NGO等が参加します。国連防災世界会議は、国際的な防災戦略について議論する会議であり、第1回(1994年:横浜)、第2回(2005年:神戸)の会議とも、日本で開催されています。第2回会議では、2005年から2015年までの国際的な防災の取組指針である「兵庫行動枠組」が策定されるなど、大きな成果をあげています。今回の第3回会議では、その兵庫行動枠組の後継枠組の策定が行われる予定です。東日本大震災の被災地である仙台市でこの会議を開催することは、被災地の復興を世界に発信するとともに、仙台・東北の東日本大震災における経験と教訓や防災、復興に関する取り組みを国内外に発信し共有することにより、世界の防災の取り組みの推進に貢献する重要な機会となります。また、仙台・東北の人々が、それぞれの防災や復興への取り組みなどについて情報共有し、互いに連携することにより防災意識をより向上させ、次世代に伝えていく契機とします。日本は、これまでさまざまな自然災害に見舞われ甚大な被害を被ってきましたが、そのたびに災害への体制を強化し、優れた防災・減災システムを整えてきたことが国際的に高く評価されています。こうした日本での経験と知見を国際社会と共有し、今後10年にわたる世界の防災戦略の原則やルールが示されることになります。

<2015年3月1日>伝承知について
我が国には、津波などについての「伝承知メディア」が存在し、これらは津波の経験を後世に伝える役割を担っています。伝承知メディアとは過去の災害などの経験や教訓を残す地名、津波碑、口承などです。しかし、現在でも、その津波被害軽減効果を発揮しているかは明らかにされていません。そこで災害科学国際研究所では佐藤翔輔助教や学生らで、この津波伝承知メディアである地名と津波碑に着目し、東日本大震災の被災状況の比較を始めました。被災地である岩手・宮城・福島を対象としていますが、情報が得られているのは、おもに宮城県になります。<津波碑>既往研究より各町大字の津波碑の数を集計、津波碑は、そのメッセージから4種類(教訓型、慰霊型、祈念型、その他)に系統分けを行うことが可能であった。
<津波由来地名>分類I:津波にまつわるエピソードがある地名として、次のようなものがあります。
・ものが流れてきたことに由来する「大船沢おおぶねさわ」
・津波の挙動に由来する「越路こえず(峠を越えなかった)」
・念仏を唱えたことに由来する「念仏橋ねんぶつはし」
・その他のエピソードとして「招又まねきまた分類II:津波襲来痕跡を示す漢字:音をもつ地名に分類できました。
今後、これらの伝承地メディアと被害状況を比較し、分析を進めることにしています。

<2015年2月22日>こころの防災・市民フォーラムについて
2月7日(土)、せんだいメディアテークで「こころの防災・市民フォーラム」が開催されました。これは、第3回国連防災世界会議のプレイベントで、災害科学国際研究所・精神医学研究分野の富田博秋教授が中心となって開催されました。東日本大震災の被災地で活動している大学の研究者や医師などが登壇しました。日本は、過去、多くの自然災害を経験し、その仕組みを学びながら次なる災害への備え、被害の軽減を図ってきました。しかし、阪神淡路大震災で初めて指摘された「こころ」の問題については、まだ十分な備えが出来ていないのが現状です。実態や原因を正しく知り、あらかじめ備え、少しでも軽減することが必要になります。東日本大震災の被災地でも、避難生活が長引く中、心の不安を訴える人のケアや災害公営住宅に引っ越したあとのコミュニティ作りが課題になっています。災害が突然起きると、生活基盤の消失だけではなく、人々のつながりも失われます。慣れ親しんだ環境が奪われた上に、被災で新たに生じてくる問題に対処することを迫られるのです。その結果、こころの傷が生じます。たとえば、不安や否定的な気持ちで頭がいっぱいになりやすい、自尊心や自己評価が低くなりやすい、人間関係にも影響を及ぼしやすいなどが報告されています。こころの健康を保つためには、自分自身について知っておく、自分を守る、状況を受容する、積極的なストレス対処などが挙げられています。また、必要な時には、まわりに助けを求めることも大切です。

<2015年2月15日>国連防災世界会議でのフォーラム紹介(2)防災教育に関するフォーラム
防災教育交流国際フォーラム「レジリエントな社会構築と防災教育・地域防災力の向上を目指して」を、災害科学国際研究所、防災教育普及協会、内閣府、文部科学省の主催により3月14日(土)に開催する予定です。会場は、東北大学川内キャンパスのメディアホールです。レジリエントな社会構築と防災教育・地域防災力の向上を目指して、大震災被災地の教訓と被災懸念地域への共有を図ることを目的とします。阪神淡路大震災から20年、 新潟中越沖地震から10年、東日本大震災から4年の教訓の発信のみならず、海外の大震災被災地の教訓もあわせて発信したいと思います。第一部では阪神淡路大震災以降、大災害の教訓を踏まえ発展した日本の防災教育の20年を振り返り、東日本大震災や世界の大震災(インド洋大津波、四川大地震など)被災地における学校防災の取り組み事例を紹介します。第二部では、防災教育チャレンジ・プランをはじめとする地域における防災教育の優秀事例等を紹介。第3部では、ポストHFAの国際枠組みにおける防災教育・地域防災の向上に向けた今後の取り組みの方向性を議論し、最後に、防災教育を通じた災害に強いまちづくりに向けた今後10年の取り組みを示す「仙台宣言」を採択する予定です。会場では、日本や世界の学校などで実際に使用される防災教育の教材などの展示も行う予定です。

<2015年2月8日>国連防災世界会議でのフォーラム紹介(1)~『生きる力』市民運動化プロジェクト
今回から、国連防災世界会議で開催されるフォーラムを紹介したいと思います。まずは、3月18日に開催される『生きる力』市民運動化プロジェクト推進のためのシンポジウムです。『生きる力』市民運動化プロジェクトは“災害と共存して「生きる力」”を高めるための市民運動・啓発活動を推進するものです。防災・減災に必要なのが、脅威を科学的知識として理解し事前に備え、いざという時に生き抜くための正しい判断と行動ができる知力・気力・体力・コミュニケーション能力=災害と共存して「生きる力」。この力が命・生活・社会を守る。国民一人ひとりの「生きる力」を育むことが国力を高めると考えています。いままでに「『みんなの防災手帳』の配布・普及」「被災訓練プログラム『SENDAI CAMP』 などを行いました。このプロジェクトの活動報告や「『生きる力』を高めるために」というテーマでのパネル・ディスカッション、さらに、高校生からの報告等をいただき、今後の活動の展開を議論いたします。
第1部:防災手帳の報告(知識・教訓を伝える)~多賀城市、高鍋町、岩手県自治体
第2部:SENDAI CAMPの報告(次の災害への適応力を高める)
第3部:若者からの報告~仙台一高、二高、三高、古川黎明高、多賀城高など
第4部 パネル・ディスカッション「『生きる力』を高めるために」

<2015年2月1日>防災・減災と心理学
防災・減災を考える際、人間科学や心理学といった分野が重要な意味を持ち、関連の研究が進められています。例えば、正常性バイアス、集団行動での心理・行動、判断などがあり、それらは個人によって大きく違うことがわかってきました。違った環境で生活をし、経験や知識が異なるのが人間ですので、ぞれぞれに異なる行動や心理があるからです。実際、災害時においても、同じ情報を受け取っていても対応がバラバラなのは、このような背景があるからです。そこで、自分自身が、どのような行動や心理の特性を持っているのか、集団になると何が違うのかを知ることは、大変重要になってきます。先日、NHK教育テレビの番組(「大心理学実験」)の中で、非常に興味深い実験がありましたので紹介させていただきます。まずは、群衆行動・心理についての実験です。ここでのキーワードは 「手抜き」です。筋骨隆々の屈強な男性5名に「トラック引きの挑戦」とだけ伝えて実験に参加してもらい、まず、個人単位の引っ張る力を測定、次に集団で引っ張った時の力を測定すると全員が100%の力を発揮していないことが判明します。集団で暮らすのに最適なように進化した私たちは、人に頼ったり、責任を分散させたりすることで、集団だと「手を抜くことを覚えたようです。ただ、そのような状況でも、モチベーションが維持されると手抜きをしないそうです。次は「同調」です。男女9名がひと部屋に集められ、クイズが出題されます(8名はサクラ、1名だけ何も知らない真の実験参加者)1問目はサクラも全員正解を答えますが、2問目からは、サクラは全員「誤答」をし、真の実験参加者だけが正解を答えます。ひとりだけ答えの違う参加者は、次第に不安になり、9問中7問で誤答に同調してしまったというのです。しかし、同じ9名集団による実験で、1人だけでも「同調しない」人が出現するとどうなるか?先ほどの実験で9問中7問で同調してしまった人も、他の7名に同調することなく、自分が思う正解を答えられたというのです。人間にはこのような傾向があることを知ることは、災害時の行動のヒントになりそうです。

<2015年1月25日>阪神・淡路大震災から20年~復興と現在の課題について
阪神・淡路大震災では、約10年で、人口や鉱工業生産指数、観光入込客数、有効求人倍率等の主な経済指標は、おおむね震災前水準にまで回復しました。また、復興の過程では、ボランティア活動やコミュニティ・ビジネス、まちづくり活動などの先駆的な取り組みのほか、住民、団体・NPO、企業・労働組合などの連携の輪が生まれました。
ただし、閉じこもりがちな被災高齢者に対する生活支援、格差が見られる復興市街地整備事業のスピードアップやまちのにぎわいの回復、地域経済の活性化などの課題は残っていました。被災者や被災地の抱える課題は個別・多様化していたのです。阪神・淡路震災復興計画は、平成17年3月末で計画期間を終了しましたが、高齢者の自立支援、まちのにぎわいづくり、心のケアなどの取り組みが続いています。
○被災者のこころのケアへの取り組み:19年前、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を知らない医師も珍しくありませんでした。被災地で求められたのは医学的治療より「ケア」でした。2004年に兵庫県が「こころのケアセンター」を開設しました。センターでは、東日本大震災で2000人以上の遺児を確認し、宮城県に2カ所のレインボーハウスを開設、岩手県でも建設を進めるあしなが育英会も支援しています。
○ボランティア活動:1年間で延べ137万人が活動し、「ボランティア元年」といわれた阪神・淡路大震災。3年後の1998年には特定非営利活動促進法(NPO法)が成立、現在、NPO法人は全国に約49000あり、兵庫県でも2000を超える。昨年改正された災害対策基本法は、国や自治体に「ボランティアとの連携」を求めています。
○震災の経験と教訓の発信;阪神・淡路大震災記念「人と防災・未来センター」の開設:経験や教訓を後世に継承し、国内外の災害による被害の軽減に貢献するとともに、いのちの尊さや共生の大切さなと?を世界に発信するため、2002年4月に「防災未来館」、2003年4月に「ひと未来館」を開設しました。2つの館の一体的な展示運営を実施したほか、国際的な防災・環境関係機関の拠点として整備しました。

<2015年1月18日>阪神・淡路大震災から20年~地震と被害の特徴について~
1995年(平成7年)1月17日午前5時46分52秒、M7.3(気象庁観測)の地震が発生しました。震源は、淡路島北部沖の明石海峡(北緯34度35.9分、 東経135度2.1分、深さ16km)であり、東側に位置する神戸市内に大きな揺れを生じさせました。阪神および淡路島の一部に震度7の激震が観測されました。気象庁はこの地震を「1995年兵庫県南部地震」と命名しています。震源に近い神戸市市街地(東灘区・灘区・中央区・兵庫区・長田区・須磨区)を中心に、近畿圏の広域(兵庫県を中心に、大阪府、京都府)で大きな被害を受けました。建物被害を生じやすい地震動の周期幅(1-2秒)をキラーパルスと言いますが、これを伴った地震動が当時最大級のものとして記録され、10秒以上続いた地域もありました。この激震により、道路・鉄道・電気・水道・ガス・電話などのライフラインは寸断されて広範囲において機能不全となりました。都市型災害および地震対策での教訓として、「ライフライン」の早期の復旧、「活断層」などへの配慮、建築工法上の留意点、「仮設住宅」「罹災認定」等の行政の対策などが注目されるようになりました。この大震災での死者は6,434名、行方不明者3名、負傷者は43,792名。兵庫県内の死者のうち、災害関連死による死者は、919名(14.3%)に及びました。

<2015年1月11日>「みやぎ復興プレス」のご紹介
宮城県の復興状況やイベント、被災者支援など、復興に関する主な情報を発信している「みやぎ復興プレス」、「みやぎ復興プレス~メールマガジン版」を紹介したいと思います。WEBも連動しています。
http://www.pref.miyagi.jp/site/ej-earthquake/pressm.html
創刊号は、平成24年7月11日に発行されました。
発行元は、宮城県震災復興本部、被災された皆さんや復興に関わる多くの皆さんに、本県の復興状況や被災者支援情報等をお届するための情報誌です。毎月1回11日発行です。
創刊号の内容は、
◆災害廃棄物の処理が本格開始!◆郵便局に復興応援(支援)コーナーが設置されました!
◆被災地での起業と人材育成を支援します!◆被災者支援情報◆被災地からのレポート◆復興イベント情報などでした。
3年以上が経過した昨年12月11日発行の号の内容は、
◆住宅の再建を応援します!-災害公営住宅建設現場レポート・みやぎ復興住宅モデルプラン-◆明日のみやぎへ!みやぎ"復興人"◆被災者生活支援情報◆被災地からのレポート◆応援職員紹介コーナーなどとなっています。

<2015年1月4日>2015年を迎えて
昨年は、地震、洪水、土砂災害、火山性噴火や地震の多かった年でした。今年は、これらの災害からの減災を目指して、皆さんと協力していきたいと思います。今年の動きとしては、第3回の国連防災会議が仙台で開催され、関連行事が東北各地で実施されます。これまでの国連防災世界会議をふりかえりますと、第1回は横浜で開催され、災害被害の軽減による持続可能な経済成長という考え方が初めて示され、世界各国の防災体制の確立、地域レベルの協力体制の確立を目指すことが掲げられました。アジア地域における成果として、アジア防災センターが設立されています。第2回の神戸の会議では、今後10年間に取るべき5つの優先行動を示した、より実践的な合意内容が決定(HFA兵庫行動枠組み)、防災グローバル・プラットフォーム会合の発足、国際復興プラットフォーム(IRP)等のテーマ別プラットフォームが設置されました。第3回の仙台会議では、HFAの後継枠組が策定される予定です。東日本大震災の被災地の復興の現状を世界に発信するとともに、防災に関する我が国の経験と知見を国際社会と共有し、国際貢献を行う重要な機会となります。これに先駆けて、東北大学では、インターネット上での公開オンライン講義(JMOOC)を2月に開校、「東日本大震災を科学する」がテーマです。1月31日は、「減災子ども国際フォーラム」、3月には、3Dト?キュメンタリー映画 『大津波 3.11 未来への記憶』が初上映される予定です。