<12月27日>スマトラ沖地震 インド洋津波について
本日は、スリランカから2名の先生をお招きしました。Ranjith(らんじ)さんとNalin(なりん)さんです。2名ともモロツワ大学で地学分野の先生をされております。
26日で5年を迎えたインド洋津波のお話をしていただきます。
当時、どのような被害だったのか?現在までどのような復興さらには、防災活動をされているのか?お話を伺います。

<12月20日>東南海・南海地震 高知市での調査
昭和19年(1944)12月7日、昭和東南海地震が発生。マグニチュード8.0。
さらに、2年後の1946年12月21日、四国沖の南海道地震が発生しました。
海溝型地震である東南海、南海地震は、歴史的に見て100年から150年間隔で、マグニチュード8程度の巨大地震を発生させています。
先日12月、高知市に地震津波対策の為に、行って参りました。
ここでは、地震の断層運動により、地盤が沈降し、そのために浸水が市内で発生しています。その後に津波が来ており、深刻な被害を出しております。
さて、この高知市ですが、有名な研究者を輩出しております。明治時代に、物理学者であり随筆家である寺田寅彦氏です。明治11年東京で、生まれましたが、すぐに高知へ転居しています。
「天災は忘れた頃に来る」という言葉で知られています。大正の関東大震災の時(45歳の時)。防災に関する文章などによく用いられる有名な警句です。寺田寅彦が言い出したといわれていますが、手紙や手帳なども含めて本人が書いたものの中には見当たらないそうです。
その他に「あらゆる災害は、実は人為的なものである」とも言っております。

<12月13日>津波の本が出来ました。
土木学会と丸善出版から津波の本が出版されました。
タイトルは「津波から生き残る」-その時までに知ってほしいこと
専門家から皆さんへ津波から命を守るための重要な知識をまとめたものです。
6年間実施されました学会活動(津波研究小委員会、メンバー60名ほど)の柱の1つ。
いままで、副読本が少なかった。
インド洋津波など最近の災害での教訓を残したい、との要望にもお応えしたいと思いました。
41の話を4部構成でまとめました。☆3つでお勧め程度を示しています。
津波の怖さを知ろう
津波の姿を知ろう
津波から生き延びる知恵
津波災害への備えを学ぼう

<12月6日>安全教育東北フォーラムinみやぎ
「産学官連携による防災教育の多重的支援」
先進的な取組が進んでる一方、避難訓練も出来ない学校があります。
授業時間、教材、教師などが不足している状況です。
その中で、11月20日に仙台メディアテークで実施されました。
防災教育指導者の先生方はもとより、これから防災教育に取り組んでみようと思っている先生、実践プログラムを改善してみようと思っている先生、防災教育を支援したいと思っている方など、防災教育に広く関心のある方必見フォー
ラムでした。
「持続的発展教育とこれからの防災教育」藤岡 達也(上越教育大学・教授)
「2008年岩手・宮城内陸地震の教訓」石川 純一(栗原市教育委員会)
「防災教育の普及と展開」佐藤 浩樹(宮城県教育庁スポーツ健康課)
「ぼうさい探検隊の実践とその教育効果」須藤 雄一郎(宮城県石巻市立石巻小学校)
「仙台市学びのコミュニティ推進事業における防災教育の試み」駒沢 健二(仙台市教育局太白区中央市民センター)
「大学による防災教育支援(仮題)」小松 洋吉(東北福祉大学
「民間企業による防災教育支援の実施例」長田 正樹(応用地質(株))
など多彩な基調報告をいただきました。
最後がパネルディスカッションでした。板橋恵子さんがコーディネータで、6名のパネリストを迎えて、「地域の防災教育コンソーシアムの実現に向けて」を目標に、議論をいたしました。

<11月29日>横浜山下公園の話
地震後に大きな被害が発生し、復興する際に大きな課題なのが瓦礫処理です。
大きな災害ほど沢山のがれきが発生します。
これらをどこに置くのか?その費用をどうするのか?重要な課題です。
話は変わります。
1923(大正12)年9月1日、関東平野南部を震度6の大地震が襲いました。
横浜でも建物の倒壊や火災で壊滅的な被害を受け、横浜経済は崩壊しました。
港の開港から60年後の出来事でした。
その時の崩壊の瓦礫の一部が、横浜港の埋め立てに使用されました。
1930(昭和5)年には市内の瓦礫埋め立てでできた山下公園が開園したのです。
1935(昭和10)年には、くじらを山下公園前の海に泳がせるなどのイベントを中心とした復興記念横浜大博覧会を開催しました。
その成功は、横浜の復興を全国にアピールしました。

<11月22日>地震工学研修コース
本日は、我が国で実施している外国の方の為の地震学および地震工学の研修コースを紹介します。
環太平洋やインド洋、地中海などでは、日本と同様に地震が多く発生していますが、防災・減災の為の技術は十分とは言えません。
そこで、つくば市にある研究所では、40年以上に渡り、国際研修を実施しています。
独立行政法人建築研究所国際地震工学センター(IISEE)は、地震災害軽減のために開発途上国の研究者・技術者に対して実施しているのです。
研修を実施するための組織として、1962年1月に建築研究所の中に設置されました
研修は国際協力機構(JICA)と協力して実施しており、現在、3つの研修があります。
地震工学、グローバル地震観測、個別研修になります。
2006年からは津波防災コースも追加されました。
研修修了生は96ヶ国から1,380名におよび、研修は内外から高い評価を受けています。
初期の修了生の中には、時刻で地震工学の中心として、大臣、研究所所長、大学教授などで活躍されています。

<11月15日>小冊子「被災したときに」 生活再建への手引き
先日、今年のチャレンジ防災講座の最終講義を行いました。
テーマは、地域の再建と復興で、社会安全研究所 所長の木村拓郎(通称、キムタク所長)さんにお願い致しました。
木村さんは、島原市の雲仙普賢岳噴火災害、有珠山噴火災害、中越地震の復興・防災対策に尽力されています。
昨年の岩手・宮城内陸地震後も何度か被災地を訪れ、復興のためのアドバイスをされています。
現在、災害復興学会で理事をされ、特に公的だけでなく個人も含めた復興支援員会を立ち上げ、活動を行われています。
今回は、そのお話以外に、1つの冊子を持参いただきました。
そのタイトルが、被災したときに「被災したときに」生活再建への手引きになります。誰もが災害に遭遇するとは思いませんので、被災したときに必要な書類とか心がけを知りません。しかし、実際に起こった後に、この事を知っておけば、良かったという事が多くあります。それをまとめたものです。
内容は、
避難所とは?そこでの注意事項、
被災建築物応急危険度判定(赤い・黄色い・青い張り紙)
り災証明
応急仮設住宅、様々な支援(災害弔慰金、見舞金、支援資金)などがシンプルに分かりやすく書いてあります。

<11月8日>パダンでの地震被害調査
先月14日から2日間、インドネシア・パダン市での地震被害について現場調査を実施してきました。
パダン市内および周辺で犠牲者は千名以上になります。
市内での3階程度のコンクリート建物の被害が大きいです。北に行くにつれて、住宅被害や地滑りが起きているようです。
地震発生は、現地で夕方5時であり、勤務や学校での授業は終了した時点でした。もし、発生時間が早ければ、非常に犠牲者が増えたと思われます。
当日、地震発生後、5分程度で、地震情報と津波に関する注意がBMGKから流される(主にラジオ)20分後には、津波の発生可能性はないと発表(震源が深 いため)
ただし、市内では、津波避難(車が多かった)の歳に、渋滞が報告されております。
さらに、津波避難ビルに指定される予定のビルで、約50%が地震の揺れにより大きな被害を受けています。

<11月1日>東松島市での津波ハザードマップ
昨年(2008年)5月、東松島市で津波ハザードマップ作成を担当させていただきました。
作成時には、地域で調査やヒアリングなどを実施させていただき、詳細に作りました。ベースは航空写真で、家など分かります。
その上に、予測浸水(連動型宮城県沖地震)の結果を載せています。
津波の条件や地形が少し変化するだけで、浸水域が変わることがあるので、広くバッファーゾーン(浸水可能領域・要避難地域)を設けています。より安全な場所が分かると思います。
さらに、避難場所や方向(経路)も一目で分かるように示しています。
今年は、全戸に津波意識調査(アンケート)を実施させていただきました。
また、市内3、4箇所で、認知マップを作成して頂きながら、意識・認識調査を計画しています。
安全な避難を終了するためには、最後の適切な避難経路を認識していくことが大切です。
現在、防災マップ作成や防災啓発活動・防災教育が実施され、リスク認知向上や避難時での行動が改善されると期待されている
ただし、これらの活動により、具体的にどのように変化したのか十分に研究されていません。
頭の中で認識されている主観的地図(地理)情報で人間は行動していると言われています。
そこで、認知マップを作成し、その比較により効果を検討したいと思います。

<10月25日>仙台平野での津波堆積物調査 +菅原大助さん(東北大学CGOE研究員)
最近の研究では、津波の遡上により特徴的な堆積物・地層が海岸に形成されることが明らかにされています。津波堆積物の地質学的研究により、過去の津波襲来を証明し、その時期や規模を推定することが可能なのです。
宮城県沖の日本海溝沿いで発生した歴史地震津波としては、西暦869年(貞観11年)の津波が、六国史の1つである三代実録や各地の伝承から知られています。
今までの研究では、貞観地震津波による仙台平野の浸水の事実が示されていますが、浸水域に基づいた津波と地震規模の定量的な検討は行われていませんでした。
現在、貞観津波による浸水域をさらに詳細に明らかにし、地震規模と断層モデルを決定するため、仙台平野海岸地域において津波堆積物の掘削調査を行っています。

<10月18日>東北大学災害制御研究センター 紹介
改めまして、所属しているセンターを紹介致します。
本センターは、平成2年(1990)6月に発足しました。
当時は、2分野で地震と津波だけで、4名の教員でした。
地震・津波が都市に及ぼす災害事象を総合的に検討し、災害研究手法を確立する事を目的でした。
発足後には、
平成5年7月の北海道南西沖地震津波
平成7年1月の阪神・淡路大震災
平成7年12月のインドネシア・フローレス地震津波、2004年スマトラ沖地震津波
などの国内外の自然災害に対して、詳細な被害の調査・研究を行っています。
平成12年には、1分野が加わりました。現在3分野9名の体制です。

センターの活動の代表的なものの1つは、公開講座です。
ことしは、第8回になります。
地域でのリスク認知と低減のための実践学-インフルエンザや大規模地震・津波災害などへの対応
最近、非常に関心の高い話題について、著名な先生方を招いての特別な公開講座です。このような機会は貴重ですので、是非、ご参加下さい。
日時:平成21年10月31日(土)13時半から
場所:仙台市シルバーセンター(定員300名)
1。特別講義 (1時40分から3時10分)
河田恵昭教授(関西大学、京大名誉教授):歴史的な巨大リスクとその変貌(仮)

押谷仁教授(東北大学医学系研究科):新型インフルエンザの特徴とその備え(仮)
翠川三郎教授(東工大総合理工):大都市地震災害の評価と対策(仮)
2。パネルディスカッション(3時30分から5時30分)
リスクとしての共通性と相違、BCP作成のポイント、情報の収集と発信(管理)
特別講義者+センター教授など

<10月11日>防災支援ボランティア養成講座
9月26日より、防災支援ボランティア養成講座が始まりました。
この講座は、仙台圏の大学15大学が連携強化して、教育活動の拡大を図るものです。昨年度から活動は始まりました。
この連携での柱の1つが、宮城県沖地震対応などの防災です。
多くの学生さんは県外から来られ、宮城県沖地震さえも知らない場合もあります。

各大学での対応やマニュアルも差があります。
このような状況を改善させたい、さらに、最近は
学生ボランティアの活動にも注目が集まり、その役割が期待されています。
今回の防災支援ボランティア養成講座はこの状況の下、企画されました。今年が初めてです。
主な内容は、ボランティア講座、単位互換制度、防災マニュアルの作成などです。

地震基礎、行政の防災、災害時ボランティアの役割、最愛情報、救急措置と救命手当東北大学、東北工大、東北福祉大、宮城大などから講師の先生を予定しております。学生さんへの基礎知識の提供、実践例の紹介、救急救命措置の講習も含めた体験など、参考になると期待されます。

<10月4日>サモア・スマトラの大地震について
9月30日朝、南太平洋の島国サモア沖でM8.3の地震が発生し、同時に生じた津波によって多数の犠牲者を含む、大きな被害が出ました。同日、午後7時16分毎、インドネシア・パダン沿岸付近でM7.6の地震が発生しました。沿岸部に近い地震であったので、強い揺れによる建物倒壊が多数発生し、同様に大きな被害を出しています。両者に関係はないが、同じインド-オーストラリアプレートの境界(沈み込み帯)付近での地震です。現在、解析などを行っており、今後現地調査も実施する予定です。

<9月20日>防災キャンプ実施しました
8月防災キャンプについて紹介しました。
このキャンプを実際に9月4、5日に実施しました。
場所は、国立花山青少年自然の家 南蔵王野営場です。
大変すばらしい環境のキャンプ場で、全国でも有数の内容と規模です。
1日目
津波体験(何が体験出来るでしょうか?)
水の水流の圧力や勢いを大変することはまれです。小川を利用します。
小川に、ロープを渡し、長靴とヘルメットを着用します。
予め、流速計とメジャーで、流れと深さを測っておきました。
その後、サバ・メシ つくり、防災科学技術研の内山さんの提案されたメシ炊きです。
参加者が全員が体験、空き缶2つ、燃料として、牛乳パック2本分です。
非常にシンプルで、すべての燃料を使ったら、出来上がります。お米と水の量がポイントです。今回は、ホタテ、梅、かに缶なども少し入れてみました。
2日目 津波測量です。
ポケットコンパスとレザー距離計で、地形を図って行きました。
実際に津波調査に使う機具を使って、体験して貰いました。

<9月13日>複合災害
様々な要因が一度に発生して被害を出す災害を複合災害と呼びます。
1つは、地震などが引き金になり、引き起こすもので、地震による強い揺れの後に、液状化、地滑り、津波、などが一連で発生し被害を拡大させます。
さらには、土砂崩壊により、河川がせき止められ、土砂ダムの形成、その後に、洪水が発生するなど、長期的な影響もあります。
もう1つは、全く関連の無い事象ですが、たまたま(偶然)に同時に発生するものです。
8月の駿河湾沖での地震の際には、台風による豪雨がまだ残る中、地震が発生したのです。
これにより、斜面崩壊、陰崩れ、土石流などが起こりやすくなり、その後も危険な状態が続いたと言われております。
2003年連動地震での、7月26日宮城県北地震でも、梅雨の中、地震が発生し、河川の堤防の一部がすべりました。
河川の水位が上昇すると、越流の恐れがありました。
台風が近づく中、津波が発生する事も心配です。高潮により海水面が上昇しますので、津波の影響が大きくなります。
これらの同時発生の可能性(または確率)は低いのでありますが、生じることがあります。
最後に、紹介したいのが、新しいタイプの複合災害です。
これは、地震など広域災害の後の、感染症の拡大です。特に、新型インフルエンザは、感染率が高いので、心配です。
避難場所などに移動する中、沢山の方が集団生活するわけですので、その感染予防が重要になります。

<9月6日>ジオパークについて
先日、8月22日に、日本の3箇所が世界ジオパークに認定されました。
地球科学的に見て貴重な特徴を2つ以上する地域を指定し、保全や科学教育、ツーリズムに利用しながら地域の持続的な経済発展を目指す仕組みです。
歴史を見ると、2004年にユネスコの支援により、世界ジオパークネットワーク(GGN)が発足したことから始めっています、その後、世界各国の組織と連携して認証する仕組みが作り上げられた。
審査では、ユネスコの世界遺産に比べ、自然災害の教訓を教育や観光に生かす活動を重視しています。
2008年に、日本では国内の認定機関として日本ジオパークネットワーク(JGN)が発足しています。この日本ジオパーク委員会(JGC)がGGNに対して申請する仕組みが整えられた。
このような活動の中で、今年8月22日、洞爺湖・有珠山(北海道)、糸魚川(新潟県)、島原半島(長崎県)の3か所がGGNよりジオパークとして認定されたのです。
「洞爺湖有珠山」は噴火の被害と美しい景観に加え、昭和新山を私財を投じて購入し、採掘による荒廃から守った地元郵便局長、故三松正夫氏の活動が評価された。
また、「糸魚川」では日本を東西に分ける巨大な断層「糸魚川静岡構造線」に沿った「塩の道」など、古代からの人間活動と地形の関係が分かる。
「島原半島」では雲仙普賢岳の噴火と復興、温泉など火山の脅威と恵みを実感できる。岩手・宮城内陸地震による荒砥沢ダム周辺での崩壊地域についても、ジオパーク申請に向けての検討も始まっているようです。
岩手・宮城内陸地震で栗原市栗駒の荒砥沢ダム北側で起きた大規模地滑りで、地元住民が現場保存を呼び掛ける組織の設立準備委員会をつくった。

<8月30日>インドネシアでの調査および視察
4月に紹介したJST-JICAプロジェクトの一環です。
Painan地区は、Padang市内から70km程度南方向に位置します。
地震および津波により被害が予想される地区です。
昨年、津波浸水と避難啓発のための掲示板が設置され、セレモニーが開催された。設置場所が町の中心値(市場の前)であり、平常時に住民に分かりやすい場所である。
1年後の活動は:
避難高台の整備(地域独自で予算化、全体で1千万円ほど)
避難サインの設置(最初、一部の住民は反対、一部破壊、今年の地震の際に、 避難が実施さ、その必要性が認識された。車移動で混乱したので、対応として、車専用と徒歩専用の道路に分けた。ユドノヨ大統領がこの地を訪れ、提案・提言した。)
今後の予定として:
海洋水産省により、港と湾口部にリアルタイムの潮位計を設置する予定
啓発・教育活動については、NGOのKOGAMIが開始する予定
今後、このような整備・活動をPainan以外でも実施したい。

<8月23日>11日発生 駿河湾およびアンダマン海での地震及び津波について
2つの地震はほぼ同時に起きました。アンダマン海での地震の方が12分ほど先です。当日、私は、インドネシアのパダンにおりました。2つの地震が全く違う場所でおきたことになります。
まず、日本側で、8月11日05時07分頃に駿河湾の深さ約25kmでマグニチュード(M)6.5(暫定)の地震が発生しました。
この地震により静岡県で最大震度6弱を観測し、被害を伴いました。
また、御前崎市で0.4mなど、静岡県の太平洋沿岸で津波を観測しました。
フィリピン海プレート内部で発生した地震と考えられる。想定東海地震ではありません。
今回の地震は、想定東海地震の想定震源域の近くで発生しているが、フィリピン海プレート内で発生した地震であり、想定東海地震とは異なるメカニズムで発生した地震です。
一方、この駿河湾での地震発生の前に、アンダマン海で地震が発生しました。
地震が発生したのは(日本時間11日午前4時55分)。駿河湾の地震の12分前くらいです。震源の深さは33キロでした。
米太平洋津波警報センターは、インド、ミャンマー、インドネシア、タイ、バングラデシュに津波に対する警戒を呼び掛けました。
当時での状況ですが、インドネシアでは、津波警報とは出ていませんでした。実際、潮位変動などなかったようです。
地震の発生メカニズムとしては、興味あるものでした。今回の地震は正断層型なのです。
通常、地震は陸側のプレートにひずみがたまり、たえきれなくなって跳ね返ったため発生しますが、今回は太平洋プレートの内部が割れて起こったと考えられます。
似たような地震は、1896年明治三陸地震の後1933年に昭和三陸地震が起きました。
また、最近では、2006年11月(逆断層プレート境界地震)と2007年1月(プレート内部正断層地震)の千島列島で連続地震が起きましたが、今回の状況と似ています。

<8月16日>宮城県沖地震
日時平成17年(2005年)
8月16日午前11時46分
震源宮城県沖(北緯38.1度、東経142.4度、約42km)
規模M(マグニチュード)7。2
震度6弱川崎町震度5強仙台市・石巻市・他
津波最大40cm(志津川港)
被害約9億5千万円
死者0人
負傷者79人
住宅全壊 0棟
住宅半壊 棟
住宅一部破損 383棟
被害の特徴としては、泉区室内プールの天井の落下(非構造部材、内装部材)があった。負傷者20名にも及ぶ。また、帰省、海水浴シーズンでの地震であり、移動中での災害になる。津波は、地震発生後20分程度で津波の第一波が観測された。僅か10-40cm程度の波高であり、被害は無かった。海水浴場などでは、日頃の訓練などの成果もあり、迅速な避難が行われたようである。

<8月9日>防災キャンプについて
夏休みの最中です。
山、海、川など野外に出かけられている方も多いと思います。
非常時での対応は、野外のフィールドワークと類似しています。
電気がない、水や食料が限られているなどです。
そうすると、防災を考えながらキャンプをするというのは、どうでしょうか?
現在、小中高、さらには大学でも防災キャンプの企画があります。
その中でも、日本キャンプ協会での一日プログラムを紹介しましょう。
http://www.camping.or.jp/info/experience/disaster.php
電気のガスもないところでどのように生活するか。防災意識を高めるためのプログラムです。
自治会や企業などにおすすめです。学校のグラウンドが使えるとより実際に即した内容ができます。
・オリエンテーション(講義)
・阪神大震災の時の事例など
・ザ・サバイバルテクニック
・火をつける、ブルーシートで簡易屋根を作る、ロープワーク
・炊き出し体験(兼昼食)
・備蓄食糧や身の回りにあるものを使って、炊き出しをしてみましょう。
・消火訓練と救急法
・管轄の消防署より協力を仰いで行います。
東北大学(津波工学)でも9月4、5日に企画しています。
一般の方も歓迎(女性歓迎、限定10名です)
日時:平成21年9月4日(金)13時頃から5日(土)昼過ぎ
場所:国立花山青少年自然の家南蔵王野営場
宮城県白石市福岡深谷字白萩39電話 0224-24-8126
http://hanayama.niye.go.jp/yaei/index.html
1日目津波体験(何が体験出来るでしょうか?)、小川を利用します。水圧?
サバ・メシつくり
(雨天の場合には、屋内でクロスロードをいたします)
2日目避難所運営
楽しく防災を体験・学習しましょう。

<8月2日>世界最大の津波-アラスカ・リツヤ湾での津波
先日、東北大学に米国のジョージア工科大学のHerman Fritz先生が訪問され、特別セミナー-が実施されました。
Herman先生は、スイス出身で、ドクターでは地すべり津波を研究されました。
スイスは沿岸を持たないので、地震に津波はありませんが、地すべりや斜面崩壊による津波およびそれによる被害があるそうです。
今回の話題での最大の関心は、アラスカ・リツヤ湾での津波です。
1958年7月10日にアラスカで起きた大地震(M8.2)により、湾の奥で大規模な山体崩落が発生し、湾内の岸は高さ500m以上に及ぶ津波が生じました。
これは我々の歴史上最大の規模です。
フィヨルド地形を持つリツヤ湾は、幅3km、奥行き11km程のサイズで、湾奥に左右に分かれた小さな入江があります。
今回その湾奥で地震が発生し、その強い揺れで、一部の斜面が崩壊したのです、波の発生を直接目撃した者はいませんが、湾の入り口奥付近で当時3隻ほどの漁船が停泊していたそうです。そのうちに2隻は津波によって湾外に流されてしまいました。
当日の津波の発生は水理実験により明らかにされつつあります。この解析をHermann先生が実施しているのです。
当時、津波により浸水を受けた地域では、木々が投げ倒され大きな痕跡を残しました。50年経った現在も、現地を訪れると背丈の明らかに異なる森林があり、当時の津波の影響範囲を知ることが出来ます。

<7月26日>ロンドンでのリスク関係の会議
リスク評価 -地球温暖化による災害の発生についての会議地球温暖化による災害としては、台風の増加による風水害、海面上昇による洪水、などが挙げられます。さらに、新しいタイプの津波の発生も懸念されています。
それは、メタンハイドレードの融解に関係したものです。
メタンと水分子からなるガス水和物の一種であるメタンハイドレードは、火を付けると燃焼する低温高圧で安定する構造をもつシャーベット状(氷状固体物質)です。
将来、資源開発が可能とみられるメタン総量は、7.4兆立方メートルとも言われ、これは国内の天然ガス消費量の約100年分にも及ぶと見られます。エネルギー資源として注目されている一方、地球温暖化を加速させたり、災害をもたらす事もあります。
地球温暖化は、メタンが大気中に放出され、メタンが二酸化炭素の四〇倍以上もの温室効果をもつことガ知られています。また、シャーベット状から液化して大気中に放出される際に、海底地滑りおき、津波が発生することもあります。
過去、ノルウー沖、ニュージーランド沖で、メタンハイドレードが発生し、海底地滑りなどが起こり、津波が発生したことが解析されています。

<6月21日>シリーズ・防災を考える 本紹介
東北大学の防災研究拠点形成グループが担当しております。
シリーズ・防災を考える1吉原直樹 『防災と社会』 東信堂出版、昨年12月に出版 防災をひとつの社会現象としてとらえ、それをめぐる個人と社会のあり様について多面的・広角的に論じ、災害をめぐる社会的制御・管理の根拠と方法をあきらかにする。
シリーズ・防災を考える2 仁平義明 『防災の心理学』、今年3月に出版、われわれの多くは“自分は大丈夫バイアス”すなわち「災害が自分に振りかかることはあるまい」と根拠のない楽観を抱いて生きています。
こうした誤った安心感を脱した真の「安心」とは何か?またそのためには何が必要か?
災害に対する正確なメンタル・モデルの形成と対処のための適切な知識や備えることが大切です。
さらに、安心感を得るには、住民と行政・組織・専門家間の信頼感の構築こそ不可欠です。
以下は、本の章立てです。
ほんとうの安心とは何か
災害時の情報伝達と意思決定
原子力防災と市民の心理
災害とうわさ 特に地震の場合
風評被害の心理
災害のフラッシュバルブメモリ―福岡県西方沖地震の例
自然災害でのヒヤリ・ハット事例
「津波避難スクリプト」による防災教育
火災予防教育―“メンフィスの奇跡”に学ぶ
防犯:リスクと不安
災害と化粧

<6月7日>東海地震予知情報
先週は、東海地震の予知可能性についてお話をしました。本日は、我々へどのような情報が来て、どのような対応をするのか紹介したいと思います。
昭和53年(1978年)6月15日に公布された「大規模地震防災対策特別措置法」で、東海地震だけは発生の数時間から数日以内に予知でき、それを前提に「注意情報」「予知情報」「警戒宣言」を発令する仕組みとなっています。
東海地震の予知に関する情報は、次の3つに区分して発表されます。
●東海地震観測情報
観測された現象が東海地震の前兆現象であると直ちに判断できない場合や、前兆現象とは関係がないことがわかった場合に発表されます。防災対応は特にありません。
●東海地震注意情報
観測された現象が前兆現象である可能性が高まった場合に発表されます。気象庁において、東海地震発生につながるかどうかを検討する判定会が開催されます。住民の方は、テレビ・ラジオ等の情報に注意し、政府や自治体などからの呼び掛けや、自治体等の防災計画に従って行動してください。
●東海地震予知情報
東海地震の発生のおそれがあると判断した場合に発表されます。「警戒宣言」が発令されます。
地震災害警戒本部が設置されます。
対応はそれぞれの自治体で計画されていますので、確認する必要があります。事例としては、津波や崖崩れの危険地域からの住民避難や交通規制の実施、百貨店等の営業中止などの対策が実施されます。
住民の方は、テレビ・ラジオ等の情報に注意し、東海地震の発生に十分警戒して、「警戒宣言」及び自治体等の防災計画に従って行動することになります。

<5月31日>地震予知について
予知はいまだ大変大きな研究課題です。いつ、どこで、どのくらの地震が起こるのかを情報として提供しないと、対応できません。
いま、東海地震に対しては地震を予知しようとしていますが、どのような考えに基づくものなのか?紹介したいと思います。
東海地震予知の鍵となる前兆現象とは何でしょうか。それは前兆すべりと考えられています。
1944年の東南海地震(東海地震の想定震源域のすぐ西に隣接する領域が震源域)の2~3日前から、非常に顕著な前兆的地殻変動が観測されました。
東海地震ではなく東南海地震の前兆現象でしたが、これと同程度の地殻変動が東海地震の前兆現象として現れるとされます。程度の地殻変動であれば、現在の観測網でキャッチできます。
前兆すべりとは、震源域(東海地震の場合、プレート境界の強く固着している領域)の一部が地震の発生前に剥がれ、ゆっくりと滑り動き始めるとされる現象です。
こうした小さなシグナルも取り逃がさないよう、気象庁では24時間体制で監視を行っています。

<5月24日>チリ地震津波について
1960年5月22日19時世界時間 日本時間で23日朝3時頃、チリ沖で巨大地震が発生
一日かけて津波が伝幡し、5月24日の早朝、日本沿岸に来襲しました。平均時速は時速700km 最大級の地震800kmもの断層 M9.5と言われています。
それによって発生した津波は、チリのコラールで8.5-10m、太平洋全域に被害、ハワイ、米国西海岸でも被害。日本でも2-5mの場所があります。
当時、津波警報は出せなかった。
死者行方不明者は139名、岩手62名、宮城54名。志津川での被害が大きい。
一方で度重なる津波被害を受けた田老町(現在の宮古市)では高さ10メートルの巨大防潮堤が功を奏して人的被害は皆無であったこの地震は、M9.5の超巨大地震でした。過去、M9を超えたのは、1960チリ、1952カムチャッカ、1957アリューシャン、1964アラスカ、2004スマトラ沖など5回のみ。
M9の地震がどのようにして起きるのか?その発生間隔は?日本でも起きないのか?という課題があります。

<5月17日>1968年十勝沖地震
5月16日午後9時48分に発生しました。
震源:北海道襟裳岬東南東沖120km(2003年十勝沖地震では50km 程)
地震の規模:M7.9、最大震度:震度5は以下の場所で観測されました。
北海道:函館市、苫小牧市、浦河町、広尾町
青森県:青森市、八戸市、むつ市
岩手県:盛岡市
地震の震源は、1994年に発生した三陸はるか沖地震の北東にあります。
本来であれば『三陸沖地震(または三陸はるか沖地震)』と命名されるべきですが、当時気象庁が、津波警報の発令の際に震源を十勝沖として発表されたため、そのまま流用されたためです。
被害としては2つの特徴があります。
まず、昭和30年代後半から建てられ始めた比較的新しい鉄筋コンクリート製の公共建築物の被害です。耐震性が十分にありませんでした。この地震を契機に、1971年には「建築基準法施行令」の改正及び「鉄筋コンクリート構造計算規準」の改定がなされています。
もう1つは、地盤災害です。青森県内の被害が大きかった地域では、前日まで3日間の総雨量が100~200mmに及んでいました。
そのため地盤の含水量の増加が原因とみられる地すべり・山崩れ・がけ崩れ等の崩壊が多発しました。
なお、津波も発生しました。その規模は三陸沿岸の一部で3~5mを記録しました。
建物浸水529棟、船舶沈没・流出127隻の被害が発生ました。
当時、干潮時だったことこと、また昭和三陸地震やチリ地震の津波を教訓とした施設整備等(防潮堤や防波堤)もあって、被害は最小限に留めたと言われています。

<5月10日> 中国四川地震から1周年
2008年5月12日に発生、1年が経ちます。
インド・オーストラリアプレートがユーラシアに沈み込んでいる周辺でした。
海溝型地震ではなく内陸地震。M.7.9=>M8に修正、阪神淡路大震災の20倍以上、逆断層型、断層の長さが300kmにも及びます。最大震度は6弱と言われています。
名前ですが、広域名の四川省や地震規模を組み合わせた「四川_川8.0級地震」とも呼びますが、中国地震局は、「_川地震(ウェンチュアンじしん、ぶんせ んじしん、)という名称を基本としています。
被害状況としては、四川大地震の死者は6万9197人、負傷者は37万4176人に上り、1万8222人がなおも行方不明です。
家屋の倒壊は21万6千棟、損壊家屋は415万棟・大被害は実態把握に時間がかかる=>救援の遅れ・産業の発展とは逆に住環境の整備は後回し:社会基盤整備の遅れ、7000棟近い校舎倒壊 中国、違法建築調査+建物固有周期と地震動の対応・耐震化など事前の防災の備えが不足その後、心配なのがダム崩壊の危険、四川省803のダムで亀裂、緊急日案した場所もある、天然・土砂ダムの形成、雨期での地滑りさらに、感染症などの懸念されました。
我が国への教訓としては以下の3つがあります。
耐震化率、天然ダムなどの2次被害の防止
被害実態を如何に早く把握するか?
ボランティアなどの受け入れ体制
地震に便乗した犯罪も報告されています。
中国紅十字会(赤十字社)のサイトが不正侵入による改竄を受け、義援金の振込先を別の口座番号に書き換えられる被害が出ました。

<5月3日> 災害カレンダー
本日は、宮城県の防災HPを紹介します。
災カレンダーがあり、月別に、過去の災害事象と主な防災関連行事予定が掲載されています。
このカレンダーは各月で防止月間が定められており、以下のような内容が掲載されております。
4月:山火事:地すべり
5月:津波災害
6月:土砂災害対策
7月:地震災害対策
8月:大雨洪水対策
9月:台風・洪水災害対策
10月:予防・減災(防災グッズ)対策
11月:地震災害対策
12月:大雪対策
1月:低温災害とボランティア活動

<4月26日> ハワイの津波警報センターについて
本日は、津波警報センターについて紹介致します。
1960年にチリ津波が発生し、環太平洋各地で甚大な被害が出ました。
当時、各国で情報が共有されなかったので、警報が出せなかったのです。日本も同じです。
そこで、1965年4月にホノルルで「太平洋津波警報組織の国際協力に係る作業グループの会合」が開催されました。
この会合で日本は次の2つの機関を設置するという重要な提案を行ったのです。
一つは、地震発生時に関係各国の地震、津波に関する情報を収集し、収集した情報を関係国へ提供する情報センターであり、もう一つは、関係国間における情報交換、意見調整等を行うための国際調整委員会です。
前者の機関としてはホノルルの地磁気観測所が、太平洋津波警報センター(PTWC)として改組・発足し、また後者の機関としては、国際津波情報センター(ITIC)が設立され、津波警報システムの改善の提案、研修や情報提供による各国の津波予報業務への支援を行っています。
PTWCは、太平洋一帯における地震発生に伴う津波発生の有無を検知し、情報提供を行うことを目的とする。ITWS(国際津波予報システム)の本部です。
太平洋一帯に存在する地震観測所および潮位観測設備を監視する責務を有する地域および国立のセンターと協力して、地震発生に伴う津波発生の有無を評価しています。
PTWCはメンバー国に対し、地震が起こったこと、それがいつどこで起こったかおよび津波発生の可能性などを伝える津波監視情報を配布しています。

<4月19日> 観光地での防災
先月、伊東温泉での地震・津波の話をしました。
本日は、観光地での防災対策について話したいと思います。
場所は、タイ・プーケットおよびその北部になります。
いずれも、2004年スマトラ沖地震・インド洋津波で大災害を受けた場所です。
当時、2千名以上の外国人観光客がここで犠牲になりました。
その後、この地域での努力により、復旧・復興が進みました。
現在は、その影響や被害の姿を見ることは殆ど出来ません。
将来、いつどのような姿で災害が来るか分かりませんが、今回の教訓を活かさなければなりません。
美しいビーチや海岸が売りの観光地ですので、防災施設の整備は推奨されません。
現在、その対策の主なものは、津波警報システム(警報タワー)、避難経路の整備が中心です。
お寺の建物として集会所とも兼用の避難建物
海岸線にはビル3階相当の避難ビルも建設されています。
課題としては、多数おられる外国人観光客への津波警報の内容の周知と避難の誘導になると思います。
現在、観光地で津波災害の記憶をどのように残していくのか?が課題となっています。
プーケット島での津波記憶(墓地の整備状況)
津波公園が整備されています。また、大きな漁船も残され、そこも公園として整備される予定です。

<4月12日> 活断層マップについて
活断層マップについて
以前、活断層についてお話ししました。
最近数10万年間に、おおむね千年から数万年の間隔で繰り返し動いてきた跡が地形に現れ、今後も活動を繰り返すと考えられる断層です。
本日は、その存在を示したマップを紹介します。活動については、以下のHPから情報を入手できます。データベースなどにもなっており、便利に使えます。
地震調査研究推進本部ホームページ
防災科学技術研究所ホームページ
活断層研究センター
さらに、身近な状況を詳細な地図に示したものが、「都市圏活断層図」です。
1995年の阪神・淡路大震災を契機に、活断層の情報の整備及び公開必要性が高まりました。
国土地理院では、人口が集中し大地震の際に大きな被害が予想される都市域とその周辺について、活断層の位置を詳細に表示した「都市圏活断層図」を平成7年より活断層の研究者と共同で作成しています。縮尺は2万5千分の1で、
学校や病院などの大きな建物や街並みと活断層の位置関係を詳細に把握できます。
また活断層の位置のほか、活断層の評価に関連する、段丘地形・沖積低地・地すべり地形などの第四紀後期(数十万年から現在)に形成された主な地形を合わせて表示しています。
活断層周辺の地盤状況の把握や、活断層の活動によって地すべりが再活動する可能性のある地域の推定など、防災に役立つ情報を読みとることができます。

<4月5日> チャレンジ防災講座防災キャンプ
5月28日みやぎ周辺での地震活動と今後【海野徳仁教授】
6月25日地震情報-そのときメディアはいかに情報を出したか?【TBCアナウンサー根本宣彦さん】
7月23日命を守る情報-津波の最新情報、GPS津波計、津波はかせ【今村文彦教授】
9月17日我々は災害情報を使えるのか?-災害情報認知の最先端【邑本俊亮教授】
10月災害復旧・復興【未定】
学都仙台コンソーシアム防災ネットワークの活動が始まりました。

<3月22日>防災に関する法律
法律は難しいとか規制するというイメージがあり、避けがちですが、我々のくらしを守ってくれるものです。本日は、分かりやすく防災に関する法律(防災行政)の最初を説明します。我が国で最も大切なのが、災害対策基本法です。昭和34年(1959)の伊勢湾台風を契機として昭和36年(1961)に制定された我が国の災害対策の代表です。ちょうど今年は伊勢湾台風発生から50年を迎えます。この法律は当時画期的なもので、国全体としてとして取り組む為のまさに基本でした。
その前は、水防法(1949)や災害救助法(1947),建築基準法(1950)など、ここの災害に対する担当の省庁での法律でした。この災害対策基本法では、防災に関する責務に加えて、「防災計画」「災害予防、応急対策、復旧復興対策の各段階における各種対の役割や権限」があります。さらに、「財政金融措置」などがあります。我々に身近なのが、災害救助法であり、避難所、仮設住宅、炊き出し、救援救助を行ってくれます。
昨年の内陸地震の際に、議論になったのが激甚災害法(1962)であり、著しい災害の場合には、そこの行政者被災者に対して特別財政援助をするものです。

<3月15日>「MAASねっと」活動報告
宮城の学生による災害に関するボランティアネットワークが誕生します。
MAAS ねっと(まーすねっと):PDF
学生によるM(宮城の)、A(安心)、A(安全)、S(幸せ)を創造するネットワークです。

<3月8日>津軽地震と観光地
3月8日に起こった地震とそれに関係した観光地を紹介します。
1766年、明和3年3月8日午後6時頃、津軽地震です。弘前から津軽半島にかけて大きな地震がありました。
M 6.9、弘前城損壊など。死者約1,500人。
各地でひび割れ、噴砂、液状化、地盤変動などがあったそうです。この震源の中に、観光地があります。西津軽郡深浦町にある千畳敷です。津軽国定公園に属す深浦町は、幾度となく隆起をくり返しており、海岸線を走る鉄道や車道から、きれいな海岸段丘の階段が観察できます。特に、1793年2月8日 に地震M6.9-7.1 があり、沿岸部を隆起させて、海岸段丘を形成しました。12kmの沿岸が最高3.5m隆起したそうです。物珍しがった津軽藩の殿様が、そこに千畳畳を敷かせ大宴会を開いたとされます。
藩政時代には殿様専用の避暑地で庶民は近づけなかったそうです。
千畳敷駅の手前にある大きな岩は大仏岩と呼ばれ、東側から見たシルエットが、丁度大仏が座っている格好に見えます。

<3月1日>昭和三陸地震津波
来る3月3日はひな祭りですが、昭和8年の三陸地震津波の発生した日でもあります。
1933年(昭和8年)3月3日午前2時30頃 おひな様、桃の節句の日に発生しました。
非常に寒さの厳しい夜でした。
地震の発生した場所は三陸はるか沖、プレートの沈み込み帯よりさらに向こうの場所です。
強い揺れだけではなく津波も伴い、死者行方不明者併せて三千名を上回りました。宮城県内でも3百名を超えました。沿岸各地で震度5以上を記録し、明治地震津波の際の揺れとは大きく異なります。
当時、明治地震津波の経験により、弱い揺れの際に、津波が大きくなる。逆に、強い揺れの際には津波は小さくなると思った方も少なからずいたようです。
この地震のメカニズムは正断層と呼ばれるもので、プレートの折れ曲がり地点で発生したものであり、プレート地震の自重により引っ張られ、ちぎれた破壊で発生したものです。今年1月津波は三陸全域に来襲し、最大28.7mのところまではい上がりました。
明治29年からわずか40年あまりの出来でした。昭和6年に満州事変が起こり、第二次世界大戦へ向かう厳しい時代への始まりの頃でした。

<2月22日>マントル対流
地球の内部は高温(核、マグマが存在)で、表面は湯葉のような膜(プレート)があります。この内部では、マントルが対流(ゆっくり動いている)していると考えられています。
これをマントル対流とよびます。
対流とは、液体の一部が温められると、温まった部分の液体が膨張して軽くなり、上に昇って冷たい液体と入れ替わる現象になります。これをマントル対流のセルと呼びます。
最近の研究で、このセルが1つなのか、2重なのか、研究されています。実際に、マントルは液体ではなく硬い固体になりますが、長期的に考えると。流動的にふるまうことが分かっています。
このマントル対流があるために、表面のマントルが冷やされ固着して、プレートになります。
このプレートは10枚くらいに分かれており、しかも、プレートのわき出すところと逆に沈み込む場所があります。わき出すところが海嶺(かいりょう)で沈み込む場所が海溝と言われています。
特に、沈み込むプレートの境界は、その速度が違う場合が多く、歪みというゆがみ・変形が蓄積されます。これが限界に達すると地震が起こると説明されています。

<2月15日>ワシントン大学訪問
先日、1月28日から2月1日まで、米国のシアトルにあるワシントン大学訪問してきました。
1つの目的が、東北大学と実施した創造工学研修の再開です。
1年生を対象にし、同じテーマを2つの大学で、教員と学生さん(4-6名)がペアになり、研究を実施するものです。
1999年から始まり約6年間続きました。
研修の中では、当時珍しかったテレビ会議を実施、英語で自己紹介したり、成果を発表しました。さらに、e-mailや共通のホームページを開設し、成果を共有しました。
僅か、4ヶ月程度の研修ですが、英語の能力が向上し、他文化への関心や理解が深まりました。
共同研修の終了後に、ワシントン大学で開催される共同発表会に参加するため、訪問も実施しました。英語でのプレゼンテーション能力が向上しました。
訪問中、大学のキャンパス訪問や、シアトルマリナーズの試合なども観戦した年もありました。
このようなよい内容の研修をもう一度再開するために、学部教育関係、国際交流関係、日本技術紹介の関係者と打ち合わせを行い、今年、再開できる方向性が大分出来ました。

<2月8日>要石(かなめいし)
要石(かなめいし)は、茨城県鹿嶋市の鹿島神宮と千葉県香取市の香取(かとり)神宮にあり、地震をしずめているとされ、大部分が地中に埋まった霊石です。
鹿島神宮の要石の伝説によれば、昔その地方にしばしば地震があり、それは地下に大鯰がいてあばれるというので、鹿島の神々達が相談の上_大きな石の棒(石剣)で鯰の頭を釘刺してしとめました。
鹿島神宮の要石は大鯰の頭、香取神宮の要石は尾を押さえていると言われています。地震はくるけれども鹿島神社には要石が祀られているから_昔から大きな災害がないと語り伝えられています。
県内では加美町の鹿島神社にも要石があり、風土記によれば鹿島神宮のものを模したものだと言われます。1973年にはまた別の要石が奉納され埋められています。

<2月1日>2月に発生した3つの地震
1年の中で地震の少ない月は、2月の19回になります。さらに4月の24回、2月に発生した3つの地震を紹介します。
・1605慶長地震(3日)M7.9
巨大地震です。東海から南海まで一気に破壊。津波も発生し、千葉県銚子・犬 吠崎から九州まで押し寄せました。ただし、揺れは小さかったようです。
津波 地震とも言われます。
・1880横浜地震(22日)です。M=5.5-6.0
直下型での地震です。横浜で被害が発生、煙突が倒れたり墓石が転倒、東京では少なかったです。当時、外国人教員・技術者などが多く、横浜に滞在しており、この地震に遭遇。この地震を機として日本地震学会が生まれました。
当時の会員数は117名,そのうち日本人37名でした。
・1961日向灘地震(27日)M7.0
日向灘も地震の多い場所です。当時、宮崎県では死者1人、負傷者4人、家屋被害も出ました。津波:油津には地震後約1分で到達したそうです。最大の高さは油津34cm、細島45cm

<1月11日> 地震調査委員会の情報
昨年の4月に地震調査研究推進本部を紹介致しました。
本日は、そこで提供している地震情報の話をします。
地震調査委員会は、毎月定期的に開催し、調査観測結果や研究成果を整理・分析して地震活動を総合的に評価するとともに、その結果を公表しています。
HPの「地震に関する評価」=>毎月の地震活動に関する評価を見て下さい。
http://www.jishin.go.jp/main/
1.主な地震活動
目立った活動はなかった または昨年の6月には、評価部として:
6月14日に岩手県内陸南部の深さ約10kmでマグニチュード(M)7.2の地震*が発生した。この地震により岩手県と宮城県で最大震度6強を観測し、死者13名、行方不明10名、負傷者約450名などの被害を生じた とあります。詳細は、補足説明へ
毎月の全国の地震活動(マグニチュード4.0以上)
2.各地方別の地震活動
(1)北海道地方(2)東北地方 などがでてきます。各地域での地震分布の概況がわかります。
3.さらに、大きな地震になると専用のページが出てきて、かなり専門的な情報が見れます。
例えば、内陸地震の際には。余震回数(過去の地震との比較)、地殻変動、地震の滑り量分布、GPSデータによる地震時の滑り量、活断層図、トレンチ調査地点など、豊富にあります。
さらに、長期的な地震発生確率の評価結果
全国を概観した地震動予測地図(今後30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率の分布)
北日本地域の主要活断層帯の位置と海溝型地震の領域などがあります。勉強できます。

<1月4日>事業継続計画(BCP)とは?
○不測の事態(危機・災害)などの発生により経営資産(社員・施設・機器など)が損傷を受けた際に、いかに通常の事業活動を中断させないよう、残存する能力で優先すべき業務を継続させ、許容されるサービスレベルを保ち、かつ許容される期間内に復旧できるように、前もって代替リソースの準備を行ったり、災害発生時の対応方法や組織を規定したものです。
原因は問わず操作ができない、施設が使えない、機能停止したことを想定し、対応策をとる
○重要業務・対策を絞り込む。災害時には、人、物、情報、資金、時間という経営資源に制約が生じるので、緊急かつ重要な事項を判断し、優先順位をつける。判断基準は?
○目標復旧時間を設定する、影響度分析(BIA,Bussiness Impact Analysis)を行い何をいつまでに継続または復旧するかを決めておく。
○BCP基本方針の策定
○重要業務の選定(優先業務の選定)
○業務プロセスの分析・被害予測
○対策・戦略検討(対策の標準化、マニュアル)
○BCP基本文書作成(行動計画書)
対策の実施、BCPの定着化、見直しなどがあります。